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法人成りのメリットとデメリットを解説

2023.10.02 10:30

新型コロナウイルスの流行や働き方改革などの影響により、これまで会社勤めをしていた人達がリモートワークや時短勤務など自由な働き方をする事が出来るようになりました。

こうした背景から、フリーランスなどの個人事業主や法人を設立して起業する人が増加しています。

起業するにあたり、最初は個人事業主として事業活動を行い、事業規模が拡大していくにつれ、法人成りしていく事が一般的です。

本稿では法人成りにスポットを当てて、メリットやデメリットについて解説していきます。

法人成りのメリット


法人成りのメリットは下記項目が挙げられます。

社会的信用力が上がる


法人は会計上、個人と法人の資金を明確に区別する必要があるので、財産管理が整備され、収支が明瞭になります。そのため、金融機関や投資家から信用力が上がり、融資や出資を受けやすくなります。

また、求人募集も働き手にとって、法人であれば社会的信用が高まることから、個人経営より法人の方が優秀な人材が集まる傾向にあります。



責任範囲が限定される有限責任となる


個人経営の場合、倒産時の債務の弁済は事業主個人の全財産を処分するケースの無限責任となります。

しかし、法人成りした場合、原則としてその債務弁済に対しては、自己が出資した範囲内の責任である有限責任になるので、事業規模拡大により負担する額も大きくなる場合には個人経営では限界が生じる為、法人成りによってリスク回避を図る事が出来ます。

税率の上限が低く設定されている


個人の所得に対して課される税率と、法人の所得に対して課される税率は次のとおりです。個人が既に高い所得を得ている場合には、法人成りにより、低い税率が適用され、節税に繋がることがあります。



節税に繋がる


個人事業主では、所得の種類によって課税方法が異なり、所得の種類の間で損益通算できるものも限定されていますが、法人の場合にはすべての損益が合算されます。

例えば、個人事業主の場合には、有価証券の運用で損失が出た場合に、本業の利益と相殺することはできませんが、法人の場合は本業の利益と相殺できる為、課税所得が減少し節税に繋がります。

また、法人成りをした場合、自宅に関する費用を法人の経費とすることができます。

例えば、自宅が賃貸住宅の場合、法人契約に切り替え、転借すれば、家賃は会社の経費とすることができます。

一定額以上の家賃を会社に支払う必要はありますが、相場よりかなり低いものとなります。詳しくは役員社宅を活用した節税方法 | 給与課税に注意をご参照ください。

また、自宅を会社に所有させ、それを賃借することも可能です。



給与所得控除が利用できる


給与所得控除とは、給与収入から差し引ける控除のことです。

個人経営では、事業で得た収入から経費を控除した差額が全額経営者に帰属し、そこから納税額を計算します。

法人の場合、収益から必要経費を差し引いた所得は、経営者個人ではなく、法人自体に帰属します。

法人が代表者へ報酬を支払った場合、法人の経費として認められるだけでなく、代表者個人では、法人から受領した報酬から給与所得控除を差し引いた課税所得から税額が計算される為、有利に働きます。



欠損金の繰越が10年間可能となる

個人事業主の場合、損失の繰越しは3年間となっていますが、法人の場合、欠損金を10年間繰り越すことが可能となります。

大きな損失が発生した場合、3年先の期間に欠損金を使いきれない場合もあるため、この期間が長い分、法人のほうが有利となります。

法人成りのデメリット


法人成りのデメリットは下記項目が挙げられます。


赤字でも税金がかかる

個人事業主の場合、赤字であれば所得税や住民税、事業税は発生しません。

しかし、法人の場合、住民税の均等割が発生してきます。

この住民税の均等割は資本金の額や従業員数に応じて課税されるものであるため、たとえ赤字であっても発生してきます。

税額自体は自治体によって多少異なりますが、年間最低7万円は必要になります。

なお、正確には、個人事業主の場合でも数千円の住民税の均等割が課せられますが、条例で定める一定額以下の所得の人は非課税となります。

社会保険に強制加入する必要がある

社会保険は個人事業主の場合、従業員が5名未満であれば、社会保険の加入は任意となりますが、法人成りをした場合には、たとえ代表者1名であっても、社会保険へ強制的に加入が必要となります。

そのため、法人成りをした場合には、社会保険料の負担が新たに発生することがあります。

登記費用が発生する

個人事業主の開始には登記費用は不要です。

しかし、法人の場合には設立時に登記費用が必要となります。また、役員変更登記も一定期間ごとに必要となってきます。

これらの手続きは、一般的には司法書士等の専門家に依頼しますが、それに応じて

登録免許税や司法書士報酬などが必要になります。



税務調査が入りやすくなる

法人の場合には、個人事業主に比べて税務調査が入る機会が増加します。

理由としては、法人は個人事業主に比べて数が少ないことや、法人の方が事業規模が大きい為、税務調査の確立も高まります。



事務負担が増大する


法人成りをした場合、厳密な会計処理が求められる為、事務負担が増加します。

さらに、源泉徴収や、社会保険などの手続きも発生します。

また、株主総会の開催、役員変更登記など法律上求められる手続きも必要となり、個人事業主に比べて事務負担が増大します。

まとめ


法人成りした場合には、信用力の強化や税率の上限といったメリットがあります。

しかし、相応の事務負担や、必ず発生する均等割などのコストも生じることになるため、上述したメリット・デメリットを十分理解した上で、法人成りを検討することをおすすめします。

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