
法人成りで創業融資を受けたい場合は、日本政策金融公庫か地方自治体の融資制度がおすすめです。
しかし、自力で融資の審査を受ける場合、通過率は50%ほどとされており、誰もが融資を受けられるわけではありません。
「そもそもどういった制度があるのか」「審査通過率を高めるにはどうすれば良いのか」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
今回は、法人成りの際に利用できる創業融資や、創業融資以外の選択肢、注意すべき点などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、法人成りの際に利用できる融資制度に関する基本をひと通り理解できます。
目次
法人成りで創業融資を受けられるとは限らない
法人成りとは、法律上は新しい会社を創業することです。しかし融資審査の世界では、法人成りをしたからといって、必ずしも創業者として扱われるわけではありません。
例えば、大半の融資では「事業開始後〇〇年以内」といった利用条件が設けられています。
そして、この事業開始時点は法人の設立日ではありません。個人事業を開始した時点から通算して判断されます。
つまり融資の対象が「事業開始7年以内」の場合、個人事業主として8年間の事業を続けた後に法人成りしても、融資の対象外となります。
以上から、法人成りをする前の個人事業主としての期間が長ければ長いほど、創業融資の選択肢は狭まるでしょう。
個人事業主として活動する期間の長さによっては、創業融資を受けられないケースもあるので要注意です。
法人成りをする際に利用できる創業融資
法人成りをする際に利用できる創業融資を、以下2つに分けて紹介します。
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 地方自治体の融資制度
それぞれ詳しく解説します。
日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫が実施する融資制度として、新規開業・スタートアップ支援資金があります。
新規開業・スタートアップ支援資金とは、創業者やスタートアップを支援する融資制度のことです。
融資限度額は7,200万円、うち運転資金は4,800万円となっています。
利用対象は、新たに事業を始める方か、事業開始後おおむね7年以内の方です。しかし、適正な事業計画を策定し、当該計画の遂行能力が十分あると認められる人に限ります。
返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が10年以内となっています。
なお、日本政策金融公庫の融資制度として「新規開業資金」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
しかし新規開業資金は2025年3月に、ここまで紹介した「新規開業・スタートアップ支援資金」へと名称を変更しているので要注意です。
>>日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金はこちら
地方自治体の融資制度
地方自治体は、それぞれ独自の融資制度を提供しています。企業を誘致すれば、雇用促進や税収増へとつながるためです。
例えば東京都には「女性・若者・シニア創業サポート事業」という支援制度があり、最大1,500万円の融資を受けられます。
居住している地方自治体の融資制度について調べてみるのも、方法の1つです。
【要注意】新創業融資制度は2024年3月31日に廃止されている
Web上で創業融資について調べていると、日本政策金融公庫の新創業融資制度に関する情報が出てきます。
しかし、新創業融資制度は2024年3月31日をもって廃止されました。
Webサイトによっては、情報が更新されておらず「新創業融資制度がおすすめ」といった内容も見受けられるため、ご注意ください。
法人成りの際に創業融資を受けられない場合の選択肢
法人成りの際、創業融資を受け取らない場合には、以下2つの選択肢がおすすめです。
- 一般貸付
- あえて法人化をしない
1つずつ詳しく見てみましょう。
一般貸付
事業を始めてから年数が経っており、創業融資を受けられない場合には、一般貸付の利用も選択肢の1つです。
日本政策金融公庫の一般貸付は、ほとんどの中小企業が対象です。
運転資金や設備資金として最大4,800万円、特定設備資金として最大7,200万円の融資を受けられます。
返済期間は、運転資金が5年以内で、設備資金が10年以内です。特定設備資金は20年以内となっています。
事業年数などの問題で、創業融資を受けられない場合には、一般貸付の選択肢を検討しても良いでしょう。
あえて法人化をしない
法人成りをする最大の目的が「創業融資を受けること」である方もいらっしゃるでしょう。
そういった方が創業融資を受けられないのであれば、あえて法人化しないという選択肢も視野に入れるべきです。
前述の通り、個人事業主歴が長いと、法人成りをしても創業融資は受けられません。その状況で無理に法人化を進めても、目的は達成されないでしょう。
法人化には、定款作成や登記費用、社会保険への加入に伴う保険料負担の増加、税理士報酬の上昇など、さまざまなコストと手間が発生します。
これらの負担をかけてまで、法人化するメリットが融資以外に見出せない場合は、一旦立ち止まって考えるべきです。
法人化はあくまで、事業を成長させるための手段です。それ自体が目的ではありません。
融資が受けられないからといって悲観するのではなく、自社の状況を冷静に分析し、事業にとって本当に最適なタイミングで法人化することが大切です。
法人成りの際に創業融資の審査に通る可能性は約50%
創業融資を申し込めば、誰でも資金を調達できるわけではありません。
一般的に、専門家のサポートを受けずに自力で申請した場合、審査を通過する確率は50%前後、あるいはそれ以下と言われています。
つまり、2人に1人は、融資を受けたくても受けられません。
審査落ちの大きな要因は、事業計画書の不備です。担当者は、事業計画書を通じて「この事業は本当に成功するのか」「貸したお金はきちんと返済されるのか」を判断します。
そのため、事業内容の具体性や市場・競合の分析、収支計画の妥当性などを厳しくチェックされます。
特に法人成りの場合は「なぜ今、法人化をするのか」「法人化によって事業はどう成長するのか」といった問いに客観的な根拠を持って答えなければなりません。
法人成りの創業融資は税理士事務所への相談がおすすめ
以下3つの理由から、法人成りの創業融資は、税理士事務所への相談がおすすめです。
- さまざまなサポートやアドバイスを受けられるから
- 審査通過率を90%近くまで高められるから
- 依頼費用も決して高額ではないから
それぞれ詳しく解説します。
さまざまなサポートやアドバイスを受けられるから
融資に強い税理士事務所に相談をすれば、申請プロセス全体にわたって、さまざまなサポートを受けられます。
具体的なサポート内容は、以下の通りです。
- 数ある融資制度のなかで、自社の状況に適した制度の選定
- 事業計画書の作成
- 融資希望額の算出
上記すべてを自力で正しくこなすのは、非現実的です。
例えば、本来であれば融資を受けられそうな状況でも、希望額が高すぎるあまり融資を受けられないケースがあります。
また、事業について事業計画書で正しくアピールできずに、不利になるケースもあるでしょう。
税理士事務所のサポートがあれば、こういった心配は不要です。
審査通過率を90%近くまで高められるから
自力で創業融資の申請をした場合の通過率は、50%程度であるとお伝えしました。
融資サポートを得意とする税理士に依頼をすれば、その通過率を90%近くまで高められます。
通過率をここまで高められる、主な理由は以下の2つです。
- 信頼性が向上するから
- 専門性の担保になるから
税理士という国家資格を持つ専門家が関与することで、金融機関から見た客観性や正確性に対する信頼度が格段に上がります。
また、税理士は数多くの案件を通じて、金融機関が審査でどのポイントを重視し、どのような点を懸念に感じるのかを熟知しています。
審査担当者が抱きそうな疑問点を先回りして、回答を用意することで通過率が上がるでしょう。
少しでも審査通過率を上げたいのであれば、税理士への相談がおすすめです。
依頼費用も決して高額ではないから
専門家への依頼をためらう、最大の理由が費用ではないでしょうか。
税理士へは創業融資のみならず、確定申告や税務調査への立ち会いなどを依頼できます。そして創業融資のサポートは、これらの中で最も費用のかからない選択肢です。
相場は、融資実行額の3〜5%程度となっています。例えば500万円の融資が成功した場合、15〜25万円が報酬となります。
融資実行額から報酬を支払えるため、大きな負担にはなりません。
個人の場合は自力での確定申告も可能ですが、法人化をすると、原則として税理士に依頼をすることとなります。
そのため、顧問契約を結ぶ税理士に創業融資も併せて依頼をするのがおすすめです。
関連記事:創業融資は税理士がいると安心!成功報酬の相場は3〜5%!依頼内容などについて解説
法人成りをして創業融資を受けるための注意点
法人成りをして創業融資を受ける際には、審査を有利に進めるため、法人設立の段階から注意すべき点があります。
まずは資本金の額です。会社法上は、資本金1円でも会社を設立できます。しかし、資本金が極端に少ないと、審査で不利に働く可能性が高いです。
融資希望額の10分の1程度など、ある程度のまとまった金額を設定するのが望ましいでしょう。
続いては、定款に記載する事業目的です。
関連性の薄い事業目的を多数羅列したり、コンサルティングのような実態が不明瞭な目的を入れたりすると、信用を損なう恐れがあります。
また、個人事業主時代の信用も重要です。税金の滞納や既存の借入金の返済遅延などがあると、個人の信用に傷が付き、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
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具体的なサポート内容は以下の通りです。
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また弊所が提供する「確定申告丸投げパック」のサービス内容は以下の通りです。
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料金は以下の通りです。
売上規模 | 月額報酬(毎月) | 決算報酬(年1回) |
---|---|---|
〜1,000万円 | 1万円(個人) 2万円(法人) | 10万円(個人) 12万円(法人) |
〜2,000万円 | 2万円(個人) 2.5万円(法人) | 10万円(個人) 12万円(法人) |
〜3,000万円 | 3万円 | 14万円 |
〜4,000万円 | 4万円 | 16万円 |
5,000万円超 | ご相談 | ご相談 |
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まとめ
法人成りの際に利用できる創業融資や創業融資以外の選択肢、注意すべき点などについて解説しました。
法人成りの際に創業融資を受けたいのであれば、日本政策金融公庫や地方自治体の融資制度がおすすめです。
また、創業融資の審査に通過する確率を少しでも高めたいのであれば、税理士事務所への相談がおすすめです。
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