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所得税

個人事業主が経費にできるものとは?判断基準を解説

2023.02.12 21:06
経費

個人事業主が確定申告をする際、「経費にできるか、できないか」と悩むことが一度はあるのではないでしょうか。経費にできれば所得税を減らせるため、できるだけ多くの経費を計上したいところです。

しかし経費にできるものは限られている上に、税務署と意見が対立して争うケースもあります。このコラムでは、個人事業主が経費にできるかどうかの判断基準と、よくある例を解説します。

経費が多ければ税金は少なくなる

個人事業主の所得税は、以下のように計算します。
収入-「経費」=所得
所得-所得控除=課税される所得金額
課税される所得金額×所得税率=所得税の金額

このため、経費が多ければ所得税の金額は少なくなります。
できるだけ経費を多く計上することが節税につながります

経費にできるかどうかの判断基準

経費とは、事業を行う際にかかった費用をいいます。つまり、業務上必要な費用が経費となるのですが「業務上必要かどうか」の解釈が問題になります
例えば物を仕入れて販売した場合、仕入代金は経費になります。では、販売するために営業しなければならず、そのためにスーツを購入したら、スーツの購入代金は経費になるでしょうか。現在では税務上、衣装代は必ずしも経費として認められていません。

このように「業務に必要である」と、何かしらの理由付けをすればよい訳ではありません。最終的には税務署とのコミュニケーションを経て、経費か否かが決定されることになりますので、多分に「税務署を納得させることができるか」という点が重要になってきます。

税務上経費として認められるかどうかは、具体的には以下のようなポイントで判断するとよいでしょう。

  1. 事業に直接関係があるかどうか。
  2. 事業の内容に鑑み、通常必要と考えられるものであるかどうか。
  3. 合理的な金額であるかどうか。家事按分しているかどうか。家事按分比率は合理的な数字かどうか。
  4. 領収書などの客観的な証拠があるかどうか。

それぞれ詳細を説明します。

1.事業に直接関係があるかどうか

例えば販売する商品の仕入代金は、明らかに事業に直接関係すると考えられますが、客観的に明確な対応関係がなくても、事業に関連するものであれば経費になります。例えば飲食代は、商談・営業のためのものであれば業務に関連するものとして経費計上が可能です。領収書だけではプライベートなのか事業に関連するものか分からないため、相手先や会議の内容、目的などを、メモで残しておきましょう

2.事業の内容に鑑み、通常必要と考えられるものであるかどうか

事業の内容や形態によって、かかる費用の内容はさまざまです。例えば、完全に自宅の中だけで行うネットビジネスをしているのに、多額の出張費が経費計上されていると、事業のためであるということについて、相当しっかりした説明が求められることになります。逆に、衣装代は原則として経費にならないと言われている中で、演劇をしている方が、業務でしか着用しない演劇衣装については、経費として認められるケースもあり得ます。

3.常識的な金額であるかどうか。家事按分しているかどうか。家事按分比率は合理的な数字かどうか。

営業のための接待費用でも、例えば1人分1回10万円を超える、などの一般的に高すぎる飲食代は、本当に事業のためだけに必要なのか疑念を持たれる可能性があります。

また、金額だけでなく収入との比率も大切なポイントです。売上が年間1,000万円なのに、接待交際費が年間500万円などと高い比率であると、本当に事業のための接待交際費なのかについて、疑念を持たれる可能性があります。しかし、かかる経費がほぼ交際費だけといった事業もあるかもしれませんので、根拠がしっかりしている場合は証拠を残すことが大切です。逆に根拠があいまいな場合、売上に対して比率が高い経費は否認されるリスクが高くなります。

また、自宅で事業をしている場合、水道光熱費や家賃なども、事業で使用した部分は経費になります。しかしメーターが分かれている訳ではないため、何かしらの比率で按分します。これを家事按分といい、按分比率は「使用している時間」や「使用面積」などの合理的なもので決めることが重要です。

もし自宅の経費を家事按分せずに全額を事業用とした場合は、プライベート部分が含まれていることが明らかであり、税務署に指摘されるリスクが高まります。また、水道代を家事按分比率5%、事業用95%などとした場合、たとえ自宅でほぼ事業をしていたとしても、水道の利用がほぼ事業のためとする強い証拠が求められるでしょう。家事按分をした上で、按分比率が常識的な比率であるかどうかも検討しましょう

4.領収書などの客観的な証拠があるかどうか。

領収書やレシートなどの客観的な証拠がないと、事業に関係する経費であるという根拠付けが弱くなります。どうしても見つからない場合は、より状況を詳細に記録したメモ書きや出金伝票を残しましょう。

よくある疑問(具体例)

経費になるかどうか悩むポイントを、いくつか紹介します。

  • 事業用で購入した衣装代

前述したとおり、事業のために購入した場合でも、スーツや洋服はプライベートでも着用できるため、経費になるとは限りません。ただしプライベートでは着用できない状況等については、経費とすることが可能です

  • ベビーシッター代

仕事をするためにベビーシッターを依頼したとしても、原則として代金は経費にはなりません。

  • 税金

個人事業主が支払う所得税、住民税は、個人が支払うものであるため経費にはなりません。ただし事業をしていることで支払う個人事業税は全額、固定資産税は業務用の部分が経費となります。

  • 自分の給料(生活費)

個人事業主は、自分の給料を経費にすることはできません。また生計を一にする家族への給料も原則として経費にはできません。青色申告をして届け出をすることで、所定の要件を満たせば青色事業専従者の給与を経費として計上できます。

それ以外の従業員を雇った場合は、給料を経費とできます。

  • 一人の食事、飲み物代

仕事の途中、一人で食事をしても、原則として食事代は経費にはなりません。仕事の途中で飲食するお茶やお菓子も同様です。商談のために相手がいたり、来客用の茶菓子であったりすれば経費になります。

  • 従業員がいない場合の福利厚生費

従業員が一人もいない状況では福利厚生費という概念がないため、経費にできません。

  • 事業に必要な資格取得費用

事業に直接必要な資格取得費用や研修の費用は、経費になります。ただし、個人に帰属する資格の取得費用は経費にできません。個人に帰属する資格とは、医師や弁護士など資格を持った人だけができる業務がある国家資格などをいいます。また、事業以外でも使える資格、例えば普通自動車の免許取得費用などは、経費計上が難しいケースが多くあります。状況に応じてよく検討しましょう。

  • 車を事業でしか使用しない場合の、車両購入代金やガソリン代

理論的には、事業でしか使用しない場合は全額経費となります。ただし、車を1台だけしか保有していない場合、本当にプライベートで一切運転をしないかどうか、疑念を持たれる可能性があります。根拠をしっかりと残しておく必要があるでしょう。

まとめ

以上、個人事業主が経費にできるものの判断基準を紹介しました。

事業に関連するものは原則として経費とできます。ただし、客観的に事業と関連性が薄いと思われるもの、金額の大きいもの、売上と比較して金額が大きいものなどは、指摘されるリスクがあるため、根拠を残すことが大切です

また、スーパーのレシートや、事業をしている場所とは離れている店舗での買い物など、客観的に見てプライベートのものではないかと疑念の持たれる可能性のあるものは、状況の記録を残しておきましょう。

最終的には税務署とのコミュニケーションを経て、経費か否かが決定されることになりますので、多分に「税務署を納得させることができるか」という点が重要になってきます。

逆に、経費として根拠のあるものはすべて計上し節税しましょう。プライベート分が混在していても、事業でも使用しているものは、家事按分することで経費にできます。自宅の家賃、通信費、光熱費や、プライベートと兼用の携帯代金、住宅ローンの金利部分なども、按分して計上できます。

経費となるものの判断を始めとして、税務相談については永安栄棟公認会計士・税理士事務所にお問い合わせください

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