個人事業主の税務調査では、原則として3年分の所得税や消費税を調べられます。場合によっては、個人口座や個人宅の生活スペースまで調べられます。
また、売上が急増した方や毎年1,000万円をギリギリ超えない額の方は、税務署から目をつけられやすいです。
「税務調査の対象になってしまって不安」「いずれ対象になるかもしれない税務調査に備えておきたい」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
今回は個人事業主の税務調査はどこまで調べられるのか、対象になる確率や目をつけられやすい個人事業主の特徴などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、税務調査に対する不安がなくなります。
目次
個人事業主の税務調査はどこまで調べる?
個人事業主が税務調査でどこまで調べられるのかについて、以下3つの観点から解説します。
- 対象税目
- 対象期間
- 対象書類
なお「どこまで調べるのか」については、税務調査前に行われる事前通知でも把握できます。
1つずつ詳しく見てみましょう。
対象税目は所得税と消費税
個人事業主の税務調査において、主に対象となる税目は「所得税」と「消費税」の2つです。
まず所得税とは、個人事業主の「儲け(所得)」に対して課される税金です。
儲けが少なくなれば(売上が下がったり、経費が増えたりすれば)、所得税を圧縮できます。
そのため税務署は、売上が正しく計上されているか、経費に架空のものや家事按分が不適切なものが含まれていないか、といった点を中心に調査します。
続いては消費税です。
消費税の税務調査では、課税売上が正しく集計されているか、仕入れにかかった「課税仕入」の計算が適切かなどがポイントとなります。
対象期間は3年間
税務調査で調べられる対象期間は、原則として「過去3年分」とされています。
例えば、2025年10月に税務調査の連絡が来た場合、すでに申告が終わっている2024年分、2023年分、2022年分の3年分の申告内容が調査対象となるのが一般的です。
しかし3年分の調査で怪しい点が見つかった場合は、調査期間が5年や7年に延長されるケースもあります。
「この事業者は3年以上前にも同じことをやっていた可能性が高い」と考えられるためです。
肌感覚としては、3年分の調査で済むのは、税務調査の対象になる方のおおよそ半分程度です。残りの半分は、5年や7年に調査期間が拡大されます。
税務調査の期間については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:税務調査は何年分調べられる?の答えは3年分!5年・7年になるケースや今からできる準備について解説
調べられる書類
税務調査では、申告内容の裏付けとなり得る、あらゆる書類が調査対象となります。具体的な例は、以下のとおりです。
- 会計帳簿
- 請求書
- 納品書
- 契約書
- 預金通帳
- 領収書
- レシート
- クレジットカードの利用明細
特に領収書は、日付、金額、発行元、但し書きが適切か、プライベートな支出が混入していないかを厳しくチェックされます。
1つ前の項目で、税務調査では最大で7年分を調べられるとお伝えしました。
そのため、上記書類を7年間は保管しておかなければなりません。
個人事業主の税務調査では個人口座も調査の対象
「事業用の口座とプライベート用の口座を分けているから、個人口座は見られないはず」と考える個人事業主の方は多いかもしれません。
しかし、それは間違いです。
税務署は「事業用の口座から意図的に売上を除外し、個人口座に入金しているのではないか」と疑うからです。
事業用の口座から引き出された現金が、経費に使われたのではなく、事業主のプライベートな生活費になったのではないかと疑われる場合もあるでしょう。
調査官には「質問検査権」という強力な権限があります。その中には、調査対象者の銀行口座を調査する権限も含まれています。
事業とプライベートの資金を明確に分けて管理するのは、基本です。
そして分けて管理をしていたとしても、個人口座も調査対象になる可能性があるという認識は持っておかなければなりません。
個人事業主の税務調査では個人宅の生活スペースまで見られることも
個人事業主の多くは、自宅の一部を事務所や作業場として使用しています。
この場合、税務調査官が「事業の実態を確認するため」に、自宅の内部、場合によっては生活スペースまで確認するケースがあります。
もちろん、調査官が無差別にクローゼットや寝室を漁るわけではありません。
しかし、事業に関連する証拠が隠されていると疑われる場合や、家事按分の妥当性を確認する必要がある場合には、立ち入りを求められることがあります。
例えば家賃の半分を経費として計上していたにもかかわらず、実際にはワンルームの片隅に机が置いてあるだけであれば、家事按分の比率を否認される可能性が高くなるでしょう。
関連記事:家事按分の基本と実務対応|自宅兼事務所での経費計上ルールと按分方法
個人事業主が税務調査の対象になる確率は0.5%
個人事業主が税務調査の対象になる確率は、わずか0.5%とされています。これは、200人に1人程度の割合です。
個人事業主として事業を行っていると、税務調査の対象にならないか、心配かもしれません。しかし、数字上はそう頻繁に対象になるものではないと言えると思います。
ただし、税務署はランダムに調査対象者を選んでいるわけではありません。
巨大なデータベースを活用して、膨大な申告データの中から「異常値」や「申告漏れの可能性が高い事業者」を効率的に抽出し、調査対象を選定しています。
つまり、誤りがある可能性が高いと判断した事業者に対して、狙い撃ちで調査しています。
売上が急増した年や、経費率が例年と大きく異なる年などは、税務調査の対象になりやすいので要注意です。
10年以上税務調査の対象にならない個人事業主もいる
10年以上、あるいは開業してから一度も税務調査の対象になっていない個人事業主も多く存在します。
特に、売上規模が小さく、毎年安定した申告を続けている場合、税務署側に「調査の優先順位が低い」と判断される可能性が高いです。
税務署も、限られた人員で効率的に業務を行う必要があります。
そのため、時間と手間をかけても大きな追徴課税が見込めそうにない事業者には、なかなか調査を実施しません。
関連記事:個人事業主が税務調査対象になる確率は0.5%なのに通知が来た!流れや今からできる準備を紹介
税務署から目をつけられやすい個人事業主の特徴
前述のとおり、税務署は調査対象を厳選しています。
つまり、対象になりにくい個人事業主もいれば、目をつけられやすい個人事業主もいます。
税務署から目をつけられやすい個人事業主の特徴は、以下のとおりです。
- 売上が急激に伸びている
- 売上が毎年1,000万円をわずかに下回っている
- 利益率や経費率が同業他社と比べて低すぎる(高すぎる)
- 現金商売(飲食業、美容室など)
- 申告漏れが多い業界に属している(経営コンサル、ホスト、配信者など)
関連記事:【個人事業主向け】「無申告でも税務調査が来ない」は間違い!来る確率や今からできる対策を紹介
個人事業主の税務調査への対応は税理士への依頼がおすすめ
以下3つの理由から、個人事業主の税務調査への対応は、税理士への依頼がおすすめです。
- 対応によって追徴課税額が大きく変わるから
- 準備の手間や精神的負担から解放されるから
- 場合によっては十分元を取れるから
それぞれ詳しく解説します。
対応によって追徴課税額が大きく変わるから
申告内容は同じでも、対応の仕方によって税務調査の結果は大きく変わります。
例えば弊所では、調査官の指摘に対して適切に反論して、450万円の追徴課税を160万円に減額した例もあります。
税金に対する専門知識のない個人事業主が一人で対応すると、調査官の指摘に対して、的確に反論できません。
調査官の言うことを鵜呑みにしてしまい、本来認められるべき経費まで否認され、不必要に多くの追徴課税を支払うことになりかねません。
そのため、税務調査への対応は税理士への依頼がおすすめです。
調査官も相手が税務のプロであれば、無理な指摘や高圧的な態度は取りにくくなります。
準備の手間や精神的負担から解放されるから
税務調査の連絡が来ると、まず「事前準備」が必要になります。
過去3年分の帳簿、領収書、請求書、契約書などをすべて揃え、整理し、調査官からの質問を想定して回答を準備しなければなりません。
本業で忙しい個人事業主にとって、この作業は膨大な時間的コストとなります。
数年前の領収書が1枚見つからないだけで、不安で夜も眠れなくなるかもしれません。
そして調査当日は、朝から夕方まで調査官と対峙し、厳しい質問や指摘に答え続けなければなりません。
税理士に依頼すれば、これらの負担の大部分を軽減できます。当日は税理士が立ち会いますし、事前に受け答えのシミュレーションもできます。
準備の手間や精神的な負担から解放され、本業にコミットできるでしょう。
場合によっては十分元を取れるから
税理士への依頼には、当然費用がかかります。しかし税理士への依頼は、かかった費用の元を取れる可能性の高い選択肢です。
まず、税理士に依頼をすれば、追徴課税額を減額できる可能性が高まります。
例えば税理士に30万円支払い、追徴課税額を100万円から50万円に減額できた場合、元を取れた(20万円得をした)と言えるでしょう。
税理士は、追徴課税を取れる可能性が高いと思われる事業主を調査対象にします。そのため、調査の対象になった時点で、いくらかの追徴課税は覚悟しておかなければなりません。
また、税務調査の準備や当日の対応を税理士に任せられるため、精神・体力的な面でもプラスになります。
追徴課税額の減額と精神・体力的な負担からの解放の2点から、税理士への依頼は十分に元を取れる選択肢です。
個人事業主はそもそも税務調査の対象にならないことが大切
税務調査の対象になると、約8割の確率で何らかの指摘を受け、追徴課税を課されます。
すでに税務調査の対象になってしまった方は、その後の対応について考えるしかありません。
しかし、まだ対象になっていないのであれば「対象になった時の対応方法を考えよう」ではなく「そもそも対象にならないための対策」を講じることが大切です。
そこで重要なのが、正確な確定申告です。
正しく申告ができていれば、税務調査の対象になる可能性を減らせます。万が一税務調査の対象になっても、自信を持って対応できます。
そして正確な確定申告には、税理士への依頼がおすすめです。
費用も税務調査への対応依頼と比べて抑えられます。例えば弊所では、月額1万円〜でのご依頼が可能です。
関連記事:確定申告を税理士に丸投げしたい個人事業主必見!費用や損に繋がるデメリットを紹介
個人事業主が税務調査の対象になると最悪の結果になる?
税務調査の対象になった時点で「すべてを失うかもしれない」と不安に陥る方もいます。
しかし結論、税務調査の対象になったからといって、人生が大きく変わってしまうことはありません。
たしかに追徴課税を取られるかもしれませんが、その後はこれまで通り事業を行えます。
悪質な脱税が疑われる場合には、刑事事件化して逮捕される可能性もあります。しかし個人事業主の申告漏れで、こういった事態に発展することは、まずあり得ません。
税務調査は、精神的にも金銭的にも大きな負担です。しかし「経理処理の誤りを正す良い機会」と捉えて、乗り越えるしかありません。
税務調査が不安な方は、以下の記事もチェックしてみてください。
関連記事:税務調査が入るとやばい?いくら取られる?どうなるのかを具体的に解説
税務調査の対応は永安税理士事務所にお任せください
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- 調査の立ち会い
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まとめ
個人事業主の税務調査はどこまで調べられるのか、対象になる確率や目をつけられやすい個人事業主の特徴などについて解説しました。
税務調査で何を調べられるかは、事前に通知されます。税務調査の対象になったら、税理士のサポートを受けつつ、当日に向けた準備を進めましょう。
>>永安栄棟税理士事務所の「税務調査完全サポートパック」を詳しく見てみる
また、そもそも税務調査の対象にならないように、正しく確定申告を行うことが大切です。
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