
ある支払いが事業に必要な支出であることを証明するには、領収書が欠かせません。
領収書なしだと税務調査で不利になります。経費が否認された場合、追加で税金を支払わなければなりません。
今回は、領収書なしの状態で税務調査の対象になった個人の対処法や、何年前まで調べられるのかなどについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、わかりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、領収書がない場合に、どうやって税務調査に備えれば良いのかが明確になります。
目次
個人事業主の「領収書なし」は税務調査で不利になる
支出を必要経費として認めてもらうには、その支払いが事業に関連するものであることを、納税者自身が客観的な証拠をもって証明しなければなりません。
その最も強力な証拠となるのが、領収書です。
税務調査官は、帳簿に記載された経費が本当に支払われたのか、事業に必要な支出だったのかを、領収書などの証拠書類と照合して確認します。
つまり、領収書がなければ「本当にその支払いはあったのか」「プライベートな支出を経費に紛れ込ませているのではないか」と疑念を抱かれるでしょう。
この疑念を払拭できなければ、その経費は「使途不明金」として否認されます。経費が否認されると、その分だけ所得金額が増加し、追加の所得税が発生するでしょう。
個人事業主の「領収書なし」は、税務調査で不利になります。
現金手渡しや領収書を捨てた場合の対処法【税務調査への備え】
例えば、一人親方が外注費を職人に手渡しする場合、職人は領収書を貰えません。また、単純に領収書を捨ててしまうケースもあるでしょう。
そういった場合におすすめの対処法は、以下の3つです。
- 領収書の再発行を依頼する
- レシートで代用する
- 決済にはクレジットカードを用いる
それぞれ詳しく解説します。
領収書の再発行を依頼する
領収書を紛失したり、誤って捨ててしまったりした場合に、まず試みるべき対処法は再発行の依頼です。
再発行された領収書も、元の領収書と同じ効力を持ちます。そのため支払い先に連絡を取り、再発行を依頼してみましょう。
しかし、領収書の紛失は自身の責任です。つまり、相手方に再発行の義務はありません。
あくまで厚意なので、再発行したい旨を丁寧に説明して理解してもらう必要があります。
また、再発行された領収書には、二重計上を防ぐ目的で「再発行」のスタンプが押されます。しかしそれで証拠としての価値が下がることは基本的にはないので、ご安心ください。
領収書の紛失に気づいたら、できるだけ早く再発行を依頼しましょう。相手方の保存期間などの理由によって、再発行が難しいケースもあります。
レシートで代用する
領収書が手に入らない場合でも、諦める必要はありません。税務上、レシートは領収書と同等の証拠書類として認められています。
経費の証明に求められるのは、以下の要素です。
- 日付
- 商品名
- 取引の内容
- 金額
- 発行者住所氏名
小売業・飲食業・タクシー業など、不特定多数を相手にする業種では、宛名のないレシートでも問題なく経費として認められます。
そのため、レシートも日頃から保管するようにしておきましょう。
また、一人親方から職人への外注費を現金で手渡しされた場合など、領収書もレシートも発行されない場合には、自身で出金伝票を作成できます。
出金伝票は、領収書やレシートと比べると信頼性に欠けます。そのため、外注作業の内容が分かるメモなど、補完的な証拠も一緒に保管しておくと良いでしょう。
決済にはクレジットカードを用いる
クレジットカードで支払いをすると、利用履歴がすべて明細書に記録として残ります。この明細書は税務調査において、ある程度、客観的な証拠として取り扱われます。
ただし、法律上の領収書ではありません。そのため、特に消費税の経費としては認められないケースがあります。
ある種の保険として、事業用の決済はできる限りクレジットカードに集約するのがおすすめです。
クレジットカードで決済する場合も、レシートや領収書を併せて保管するようにしましょう。
個人の税務調査では何年前の領収書まで調べられる?
個人の税務調査では、過去3年分の領収書を調べられるのが一般的です。
実は国税通則法では「税務署は過去5年分まで遡って税務調査ができる」と定められています。
しかし調査の効率性や、調査を受ける納税者の負担を考慮して、まずは5年分ではなく3年分の調査を行うのが原則となっています。
3年分の調査で誤りが見つかった場合には、5年分の領収書まで調べられる可能性があるため要注意です。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
関連記事:税務調査は何年分調べられる?の答えは3年分!5年・7年になるケースや今からできる準備について解説
税務調査への対応は税理士事務所への依頼がおすすめ
専門知識のない個人事業主が、一人で税務調査の対応を行うと、本来であれば認められるはずの経費まで否認されてしまうかもしれません。
税理士に税務調査への立ち会いを依頼すれば、法的な根拠に基づき、冷静かつ論理的に交渉を進められます。
また「専門家が味方にいる」という事実は、調査を受ける上で計り知れない、精神的な安心感をもたらすでしょう。
個人事業主が税務調査の対象になる確率は、0.5%ほどです。
つまり、税務調査の対象になった時点で、税務官は「追徴課税を取れる」と、ある程度の目星をつけています。
税理士に立ち会いを依頼すれば、たしかに費用がかかります。しかしそれ以上に、納税額を減額できるケースが大半です。
関連記事:税理士への税務調査立ち会い依頼時の費用相場は30〜70万円!メリットや流れを解説
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まとめ
領収書なしの状態で税務調査の対象になった個人の対処法や、何年前まで調べられるのかなどについて解説しました。
税務調査の対象になった場合には、税理士への相談がおすすめです。弊所のサービスについては、以下よりご確認ください。
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また、そもそも税務調査の対象にならないように、正しく確定申告を行うことが大切です。
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