会社名の決め方には、ルールがあります。
例えば、「株式会社」「合同会社」のような会社の種類を名称に入れなければなりません。また、使用できる文字や記号には制限があります。
「会社設立にあたり、まずは会社名を決めたい」「だけどどうやって決めれば良いか分からない」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
今回は会社名の決め方に関する4つのルールや意識したいこと、会社名が決められない方におすすめのツール3選などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、会社名を決めるための準備が整い、会社設立に向けて一歩前進できます。
目次
会社名の決め方に関するルール
会社名を決める際は、以下4つのルールを守りましょう。
- 会社の種類を名称に入れる
- 使用できる文字・記号に制限がある
- 公序良俗に反する名称は禁止されている
- 有名企業の名称やブランド名などは使用できない
それぞれ詳しく解説します。
会社の種類を名称に入れる
会社名を決める際は、名称の中に必ず「会社の種類」を明記しなければなりません。
これは会社法で定められており、その会社がどのような法人格を持つのかを、誰が見ても一目で分かるようにするためのものです。
具体的には、会社の形態に応じて「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」といった文言を、社名の前か後ろのどちらかに付けなければなりません。
例えば、「ABC」という名前の株式会社を設立する場合、「株式会社ABC」または「ABC株式会社」とする必要があります。
「(株)ABC」や「ABC(株)」といった略称の登記は、認められていません。
このルールは、取引先や顧客が、その会社がどのような法的責任の範囲を持つ組織なのかを正確に把握し、安心して取引できるようにするための重要な役割を担っています。
使用できる文字・記号に制限がある
会社名には、どのような文字や記号でも自由に使えるわけではありません。法律で使用できる種類が厳格に定められています。
登記できる文字は以下のとおりです。
- 漢字
- ひらがな
- カタカナ
- ローマ字(大文字・小文字)
- アラビア数字(0〜9)
また、使用できる記号の例は以下のとおりです。
- 「&」(アンパサンド)
- 「’」(アポストロフィー)
- 「,」(カンマ)
- 「‐」(ハイフン)
- 「.」(ピリオド)
- 「・」(中点)
しかし、これらの記号は単語を区切る目的でのみ使用が認められており、社名の先頭や末尾には、原則として使用できません。
例えば「株式会社A&B」は可能ですが、「!株式会社ABC」や「株式会社ABC?」にはできません。
公序良俗に反する名称は禁止されている
会社名は、その会社の社会的な顔となるものです。
そのため、法律に違反する事業を連想させたり、社会の秩序や道徳に反したりするような、公序良俗に反する名称は使用が禁止されています。
例えば「詐欺株式会社」や「犯罪集団合同会社」といった、明らかに違法行為や反社会的な活動を目的とすることを示すような名前は、登記申請の段階で受理されません。
これは、会社という公的な存在が、社会的に許容されない目的のために利用されるのを防ぐための当然のルールです。
常識的な範囲で事業内容や理念を表現する名前を考える限り、このルールに抵触することはまずありません。
しかし、奇抜さを狙うあまり、社会通念から逸脱した名称にならないよう注意が必要です。
有名企業の名称やブランド名などは使用できない
自社の知名度を上げるために、すでに有名な企業の名前やブランド名にあやかろうと考えるかもしれません。
しかしこれは、法律で固く禁じられています。
例えば「ソニー株式会社」や「トヨタ自動車株式会社」といった著名な企業の名称をそのまま、あるいは類似させて使用することはできません。
不正競争防止法に抵触する可能性が高いためです。
こういった法人名をつけると、消費者に「あの有名なソニーの関連会社かな?」といった誤解を与えるでしょう。
有名企業の長年の努力で築き上げられた信用やブランド価値に不当に便乗する行為と見なされます。
同様に「〇〇銀行」や「〇〇信託」といった金融機関や、「〇〇省」や「〇〇市役所」といった官公庁と誤認されるような名称も、それぞれ禁止されています。
ルールではないが会社名の決め方として意識したいこと
ルールとして定められているわけではないが、会社名を決める際に意識したいことは、以下の3つです。
- ドメインを取得できるか
- 検索した時に埋もれないか
- 海外でネガティブな意味を持たないか
1つずつ詳しく見てみましょう。
ドメインを取得できるか
現代のビジネスにおいて、公式Webサイトは会社の「顔」です。
どんなに素晴らしい会社名を思いついても、その名前に関連するドメイン名(〇〇.co.jpや〇〇.comなど)がすでに他社に取得されていては、Web上のブランディングで致命的なハンデを負うでしょう。
例えば、会社名が「ABC企画」なのに、ドメインが「xyz-planning-tokyo.net」のようになってしまうと、さまざまな場面で機会損失が生まれます。
会社名を決定する前に、必ずドメイン検索サイトで、希望するドメインが空いているかどうかを確認しましょう。
理想は、会社名と完全に一致する「.com」や「.co.jp」ドメインが取得できることです。
検索した時に埋もれないか
ドメインの取得と並行して、考えた会社名を実際にGoogleやYahoo!で検索してみることも重要です。
もし、検索結果が同名の有名企業や著名人、あるいは一般的な単語などの情報で埋め尽くされてしまう場合、その名前は避けた方が賢明でしょう。
なぜなら、その中で自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させるのは、極めて困難だからです。
せっかく興味を持ってくれた見込み客が、あなたの会社名で検索しても、あなたのWebサイトにたどり着けないかもしれません。
ユニークで、検索した時に競合が少ない、あるいは存在しない名前は、それだけで広告費をかけずに自社を見つけてもらうための強力な武器になります。
海外でネガティブな意味を持たないか
将来的に海外での事業展開や、外国人向けのサービス提供を視野に入れているのであれば、考えた会社名が外国語でネガティブな意味を持たないかを事前に確認しましょう。
過去には、日本の自動車名が海外のある国では卑猥な意味のスラングであったために、車名を変更せざるを得なかったという事例もあります。
グローバル化が進む現代において、意図せずブランドイメージを損なう事態は避けたいものです。
簡単な方法としては、考えた名前をGoogle翻訳などでいくつかの言語に訳してみたり、ネイティブの知人に意見を聞いてみたりすると良いでしょう。
個人事業主ならではの会社名の決め方に関するルール
個人事業主が使用する屋号は、法人と違って登記の必要がなく、比較的自由に決められます。
しかし、1つだけ絶対に守らなければならない重要なルールが存在します。
それは、取引先や顧客が「法人(会社)」であると誤解するような名称を使用してはならない、という点です。
具体的には、「株式会社」「合同会社」といった法人格を示す言葉を屋号に入れることは、会社法で明確に禁止されています。
例えば「〇〇デザイン株式会社」といった屋号は使えません。
また、「〇〇Corporation」や「〇〇Inc.」といった、英語で法人を示す言葉も同様に避けるべきです。
関連記事:個人事業主から法人化する際の費用は最低24万円!後悔しないタイミングや年間費用についても紹介
会社名の決め方が分からない方におすすめのツール
会社名の決め方が分からない方には、以下3つのツールをおすすめします。
- Webサイト
- アプリ
- AI
それぞれ詳しく見てみましょう。
Webサイト
会社名の候補を考えてくれるWebサイトがあります。
その中でもおすすめは、「会社名ネーミングジェネレーター」です。事業内容、ターゲット層、理念、使用する文字を入力すると、会社名の候補が出力されます。

単に名前を生成するだけでなく、類語辞典や同義語サイトを活用して、自社のコンセプトを表す別の言葉を探してみる方法もおすすめです。
例えば、「未来」というキーワードであれば、「フューチャー」「ビジョン」など、様々な言葉に言い換えることで、ネーミングの幅が広がります。
アプリ
スマートフォンアプリの中にも、会社名やブランド名を考えるのに役立つものが存在します。
特に、類語辞典アプリや辞書アプリは、移動中や隙間時間に手軽にアイデアを探すのに役立ちます。
また、マインドマップアプリを使って、自社の事業コンセプトや理念、提供したい価値などを放射状に書き出し、そこからキーワードを抽出していくという方法もおすすめです。
マインドマップアプリとしては「Xmind」などがおすすめです。
AI
近年、急速に進化しているChatGPTを始めとする生成AIは、会社名を考える上で非常に強力なアシスタントになります。
AIの優れている点は、単に単語を組み合わせるだけでなく、コンセプトやストーリーに基づいた提案をしてくれる点です。
例えば「環境に優しく、未来志向のテクノロジー企業であることが伝わる、ユニークで覚えやすい会社名を10個提案してください」といった指示を与えると、以下の会社名が生成されました。

会社名を決めた後にやるべきこと
会社名の決定は、会社設立に必要な手続きの第一歩に過ぎません。
会社名を決めたら、会社の基本ルールを定めた「定款」の作成と、法務局への「法人登記」申請が必要です。
定款には、決定した会社名のほか、事業目的、本店の所在地、資本金の額、役員の構成などを記載します。これらの登記手続きが完了して初めて、法的に会社が誕生します。
登記と並行して、会社の経営基盤を固めるための重要な意思決定も必要です。
特に重要なのが「役員報酬」の決定です。
役員報酬は、一度決めると原則として1年間は変更できず、その金額は会社の利益と役員個人の所得税・社会保険料に大きな影響を及ぼします。
税負担を最適化するためには、専門家である税理士に相談の上、慎重に金額を設定すべきです。
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- 設立支援:必要な届出書の作成や司法書士・社労士の紹介など
- 資金調達支援:資金調達方法に関するアドバイス
- 設立時の運営指導:役員報酬の金額や合同会社・株式会社の選択などのアドバイス
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サービス内容は以下のとおりです。
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- 決算書の作成
- インボイスへの対応
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料金は以下のとおりです。
| 売上規模 | 月額報酬(毎月) | 決算報酬(年1回) |
|---|---|---|
| 〜1,000万円 | 1万円(個人) 2万円(法人) | 12万円(個人) 12万円(法人) |
| 〜2,000万円 | 2万円(個人) 2.5万円(法人) | 12万円(個人) 16万円(法人) |
| 〜3,000万円 | 3万円 | 16万円 |
| 〜4,000万円 | 4万円 | 18万円 |
| 5,000万円超 | ご相談 | ご相談 |
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まとめ
会社名の決め方に関する4つのルールや意識したいこと、会社名が決められない方におすすめのツール3選などについて解説しました。
会社名の決定は、会社設立に向けた手続きの第一歩に過ぎません。本記事で紹介したルールに基づいて会社名を決め、次のステップに進みましょう。
会社設立の手続き、設立後の税務申告などについては、税理士のサポートがおすすめです。
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