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自己資金なしでも創業融資は受けられる!種類や融資額の目安、審査通過率を上げる方法を解説 

2025.12.19 10:00
自己資金なしでも創業融資は受けられる!種類や融資額の目安、審査通過率を上げる方法を解説

自己資金なしでも、創業融資は受けられます。しかし、融資額が少なくなる可能性や、審査通過率が低くなる可能性があります。

創業融資額の目安は、自己資金の3〜4倍です。例えば自己資金が100万円の場合、一般的には300〜400万円の融資を受けられます。

「自己資金はないが、創業融資を受けたい」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

今回は自己資金なしでも申し込める創業融資4選や自己資金なしだと融資額が少なくなる理由、自己資金なしでも創業融資を受けやすくする方法などについてまとめました。

税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。

記事を最後までチェックすれば、最大限の創業融資を受ける方法が分かります。

自己資金なしで受けられる創業融資もある

「起業したいが、自己資金がないから融資は無理だ」と諦めている方もいらっしゃるでしょう。

しかし制度上は、自己資金がゼロで申し込める創業融資もあります。

以前は、多くの創業融資制度で「自己資金が〇〇円以上あること」といった要件が定められていました。

近年では創業者を支援する社会的な気運の高まりを受け、これらの要件が撤廃・緩和される傾向にあります。

ここで誤解してはならないのが「申込資格があること」と「審査に通ること」は別の話であるという点です。

自己資金が多ければ多いほど、創業融資を受けられる可能性は高まります。受けられる融資額も増えます。

「自己資金ゼロ」がハンデキャップであることに、変わりはありません。

自己資金なしでも申し込める創業融資一覧

自己資金なしでも申し込める主な創業融資は、以下のとおりです。

  • 新規開業資金(日本政策金融公庫)
  • 中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫)
  • 挑戦支援資本強化特別貸付(日本政策金融公庫)
  • 制度融資(各金融機関)

それぞれ詳しく解説します。

新規開業資金(日本政策金融公庫)

まず候補となるのが、政府系金融機関である日本政策金融公庫の「新規開業資金」です。

対象者は「新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方」と幅広く、融資限度額も7,200万円(うち運転資金4,800万円)と大きく設定されています。

>>新規開業資金はこちら

中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫)

同じく日本政策金融公庫が提供する「中小企業経営力強化資金」も、自己資金要件がない創業融資制度の1つです。

融資限度額は2億7,000万円で返済期間は20年以内となっています。

>>中小企業経営力強化資金はこちら

挑戦支援資本強化特別貸付(日本政策金融公庫)

「資本性ローン」と呼ばれる、少し特殊な融資制度が「挑戦支援資本強化特別貸付」です。

こちらも自己資金要件はありません。

最大の特徴は、融資された資金が金融機関の審査上、負債ではなく「自己資本」と見なされる点です。

つまり、この融資を受けることで、自己資本を増強したのと同じ効果が得られ、他の金融機関からの追加融資が受けやすくなるという大きなメリットがあります。

>>挑戦支援資本強化特別貸付はこちら

制度融資(各金融機関)

お住まいの都道府県や市区町村が、地域の金融機関や信用保証協会と連携して提供しているのが「制度融資」です。

これも創業者が利用できる代表的な融資制度であり、自治体によっては自己資金要件が非常に緩やか、あるいは設けられていない場合があります。

住んでいる地域で、どのような制度融資が利用できるかを確認してみるのも良いでしょう。

自己資金なしだと創業融資額は少なくなる可能性が高い

以下3つの理由から、自己資金なしだと創業融資額は少なくなる可能性が高いです。

  • 事業への本気度や覚悟が測れないから
  • 計画性や経営者としての資質を証明できないから
  • 融資する側のリスクが大きいから

1つずつ詳しく見てみましょう。

事業への本気度や覚悟が測れないから

金融機関の審査担当者が融資の可否を判断する際、事業計画書に書かれた内容と同じくらい重視するのが、経営者の「事業への熱意」や「覚悟」です。

そして、その覚悟を示す最も分かりやすい証拠が「自己資金」です。

毎月の給料からコツコツとお金を貯めてきたという通帳の履歴は、「この人は何年も前から計画的に準備を進めてきたのだ」という、印象を与えます。

一方で、自己資金が全くない状態で融資を申し込むと、担当者に以下のような疑念を与えてしまいます。

  • この事業を成功させるために、自分自身でリスクを負う覚悟があるのだろうか?
  • 他人の資金頼みで、少し事業が傾いたら簡単に諦めてしまうのではないか?

事業への想いをどれだけ熱く語っても、それを裏付ける自己資金がなければ、口先だけの計画と判断されてしまう可能性が高くなるでしょう。

計画性や経営者としての資質を証明できないから

事業を始めるには、設備投資や当面の運転資金など、さまざまなお金が必要です。

それにもかかわらず、そのための資金を事前に準備してこなかったという事実は、融資担当者に「個人の資金管理すらできない人が、これから事業全体の資金管理を適切に行えるのだろうか?」という不安を与えます。

自己資金がない状態は、単にお金がないだけでなく、経営者としての信頼性を根本から揺るがす要因となり得るでしょう。

融資する側のリスクが大きいから

金融機関も、慈善事業ではなくビジネスとして融資を行っています。貸したお金が返ってこない「貸し倒れ」は避けなければなりません。

そもそも実績のない創業者への融資は、金融機関にとって非常にリスクの高い投資です。

例えば、1,000万円の開業資金のうち自己資金が300万円あれば、金融機関が負うリスクは700万円です。

しかし、自己資金がゼロの場合、金融機関は1,000万円のリスクを100%負うことになります。

自己資金がない案件は、よほど事業の成功確度が高いという客観的な証拠がない限り、リスクが大きすぎると判断され、融資額が大幅に減額されるでしょう。

あるいは、融資そのものが見送られるかもしれません。

創業融資額の目安は自己資金の3〜4倍ほど

融資額に関する、明確なルールは存在しません。しかし、「自己資金の3〜4倍程度」が、融資希望額の1つの基準とされています。

例えば、自己資金として100万円を準備できた場合、その3〜4倍である300〜400万円程度の融資を希望するのが1つの目安です。

もしあなたが1,000万円の融資を受けたいのであれば、少なくとも250〜300万円程度の自己資金が必要です。

もちろん、これはあくまで目安であり、事業経験や事業計画の質によって変動します。

しかし、自己資金が多ければ多いほど選択肢が広がり、より有利な条件で融資を受けられる可能性が高まることは間違いありません。

自己資金なしでも創業融資を受けやすくなる方法

自己資金なしでも創業融資を受けやすくなる方法は、以下の4つです。

  • みなし自己資金を申請する
  • 事業計画書の質を高める
  • 融資希望額を少額に設定する
  • 専門家のサポートを受ける

それぞれ詳しく見てみましょう。

みなし自己資金を申請する

手元の預金は少なくても、実質的に自己資金と見なされる「みなし自己資金」を主張することで、評価を改善できる場合があります。

例えば事業用に購入済みで、これから使用する予定のパソコンや車両、機材などがあれば、それらの客観的な時価評価額を自己資金の一部としてアピールできるでしょう。

また、親族から返済義務のない「贈与」として受け取った資金も、自己資金と認められます。

その際は贈与契約書を作成し、一時的に借りた「見せ金」ではないことを明確に証明しましょう。

これらの「みなし自己資金」を徹底的に洗い出し、客観的な証拠とともに提示することで、預金額以上の資金準備能力があると判断してもらえる可能性があります。

事業計画書の質を高める

自己資金の不足という弱点を補う、最も強力な武器が「事業計画書」のクオリティです。

単に「何をしたいか」を書くだけでなく、「なぜそれが成功するのか」を、誰が見ても納得できるように記載しましょう。

例えば売上計画の場合、「周辺の競合店の調査データ」「商圏の人口動態」「すでに獲得済みの見込み客リスト」といった具体的な根拠を示し、希望的観測ではないことをアピールします。

資金計画についても、「何に、いくら使うのか」を1円単位で詳細に記載し、そのすべてに業者から取得した見積書を添付することで、計画の具体性と堅実性を証明します。

この緻密な事業計画書は、あなたの経営者としての分析能力と準備の周到さを示すものです。うまくいけば、自己資金の不足をカバーするだけの説得力を持てるでしょう。

融資希望額を少額に設定する

自己資金がゼロに近い状態で、いきなり高額な融資を希望するのは、「無謀な計画」と判断される可能性が高いです。

審査通過の可能性を高めるための現実的な戦略として、まずは必要最低限の金額に融資希望額を抑えるという方法があります。

例えば、本来であれば500万円で始めたい事業でも、「まずは自宅の一室を使い、中古の機材を揃え、150万円でスモールスタートします。そして、実績を作った段階で追加融資をお願いし、本格的な設備投資を行います」といった段階的な計画を提示するのです。

これにより、「リスクを理解し、身の丈に合った堅実な経営判断ができる人物」という評価を得られます。

専門家のサポートを受ける

自己資金がないという不利な状況だからこそ、創業融資に強い税理士などの専門家のサポートがおすすめです。

専門家は数多くの案件を通じて、金融機関がどのような点を重視し、どのような資料を求めているかを熟知しています。

前述した「みなし自己資金の洗い出し」や「事業計画書のブラッシュアップ」、「現実的な融資希望額の設定」といった戦略を組み合わせ、創業融資額を最大化します。

また、金融機関の担当者を紹介してくれたり、面談に同席してくれたりする場合もあり、精神的な支えにもなるでしょう。

一度審査に落ちてしまうと、再申請のハードルは格段に上がります。最初の挑戦で成功確率を最大化するためには、専門家の知見を借りましょう。

関連記事:創業融資は税理士がいると安心!成功報酬の相場は3〜5%!依頼内容などについて解説

自己資金なしの個人事業主でも創業融資を受けられる?

自己資金なしでも、個人事業主が創業融資を受けられる可能性はゼロではありません。 

創業融資の審査において、会社の形態が法人か個人事業主かによって、有利・不利が生じることは基本的にありません。

金融機関が見ているのは、会社の形態ではなく、事業主自身の資質と、事業そのものの将来性だからです。

このハンディキャップを乗り越えるためには、これまで述べてきたように、それを上回る「別の強み」が必要です。

例えば、10年以上の豊富な業界経験や、すでに契約済みの取引先が多数あるといった、事業の成功を確信させるだけの客観的な証拠が必要です。

関連記事:個人事業主でも創業融資を受けられる!種類や期限、自己資金なしでも利用できるのかを紹介

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まとめ

自己資金なしでも申し込める創業融資4選や自己資金なしだと融資額が少なくなる理由、自己資金なしでも創業融資を受けやすくする方法などについて解説しました。

創業融資は、自己資金なしでも受けられます。しかし、融資額が減ったり、審査通過率が下がったりするのが現実です。

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