大半の一人親方は、確定申告が必要です。
確定申告をしていない一人親方は、加算税や延滞税が課されたり、ローンに通りづらくなったりします。
一人親方として働いているものの、確定申告のやり方が分からず困っている方もいるでしょう。
そこで今回は一人親方が確定申告をしないとどうなるのか、具体的なやり方や必要書類、経費で落とせるものなどについてまとめました。
税理士事務所の立場から、難しい用語は極力使用せずに分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、一人親方の確定申告についてひと通り理解できます。
目次
一人親方が確定申告をしてないとどうなる?
確定申告をしていない一人親方に起こることは、以下のとおりです。
- バレると加算税・延滞税が課される
- 収入を証明できない
- 建設業の許可が受けられない
それぞれ詳しく見てみましょう。
バレると加算税・延滞税が課される
「確定申告をしていない=税金を納めていない」です。無申告が税務署にバレると、加算税や延滞税が課されます。
加算税の税率は以下のとおりです。
本来の納税額 | 税率 |
---|---|
50万円まで | 15% |
300万円まで | 20% |
300万円以上 | 30% |
税務調査前に自分から期限後申告をすると、税率が5%まで軽減されます。
延滞税の税率は以下のとおりです。
- 納期限の翌日から2ヶ月以内:最大7.3%
- 納期限の翌日から2ヶ月以降:最大14.6%
確定申告をしていなくても、すぐにバレるとは限りません。
しかし取引先への税務調査や支払調書の提出、知人・関係者からのリークなどによって、いずれバレます。
数年バレなかったとしても、その期間は発覚のリスクを抱えながら過ごすこととなります。
「確定申告をしなくてもバレないのでは?」といった考えは捨てましょう。
収入を証明できない
確定申告書は、一人親方が収入を証明するために使用されます。
確定申告をしていないと、収入が証明できません。収入が証明できないと、住宅ローンや自動車ローン、事業融資の審査に通りづらくなります。
要するに信用力が低下します。
信用力が低いと、新たな仕事の獲得や事業拡大に支障をきたすでしょう。また日常生活にも影響が出ます。
一人親方(個人事業主)で収入を証明できなければ、世間的な見え方としては無職とほとんど変わりません。信用もほとんどないと言って良いでしょう。
収入を証明する手段を確保するためにも、確定申告は必須の手続きです。
建設業の許可が受けられない
建設工事を請け負うためには、原則として建設業許可が必要です。
しかし以下いずれかに該当する工事は「軽微な建設工事」として例外的に建設業許可が不要となっています。
- 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
- 1,500万円未満の建築一式工事
- それ以外の500万円未満の専門工事
建設業許可を受けるためには、役員のうち1人が「経営業務の管理責任者としての経験を5年以上有している者」を満たしている必要があります。
一人親方の場合、自身が上記の条件を満たさなければなりません。
そして5年以上の経験を証明するために必要なのが確定申告書です。
つまり確定申告を怠ると、軽微な建設工事しか受注できず、事業拡大が見込めません。
【例外】一人親方が確定申告をしなくても良いケース
一人親方であっても、すべての人に確定申告が義務付けられているわけではありません。
確定申告は、所得税額を算出するための手続きです。つまり所得税がゼロになる場合、確定申告は不要です。
所得税がゼロになるパターンは2つあります。
- 赤字の場合
- 所得(収入-必要経費)が48万円以下の場合
一人親方(個人事業主)は、48万円の基礎控除が受けられます。
基礎控除とは?:
確定申告で所得税額の計算をする際、所得から差し引ける所得控除の1つ。
そのため所得が48万円を下回る場合、確定申告の義務はありません。例えば所得38万円から基礎控除48万円を差し引くと、所得はゼロになります。
しかし上記に当てはまる場合でも、確定申告を行うのが一般的です。
なぜなら赤字額を翌年以降3年にわたり繰り越して所得から控除できたり、源泉徴収で支払った所得税の還付金を受け取れたりするからです。
一人親方の確定申告のやり方4ステップ
一人親方の確定申告のやり方は、以下のとおりです。
- 必要書類を用意する
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書を提出する
- 所得税を納付する
各ステップについて詳しく解説します。
必要書類を用意する
まずは確定申告に向けた準備として、必要書類を用意します。確定申告には、売上・経費・控除などお金の出入りに関する書類が必要です。
売上に関する書類の例としては、請求書や支払調書があります。経費に関する書類の例としては、材料費や交通費などが記された領収書やレシートがあります。
最後に控除に関する書類として、社会保険料の納付書や医療費通知書などが必要です。
例えば領収書がないと、経費計上できずに損をしたりします。そのため必要書類は、1年かけてその都度保管しておきましょう。
また事業におけるお金の動きは、すべて記帳しておきます。
関連記事:記帳代行とは?税理士丸投げ時の費用相場や依頼先の選び方を解説
確定申告書を作成する
集めた書類や記帳を参考に、確定申告書を作成します。
確定申告書は自力でも作成できます。自力で確定申告書を作成する方法は、以下の3つです。
- 手書きで作成する
- 確定申告ソフトを使って作成する
- 確定申告書等作成コーナーを使って作成する
手間を減らしたい方や自信がない方は、税理士に依頼をするのが一般的です。
確定申告書の作成時に書類を整理したり、記帳をしたりするのは時間がかかります。場合によっては、期限までに確定申告書が作成できないこともあるでしょう。
スムーズに確定申告書を作成するためにも、前の項で説明した必要書類や記帳は、1年かけてコツコツと準備しておくことが大切です。
確定申告書を提出する
確定申告書が完成したら、期間内に提出をしましょう。提出方法は以下の3つです。
- 税務署で直接提出
- 郵送で提出
- e-Taxで提出
上記のなかでのおすすめは、「e-Tax」です。手続きはすべてオンラインで完結します。
確定申告書の提出期間は、毎年2月16日から3月15日あたりです。年によって数日変わります。
期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税が課される可能性があるため、余裕を持って提出を完了しましょう。
所得税を納付する
確定申告は、所得税額を算出するための手続きです。確定申告を提出したあとは、所得税を納付します。
所得税の納付期限は、確定申告書の提出期限と同じです。
所得税の納付方法には以下の選択肢があります。
- 税務署や金融機関で納付
- クレジットカードで納付
- 口座引き落としで納付
- コンビニで納付
納税が遅れると延滞税が発生するため、期日を守りましょう。なお、源泉徴収で税金を払い過ぎている場合、確定申告を行えば還付を受けられます。
以上が一人親方の確定申告のやり方と、大まかな流れです。
一人親方の確定申告に必要な書類
確定申告には、お金の動きを把握するための書類が必要です。これは一人親方でも、それ以外の個人事業主でも同じです。
「お金の動きを把握するための書類」は大きく以下の3種類に分けられます。
- 売上に関する書類:請求書や支払調書など
- 経費に関する書類:領収書やレシートなど
- 控除に関する書類:社会保険料の納付書や医療費通知書など
確定申告をスムーズに行うため、そして最大限の節税をするためにも、これら書類はきちんと保管しておきましょう。
一人親方が確定申告の際に経費で落とせるもの一覧
事業に関係する支出は、経費として計上できます。経費計上できると、所得が減って節税になります。
一人親方が確定申告の際に経費で落とせるものを、一覧でまとめました。
- 材料費
- 移動費
- 車の保険や税金
- 外注費
- 通信費
- 家賃
- 水道光熱費
自宅を事務所として使用する場合、家賃や水道光熱費も経費として計上可能です。
しかし家事按分(かじあんぶん)と言って、業務に使用している割合分しか経費計上はできません。
例えば、自宅の3分の1を事務所として使っている場合、家賃の33%を経費計上するといった形です。
また、材料等を店舗で直接購入する際には、領収書やレシートを保管しておく必要があります。
一人親方の確定申告は白色と青色どちらがいい?
確定申告は、白色申告と青色申告に分かれます。
青色申告では、45万円の基礎控除に加えて、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。
一方、白色申告に「青色申告特別控除」のような控除はありません。
つまり、白色申告よりも青色申告の方が節税できます。
そのため一人親方には、白色申告よりも青色申告がおすすめです。
しかし青色申告には、複雑な記帳(複式簿記)を行わなければならないというデメリットがあります。
簿記の知識が全くない状態で複式簿記を行うのは、簡単ではありません。
ある程度簿記の知識がある方には、会計ソフトの活用をおすすめします。簿記の知識がほとんどない方には、税理士への確定申告の代行依頼をおすすめします。
関連記事:一人親方に税理士はいらない?個人で依頼する際の費用とおすすめ会計ソフト3選
確定申告が面倒な一人親方には税理士への代行依頼がおすすめ
確定申告が面倒な一人親方や、簿記の知識がほとんどない一人親方には、税理士への確定申告代行依頼がおすすめです。
税理士に確定申告の代行を依頼するメリットは以下の3つです。
- 面倒な業務から解放される
- 最大限の節税ができる
- いざという時は税務調査の対応も依頼できる
1つずつ詳しく解説します。
面倒な業務から解放される
確定申告には、記帳や必要書類の整理、申告書の作成など、手間のかかる業務が多数あります。
一人親方の場合、日々の業務と並行しながら確定申告のための作業も進めなければなりません。
知識が全くない状態で、調べながらなんとか確定申告をこなすのも不可能ではありません。しかし期限が迫るなか、本来の業務と並行して数十時間を確定申告に割くのは大変です。
特に青色申告では複式簿記が必須なので、より長い時間がかかるでしょう。
税理士に確定申告の代行依頼をすれば、面倒な業務から解放されます。請求書と領収書を送るだけで、確定申告に関する業務の丸投げが可能です。
「餅は餅屋」ということわざがあります。確定申告は税理士に任せて、本来の業務にコミットしましょう。
関連記事:確定申告を税理士に丸投げしたい個人事業主必見!費用や損に繋がるデメリットを紹介
最大限の節税ができる
同じ売上でも、確定申告に関する知識の有無によって、支払う税金の額は数万・数十万と変わります。
例えば青色申告の方法が分からずに白色申告をしており、毎年65万円の控除が受けられずに損をする一人親方もいます。
家事按分について知らず、家賃や水道光熱費を経費計上していない一人親方もいるでしょう。
税理士は、税金のプロフェッショナルです。そのため最大限の節税ができます。
「節税ができても税理士の依頼に費用がかかったら本末転倒では?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
たしかに税理士に依頼をするには、毎月の顧問料が必要です。しかし一人親方の場合、月1万円〜での依頼も可能です。
節税効果や確定申告の手間が省けることを考慮すると、十分元を取れる選択肢と言えるでしょう。
いざという時は税務調査の対応も依頼できる
確定申告の内容が怪しいと、税務調査の対象になります。
税務調査の対象になると、必要書類を集めて、税務署からの質問に対面で受け答えしなければなりません。
税務署からの指摘に正しく答えられないと、最悪の場合は追徴課税などのペナルティが課されます。
そのため、一人親方だけで税務調査に対応するのはほぼ不可能と言って良いでしょう。
たしかに、何十年も税務調査を受けない一人親方もいます。
しかし「この申告内容で合っているのかな?」「間違っていて税務調査の対象になったらどうしよう」とストレスを感じながら生活しなければなりません。
税務調査の対象になってから、立ち会いを依頼できる税理士を探すのも大変です。また直前の依頼だと、料金が割高になります。
確定申告の代行を依頼している税理士がいると、万が一税務調査の対象になった際もスムーズに対応してもらえます。
関連記事:税理士への税務調査立ち会い依頼時の費用相場は30〜50万円!メリットや流れを解説
関連記事:一人親方に税理士はいらない?個人で依頼する際の費用とおすすめ会計ソフト3選
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まとめ
一人親方が確定申告をしないとどうなるのか、具体的なやり方や必要書類、経費で落とせるものなどについて解説しました。
大半の一人親方は、確定申告が必要です。不要な場合でも、確定申告をしておいた方がプラスに働きます。
そして白色申告よりも青色申告の方が、節税効果が得られます。しかし青色申告は複式簿記が必要です。簿記の知識がない状態での青色申告は簡単ではありません。
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