
個人事業主が税務調査の対象になる確率は、わずか0.5%です。「これまで一度も来たことがない」「10年以上対象になったことがない」といった方も珍しくありません。
にもかかわらず税務調査の対象になってしまった場合、税務署側にもそれ相応の理由や根拠があると考えるのが妥当でしょう。
意図的に不正を働いてしまった場合は、どうしようもありません。
しかしそうでない場合、事前準備や当日の受け答えによって、支払う税金が数十〜数百万円変わるケースもあります。
今回は個人事業主が受ける税務調査の流れや注意点、対象になりやすい人の特徴などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、税務調査に関する不安がひと通り解決します。
目次
個人事業主が税務調査の対象になる確率はたったの0.5%
個人事業主が税務調査の対象となる確率は、0.5%ほどとされています。
つまり、200人に1人程度しか税務調査を受けていません。実際には多くの個人事業主が、税務調査とは無縁で事業を続けています。
税務署は人的リソースの問題から、すべての納税者に対して細かく調査をすることはできません。
そのため、申告内容に不審点が見られる事業者を優先的に選定して調査します。
もしあなたが税務調査の対象になったのであれば、税務署に「申告内容に問題がある可能性が高い」と判断されたサインです。
税務調査が10年以上来ない個人事業主も珍しくない
税務調査が10年以上来ない、それどころか一生に一度も来ない方も珍しくありません。一方で、何度も税務調査の対象となる方もいます。
税務調査の対象になる確率は約0.5%です。しかしそれは「運次第」という意味ではありません。
税務調査の対象となった時点で、追徴課税や税理士費用など何かしらの費用が発生することがほとんど確定します。
詳しくは後述しますが、そもそも税務調査の対象とならないようにきちんと確定申告を行うことが大切です。
個人事業主が税務調査を受ける際の基本的な流れ
個人事業主が税務調査を受ける際の、大まかな流れは以下のとおりです。
- 税務署から調査通知が来る
- 税務調査の日程を決める
- 税務調査に向けて準備をする
- 税務調査当日を迎える
それぞれ詳しく解説します。
税務署から調査通知が来る
税務調査の対象になると、調査の10日前を目処に、税務署から電話で通知が来ます。
なお税務代理権限証書を提出していた場合には、個人事業主ではなく税理士に通知が行きます。
税務代理権限証書とは?:
税理士が納税者に代わって税務代理を行う場合に、税務署に対して提出する書類。
税務調査の日程を決める
通知を受けたら、税務調査の日程を決めます。
税務署側から調査日時の指定があります。しかし、必ずしもその日程である必要はありません。都合が悪ければ、別日で調整できます。
税理士に立ち会いを依頼する際は、あなた・税務署・税理士の3者の都合が付く日程を調整しなければなりません。
税務調査に向けて準備をする
通知から税務調査当日までの間に、必要書類を集めたり、受け答えのシミュレーションをしたりして準備をします。
税理士に税務調査への立ち会いを依頼する場合、受け答えのシミュレーションなども一緒に行えます。
税務調査当日を迎える
税務調査当日には、会話を中心としたやり取りを行い、必要に応じて書類を提出します。
個人事業主の場合、税務調査にかかる日数は1〜2日ほどです。税務調査を行う場所は、自宅・事業所・店舗などが一般的です。
税務調査が終わると、一般的には3ヶ月以内に結果が届きます。結果次第では、修正申告などが必要となります。
個人事業主が税務調査を受ける際の注意点
個人事業主が税務調査を受ける際は、以下2点に注意しましょう。
- 誤魔化そうとしない
- とにかく事前準備が大切
1つずつ詳しく解説します。
誤魔化そうとしない
調査官は、数多くの事例を見ています。そのため誤魔化しや虚偽の説明は絶対に避けましょう。
例えば、売上の除外や経費の過大計上といった不正は、帳簿の矛盾や証拠資料の不備などから簡単に見抜かれます。
不正が発覚すると、通常よりも重い税負担が課せられる可能性があります(重加算税など)。
税務調査の対象となる時点で、すでに何かしらを疑われており、状況は不利です。税務調査では、その状況を悪化させないことが大切です。
とにかく事前準備が大切
税務調査で大切なのは、当日の対応よりも事前準備です。
明らかな不正は当然覆りません。しかし、事前準備が税務調査の結果を左右する場合もあります。
帳簿への記載内容と実際の取引内容が一致しているか、領収書や請求書などが揃っているかなどを事前に確認しておきましょう。
例えば自宅で働く個人事業主の場合、家事按分の計算根拠を求められるなど、細かいところまで聞かれます。
個人事業主が税務調査の対象になった際は税理士への依頼がおすすめ
以下3つの理由から、個人事業主の税務調査は、税理士への依頼がおすすめです。
- 税務調査に対する不安から解放されるから
- 税務調査への対応に時間を割かれないから
- 依頼費用を差し引いても場合によってはプラスになるから
税理士に依頼をすれば、税理士の指示のもとで税務調査への準備を進められます。そのため不安から解放されますし、調べごとなどに余計な時間を費やす必要もありません。
本来の業務に時間を投下できます。
たしかに税理士に税務調査の立ち会いを依頼すると、30〜70万円ほどの費用がかかります。
しかし事前準備や受け答えによって税務調査がうまく運べば、依頼費用以上に税金を抑えられる可能性も低くありません。
関連記事:税理士への税務調査立ち会い依頼時の費用相場は30〜70万円!メリットや流れを解説
税務調査の立ち会いやサポートは永安税理士事務所におまかせください
永安栄棟税理士事務所では、税務調査完全サポートパックを提供しています。プランの詳細は以下の通りです。
- 事前打ち合わせ・資料確認
- 調査の立ち会い
- 税務署との調整
- 修正申告書の提出
料金は30万円〜となっており、要望に応じて最適なプランを提案させていただきます。
永安栄棟税理士事務所では、税務調査歴40年超の元特別国税調査官をはじめとしたスタッフが、豊富な経験をもとにサポートいたします。
これまでサポートを行ったほぼすべてのお客様で、税務調査サポート費用を上回る追徴課税の減少を実現しました。

弊所は兵庫県にある税理士事務所ですが、日本全国どこからでもご依頼いただけます。プラン詳細については、以下をチェックしてみてください。
税務調査の対象になりやすい個人事業主の特徴
税務調査の対象になりやすい個人事業主の特徴は、以下の4つです。
- 売上が毎年1,000万円をわずかに下回っている
- 申告漏れが多い業種に属している
- 経費率が高すぎる
- そもそも確定申告をしていない
それぞれ詳しく解説します。
売上が毎年1,000万円をわずかに下回っている
年間売上が1,000万円を超えると、課税事業者となり、消費税を支払う必要があります。
詳しい計算方法の解説は省略しますが、売上1,000万円の場合は50万円前後の消費税を支払わなければなりません。
一方売上が1,000万円以下だと、この消費税はかかりません(インボイス登録をしている場合は別)。
そのため消費税を逃れようと、売上が1,000万円をわずかに下回る金額に調整しようとする方がいます。
「950万円・970万円・990万円」のように、毎年売上が1,000万円をわずかに下回る状態が続くと、税務調査の対象になる可能性は上がるでしょう。
申告漏れが多い業種に属している
業種によって、申告漏れの多さは異なります。
例えば以下は「申告漏れ金額が高額な上位10業種」です。
順位 | 業種目 | 1件当たりの申告漏れ所得金額 | 1件当たりの追徴税額(含加算税) |
---|---|---|---|
1 | 経営コンサルタント | 3,871万円 | 1,040万円 |
2 | ホステス、ホスト | 3,654万円 | 507万円 |
3 | コンテンツ配信 | 2,381万円 | 436万円 |
4 | くず金卸売業 | 2,068万円 | 683万円 |
5 | ブリーダー | 2,028万円 | 459万円 |
6 | 焼き鳥屋 | 1,657万円 | 427万円 |
7 | 太陽光発電 | 1,625万円 | 119万円 |
8 | 内科医 | 1,621万円 | 408万円 |
9 | スナック | 1,616万円 | 326万円 |
10 | 西洋料理 | 1,517万円 | 288万円 |
出典:令和5 事務年度 所得税及び消費税調査等の状況 11ページ
税務署も、申告漏れが多い業種は特に警戒しています。
そのためきちんと申告していても、その業界に属しているというだけで、税務調査の可能性は上がってしまいます。
経費率が高すぎる
売上が大きくても、経費率が高ければ、支払う税金は少なく済みます。そのため「できる限り経費を増やしたい」と考える方は多いでしょう。
しかし、経費率が高すぎると「利益がほとんど出ていないにもかかわらず事業が継続しているのは不自然」と判断され、税務調査の対象となる可能性が上がります。
正当な経費は、正しく計上すべきです。しかし、不正に経費を計上してはいけません。曖昧なものを取りあえず経費に含めてしまうのもNGです。
経費率に上限はありません。たとえ経費率が極端に高くなっても、理由を明確に説明できるのであれば問題ありません。
しかし、税務調査の対象になる可能性は上がります。
そもそも確定申告をしていない
そもそも確定申告をしていない(=無申告)場合、税務調査の対象となるリスクは非常に高くなります。
なかには「無申告だとバレないのでは」と思う方がいるかもしれませんが、以下の理由からそのようなことはありません。
- 取引先への税務調査から発覚する
- 取引先の支払調書から発覚する
- 銀行口座から発覚する
- 税務署へのタレコミから発覚する
無申告が発覚すると、15〜30%の無申告加算税が課されます。これは過少申告加算税の10〜15%よりも厳しいペナルティです。
関連記事:確定申告のしかたが全くわからない個人事業主が知っておくべき税金知識
個人事業主は売上いくらから税務調査の対象になりやすい?
「売上がいくらを超えると税務調査の対象になりやすい」といった明確な基準はありません。
しかし前述のとおり、年間売上1,000万円前後から、調査対象として注目されやすくなります。
また売上が急激に伸びた場合や経費の比率が高すぎる場合なども、税務調査の対象となりやすいでしょう。
売上が高いほど対象になりやすいのは事実ですが、それ以外の要素も判断材料となります。
個人事業主はそもそも税務調査の対象にならないように確定申告を税理士に依頼すべき
税務調査の対象になると、約8割が非違事項を指摘されます。そのため高い確率で、追徴課税など何らかのペナルティの対象となるでしょう。
税理士にサポートを依頼して、追徴課税などを支払わずに済むケースもあります。
しかしその場合、税務調査の対象にならなければ支払う必要のなかった30〜50万円を、依頼費用として支払わなければなりません。
一番大切なのは、そもそも税務調査の対象にならないことです。そのためには正しい確定申告が欠かせません。
税理士に確定申告を依頼すると、月1万円〜の費用がかかります。しかし手間の削減・節税効果・税務調査のリスク減などを考慮すれば、十分元を取れる選択肢です。
関連記事:確定申告を税理士に丸投げしたい個人事業主必見!費用や損に繋がるデメリットを紹介
まとめ
個人事業主が受ける税務調査の流れや注意点、対象になりやすい人の特徴などについて解説しました。
簿記や確定申告に関する知識がほとんどない状態で税務調査の対象になってしまった場合には、税理士への立ち会い依頼が欠かせません。
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そもそも税務調査の対象にならないよう、正しく確定申告を行うことが大切です。
しかし本来の業務と並行して地道に帳簿付けなどを行うのは面倒です。またゼロから簿記を学ぶのも大変でしょう。
確定申告についても、税理士への依頼をおすすめします。
永安栄棟税理士事務所でも「確定申告丸投げパック」を提供しています。詳しくは以下をチェックしてみてください。
