
税務調査は、拒否できません。
拒否すると国税通則法第128条違反となり、1年以下の拘禁または50万円以下の罰金となる可能性があります。
「任意調査や、正当な理由があれば拒否をしても良いのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
今回は、税務調査を拒否できない理由や大まかな流れ、具体的な対応方法などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、わかりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、税務調査を拒否できない理由に加えて、うまく乗り切る方法も明確になります。
目次
税務調査の拒否は「1年以下の拘禁or50万円以下の罰金」の罰則あり
税務調査は、拒否できません。
拒否すると国税通則法第128条に違反し、1年以下の拘禁または50万円以下の罰金となる可能性があります。
以下は、国税通則法第128条の条文です。
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者。
物件の提示若しくは提出又は報告の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出し、若しくは偽りの報告をした者。
出典:e-GOV 法令検索 国税通則法
税務調査の対象になり、「受けたくないな」という気持ちになるのはわかります。しかし、税務調査に「拒否」の選択肢は存在しません。
税務調査は強制捜査も任意調査も拒否できない
税務調査は、強制調査と任意調査に分かれます。
強制調査とは、事前通知なしで行われる税務調査です。巨額の脱税などが疑われる納税者に対して、裁判所の令状を通して強制的に実施されます。
任意調査とは、事前に通知があり、同意のもとで行われる税務調査です。大半の方の税務調査は、この任意調査です。
「任意」とあるため「拒否できるのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし任意とは名ばかりで、実際には拒否をするのは難しいのが現状です。
任意調査は、職務質問と似ています。職務質問も任意です。しかし協力しないと疑いが深まり、かえって状況が悪化します。
任意調査で事前に通知が来た場合でも、税務調査は拒否できないと考えておきましょう。
税務調査の拒否はできないが正当な理由があれば延期は可能
税務調査は、強制調査も任意調査も拒否できません。
しかし任意調査の場合、正当な理由があれば日程の延期は可能です。「正当な理由」の例は、以下の通りです。
- 出張
- 重要な商談
- 事故や入院
…など
任意調査では、調査の10日ほど前を目安に、税務署から本人か顧問税理士宛てに連絡がきます。
そこから、税務署側が指定した日程を変更しても、税務調査で不利になることはありません。
日時を指定されたら、「可能な日程が分かり次第連絡します」と返答しましょう。最大で3週間〜1ヶ月程度でしたら、日程を先延ばししても問題ありません。
しかし強制捜査の場合は、拒否はもちろん、日程の変更もできません。
税務調査の対象になった時点で追徴課税は覚悟しておくべき
個人事業主が税務調査の対象になる確率は、わずか0.5%とされています。法人の場合でも、2%程度です。
つまり税務調査の対象になった時点で、税務署に「申告内容に誤りや漏れがありそうだ」と判断されている可能性は高いと言えるでしょう。
実際に税務調査の対象になると、約8割の確率で非違事項(誤り)を指摘されます。
本来であれば、税務調査の対象にならないように、きちんと確定申告をするのが理想です。
しかし税務調査の対象になったのであれば、追徴課税は覚悟しておきましょう。
もちろん調査の結果、「申告是認」となり、追徴課税を課されない可能性もあります。しかし修正申告を求められるケースが大半です。
関連記事:個人事業主が税務調査対象になる確率は0.5%なのに通知が来た!流れや今からできる準備を紹介
税務調査の大まかな流れ
税務調査の大まかな流れは、以下の通りです。
- 税務署から調査通知が来る
- 税務調査の日程を決める
- 税務調査に向けて準備をする
- 税務調査当日を迎える
- 税務調査の結果が出る
それぞれ詳しく解説します。
税務署から調査通知が来る
任意調査の場合、調査を開始したいと考えている日の10日から2週間ほど前に、電話で連絡が入ります。
顧問税理士と契約し、確定申告書に「税務代理権限証書」という書類を添付している場合、連絡はあなたではなく、代理人である税理士に入ります。
そのため、納税者本人が対応する必要はありません。税理士と相談して状況を把握し、対策を練る時間的な余裕が生まれます。
税務調査の日程を決める
通知を受けたら、調査を実施する具体的な日時を決めます。
納税者本人に電話がかかってきた場合、その際に日程の希望日を提示されるケースが大半です。
しかしその日程を、無条件に受け入れる必要はありません。
提示された日程に予定が入っている場合には、正直にその旨を伝え、日程の変更を申し出ましょう。
特に税理士に立ち会いを依頼する場合、納税者本人・税務署・税理士という三者のスケジュールをすり合わせなければなりません。
税理士の繁忙期なども考慮し、十分な準備期間を確保できる最適な日程を設定することが、税務調査を有利に進めるためには重要です。
税務調査に向けて準備をする
税務調査の日程が確定したら、当日に向けて準備をします。この準備が、調査の結果を左右すると言っても過言ではありません。
まず、調査対象となる期間の帳簿書類や、証拠となる書類などを整理して、いつでも提示できるようにします。
続いて、調査官が指摘してくる可能性が高い論点を洗い出しましょう。
最後に、想定される質問に対して的確に、そして不利にならないように回答するためのシミュレーションを行います。
税理士がいると、指摘される可能性の高い箇所を、ピンポイントで洗い出せます。また、シミュレーションのサポートも受けられるので安心です。
関連記事:税務調査は何年分調べられる?の答えは3年分!5年・7年になるケースや今からできる準備について解説
税務調査当日を迎える
税務調査は、自宅や事業所で行われるのが一般的です。個人事業主の場合、税務調査には1〜2日ほどかかります。
税務調査では、会話を中心としたやり取りを行い、必要に応じて書類を提出します。
やり取りでは、聞かれたことにだけ、事実に基づいて簡潔に答えることが大切です。
良かれと思って話した余計な情報が、かえって新たな疑問を生み、調査を長引かせる原因になるケースも少なくありません。
税務調査の結果が出る
税務調査が終わると、調査官は持ち帰った資料や情報の精査をします。
最終的な結論が出ると、税務署から通知が来ます。結果は、3ヶ月以内に出るのが一般的です。
税務調査の結果は、申告是認・修正申告・更正の3つに分かれます。申告是認とは、申告内容に問題がなかったという意味です。
修正申告とは、調査で発見された誤りを納税者が認め、正しい内容で申告をやり直すというものです。ほとんどの税務調査は、この修正申告で決着します。
更正とは、納税者が指摘に納得せず修正申告に応じない場合に、税務署が職権で税額を決定する手続きです。
以上が、税務調査の大まかな流れとなります。
税務調査の対応は税理士事務所への相談がおすすめ
税務調査は、自力で対応するべきではありません。税理士事務所への相談がおすすめです。
自力で対応する場合、書類などの準備を、すべて一人で行わなければなりません。
また、調査官の指摘が正しいのかを判断できず、不利な内容を受け入れてしまうリスクが高くなります。
税務調査では、交渉次第で結果が変わります。そして交渉力が高いのは、専門知識を持つ税理士です。
例えば弊所では、ほぼすべてのお客様(90%以上)の納税額減額に成功しています。
税理士に依頼をすれば、準備はもちろん、当日の立ち会いや調査後の対応までサポートしてもらえます。
たしかに、税理士への依頼には費用が必要です。しかし、追徴課税額を最小化できるため、十分元を取れる選択肢です。
税理士への税務調査の相談については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:税理士に税務調査を依頼する際に知っておくべきことを1から10まで解説
税務調査の対応は永安税理士事務所にお任せください
永安栄棟税理士事務所では、税務調査完全サポートパックを提供しています。プランの詳細は以下の通りです。
- 事前打ち合わせ・資料確認
- 調査の立ち会い
- 税務署との調整
- 修正申告書の提出
料金は30万円〜となっており、要望に応じて最適なプランを提案させていただきます。
永安栄棟税理士事務所では、税務調査歴40年超の元特別国税調査官をはじめとしたスタッフが、豊富な経験をもとにサポートいたします。
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まとめ
税務調査を拒否できない理由や大まかな流れ、具体的な対応方法などについて解説しました。
税務調査は、強制でも任意でも拒否できません。対象になったら、どのように追徴課税額を減らすかを考えるしかありません。
税務調査の対象になった場合は、税理士への依頼がおすすめです。節税で元を取れる可能性が高いだけでなく、心理的な不安を軽減できるメリットもあります。
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また、そもそも税務調査の対象にならないように、正しく確定申告を行うことが大切です。
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