創業融資の返済期間目安は、運転資金が5〜7年、設備資金が7〜10年です。
返済期間は、長すぎても短すぎてもいけません。事業計画などに基づいて、人それぞれ最適な返済期間を見極めなければなりません。
今回は、創業融資の返済期間目安や上限、返済期間の決め方などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、創業融資に向けて一歩前進できます。
目次
創業融資の返済期間目安は5〜10年
創業融資は、運転資金を5〜7年、設備資金を7〜10年で返済するのが目安とされています。
返済期間が短すぎると、毎月の資金繰りが苦しくなるでしょう。長すぎると、支払う利息総額が増えてしまいます。
ここでは、運転資金と設備資金の返済期間目安について解説します。
運転資金は5〜7年での返済が目安
運転資金とは:
商品の仕入れ代金、従業員への給与、店舗の家賃、広告宣伝費など、事業を日々回していくために必要となる経費の支払いに充てる資金のこと。
運転資金の返済期間目安は5〜7年で、設備資金よりも短めになります。なぜなら運転資金は、数ヶ月で売上として回収できるお金だからです。
金融機関は「設備資金は回収に時間がかかるから返済はゆっくりで良い。しかし運転資金はすぐに売上になるから、短期間で返済してほしい」と考えています。
あまりに長い期間(例えば10年など)で申請すると、以下のように審査担当者から懸念を抱かれる可能性があります。
- なぜ運転資金の回収にこれほどの時間がかかるのか?
- 事業計画に無理があるのではないか?
設備資金は7〜10年での返済が目安
設備資金とは:
店舗の内装工事、機械の購入、営業車両の購入、パソコンや什器の導入など、事業を行うための設備投資に充てる資金のこと。
設備資金の返済期間目安は、7〜10年です。この期間設定の根拠となるのが、設備の「法定耐用年数」です。
設備投資した資産は、一度使って終わりではなく、長期間にわたって使用し、利益を生み出し続けます。
そのため、税務上の減価償却期間(耐用年数)に近い期間での返済計画が合理的とされています。
耐用年数の例は以下のとおりです。
- 自動車:3〜6年
- パソコン:4年
金融機関側も「設備が稼働して利益を生み出す期間内に返済してもらえれば良い」と考えるため、運転資金よりも長期の返済を認めてくれやすい傾向にあります。
日本政策金融公庫における創業融資の返済期間上限は?
日本政策金融公庫が提供する「新規開業・スタートアップ支援資金」の返済期間上限は、以下のとおりです。
- 運転資金:10年以内(据置期間は5年以内)
- 設備資金:20年以内(据置期間は5年以内)
据置期間とは、元金の返済を行わず、利息の支払いだけで良い期間のことです。
創業直後は売上が安定しづらく、多額の返済が始まると資金ショートの恐れがあります。
据置期間を設定すれば、最初の数ヶ月から数年間、返済額を抑えて手元の資金の温存が可能です。
新規開業・スタートアップ支援資金における融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっています。
新たに事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。
創業融資の返済期間の決め方
創業融資の返済期間を決める際は、以下3つの点を意識しましょう。
- 10年や20年はあくまで上限であると心得る
- 無理に短期間で返済しようとしない
- 売上ではなくキャッシュフローを正確に予測する
それぞれ詳しく解説します。
10年や20年はあくまで上限であると心得る
前述の通り「新規開業・スタートアップ支援資金」では、設備資金であれば最長20年の返済期間を設定可能です。
しかし、これを「誰でも20年で借りられる」と解釈してはいけません。
金融機関は貸出期間が長くなればなるほど、貸し倒れのリスクが高まります。
創業したばかりで実績のない企業に対して、20年先までの生存を保証してお金を貸すハードルは高いでしょう。
一般的な飲食業やサービス業、IT事業などの場合、設備資金であっても10年が上限となるケースがほとんどです。
「制度上は20年だから」と安易に長期計画を作成して提出すると、「業界の常識やリスク管理が分かっていない」と審査でマイナス評価を受ける可能性があります。
無理に短期間で返済しようとしない
真面目な性格の経営者ほど、「借金はなるべく早く返したい」「利息を払うのがもったいない」と考え、返済期間を短く設定しようとする傾向があります。
たしかに、返済期間を短くすれば、支払う利息の総額は少なく済むでしょう。
しかし、無理な短期間返済は、倒産リスクを高める要因になりかねません。
創業当初の売上は、計画通りにいかないことの方が多いものです。もし売上が予想の半分しか立たなかった場合でも、銀行への返済額は変わりません。
返済期間を3年などの短期間に設定してしまうと、毎月の返済額が跳ね上がり、ちょっとした売上の減少で手元の現金が尽きてしまいます。
まずは、金融機関が許容する範囲内でできるだけ長く借りることをおすすめします。
長く借りて毎月の返済負担を軽くし、もし事業が軌道に乗って資金に余裕ができれば、その時に繰り上げ返済をすれば良いのです。
売上ではなくキャッシュフローを正確に予測する
返済期間を決める際、「月々の売上がこれくらいだから、これくらい返せる」と、売上金額だけで判断すべきではありません。
返済期間を決める際に重要なのは、売上ではなく、経費や税金を支払った後に手元に残るキャッシュフローです。
キャッシュフローを考慮せずに返済計画を立てると、利益が出ているのに返済のためのお金が足りず、黒字倒産に陥るケースもあります。
入ってくるお金(売上)だけでなく、出ていくお金(経費や税金)についてもシミュレーションしましょう。
創業融資は自己資金なしでも受けられる
「自己資金がないのですが、融資を受けられますか?」という質問をよく頂きます。
結論、制度上は可能ですが、審査通過は非現実的です。審査に通過できても、融資額が少なくなる可能性は高いです。
自己資金は、事業への本気度や計画性を測る指標として扱われます。
「起業したいと言いながら、これまで準備のためのお金を貯めてこなかった人」に対して、お金を貸したいとは思ってくれません。
計画性がない、金銭管理能力が低いと判断されてしまいます。
融資を成功させるためには、一般的に創業資金総額の3分の1から2分の1程度の自己資金の用意が推奨されます。
関連記事:自己資金なしでも創業融資は受けられる!種類や融資額の目安、審査通過率を上げる方法を解説
創業融資は法人でも個人事業主でも受けられる
「融資を受けるなら会社を作らないといけない」と思い込んでいる方がいらっしゃいますが、これは誤解です。
創業融資は、法人でも個人事業主でも受けられます。
むしろ元手が少ない方が多い個人事業主こそ、積極的に創業融資を活用すべきでしょう。
個人事業主の創業融資については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:個人事業主でも創業融資を受けられる!種類や期限、自己資金なしでも利用できるのかを紹介
創業融資を受ける際は税理士への相談がおすすめ
以下3つの理由から、創業融資を受ける際は税理士への相談がおすすめです。
- 審査に通過できる可能性が高まるから
- いずれにせよ開業後は税理士への依頼が欠かせないから
- 費用もそれほど高額にはならないから
1つずつ詳しく見てみましょう。
審査に通過できる可能性が高まるから
創業融資の審査において、最も重要視されるのが「創業計画書」です。
しかし、初めて起業する方が作成する計画書は、売上予測が楽観的すぎたり、必要な経費が漏れていたりと、「穴だらけ」であるケースが少なくありません。
税理士に依頼すれば、創業計画書の作成段階からサポートを受けられます。
「なぜこの売上になるのか」という根拠を明確にし、金融機関が納得するロジックで収支計画を組み立てられます。
創業融資の審査通過率は、50%が目安です。
公的なデータはありませんが、税理士に創業融資支援を依頼した場合、審査通過率は90%を超えると言われています。
いずれにせよ開業後は税理士への依頼が欠かせないから
無事に融資を受けて事業がスタートすれば、以下の会計業務が発生します。
- 記帳
- 給与計算
- 年末調整
- 決算・確定申告
開業後は税理士と顧問契約を結び、上記の税務を依頼するのが一般的です。
融資のサポートを依頼した税理士であれば、あなたの事業内容や資金繰りの状況、将来のビジョンをすでに理解しています。
そのため、開業後の顧問契約へスムーズに移行でき、事業の成長に合わせた的確なアドバイスを受けられるでしょう。
いずれにせよ開業後に税理士と顧問契約を結ぶのであれば、「創業融資」の段階からの依頼をおすすめします。
関連記事:確定申告を税理士に丸投げしたい個人事業主必見!費用や損に繋がるデメリットを紹介
費用もそれほど高額にはならないから
費用面から、税理士への相談を躊躇される方もいらっしゃるでしょう。
しかし、創業融資の支援を税理士に依頼する際の費用相場は、成功報酬型で融資決定額の3〜5%ほどです。
例えば、500万円の融資が成功した場合、報酬は15〜25万円となります。
また、弊所のように着手金無料でサービスを提供する税理士事務所も存在します。
創業融資の税理士への依頼について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。
関連記事:創業融資は税理士がいると安心!成功報酬の相場は3〜5%!依頼内容などについて解説
創業融資に関するお悩みは永安栄棟税理士事務所にお任せください
永安栄棟税理士事務所では、完全成功報酬型の創業融資サポートパックを提供しています。
特徴は以下のとおりです。
- 完全成功報酬型なので融資が降りなければ費用はゼロ
- 融資成功率95%超え
- 公認会計士資格保持の有資格者が対応
- メールで質問に答えるだけで事業計画書を代理作成
- 面談の練習や立会いもあり
創業融資後の口座開設や税務申告といった、アフターフォローも行っています。
料金は以下のとおりです。
| 借入額 | 顧問契約あり | 顧問契約なし |
|---|---|---|
| 500万円までの部分 | 借入額の4% | 借入額の5% |
| 1,000万円までの部分 | 借入額の3% | 借入額の5% |
| 1,000万円超の部分 | 借入額の2% | 借入額の3% |
以下のように、融資実績も多数ございます。
- 建築業A.R様:日本政策金融公庫から700万円
- 株式会社U.T様:日本政策金融公庫から2,000万円、民間金融機関から2,000万円
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まとめ
創業融資の返済期間目安や上限、返済期間の決め方などについて解説しました。
返済期間は、運転資金で5〜7年、設備資金で7〜10年が目安です。上限は10年や20年となっていますが、上限で融資を受けられるケースは稀です。
売上や経費、税金などを予測して、無理のない返済期間を設定しましょう。
税理士へは、創業融資支援のみならず、確定申告の丸投げなど他サービスも依頼できます。
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