
税務調査における追徴課税とは、過去の申告にミスや漏れがあり、本来払うべき税金が足りなかったときに、追加で請求される税金のことです。
追徴課税には、以下5つの種類があります。
種類 | 概要 | 税額 |
---|---|---|
無申告加算税 | 申告を期間内に行わなかった場合に課される税金 | 15〜30% |
過少申告加算税 | 申告した税額が支払うべき税額より少なかった場合に課される税金 | 10〜15% |
不納付加算税 | 期限までに源泉所得税を納付しなかった場合に課される税金 | 10% |
重加算税 | 必要な情報を隠蔽するなどの不正を行った場合に課される税金 | 35〜40% 隠蔽を繰り返した場合は+10% |
延滞税 | 納付が遅延した日数に応じて課される税金 | 未納額×利率×日数÷365 ※利率は2.4%か8.7% |
合計の追徴課税額が、数百・数千万円になるケースも少なくありません。また、追徴課税を支払えないと、差し押さえのリスクがあるため要注意です。
今回は税務調査後に支払わなければならない追徴課税の詳細や平均額、払えない場合の対処法などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
税務調査の通知が来て焦っている方、通知が来るかもしれないと焦っている方、すでに税務調査を終えた方、全員に向けた内容となっています。
目次
税務調査の追徴課税とは?
税務調査における追徴課税とは、過去の申告内容に誤りや漏れが発覚し、本来納めるべきであった税額に満たなかった場合に徴収される税金の総称です。
追徴課税は、不足分とペナルティ分の2つに分かれます。
不足分とは、申告が漏れていた税額のことです。例えば100万円納税すべきところを80万円しか納税できていなかった場合の20万円分を指します。
ペナルティ分とは、申告の誤りや、納付の遅れに対する罰金です。
まず申告の誤りに対して課される追徴課税を加算税と言います。加算税の種類は以下の4つです。
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
続いて納付の遅れに対して課される追徴課税を延滞税と言います。
税務調査後には、不足分(本税と言う)・加算税・延滞税をそれぞれ支払うのが一般的です。
税務調査の追徴課税には5つの種類がある【それぞれ何パーセントかも紹介】
冒頭で挙げた以下5つの追徴課税について、より詳細に解説します。
- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 延滞税
1つずつ詳しく見てみましょう。
無申告加算税
無申告加算税とは、その名のとおり期限内の申告を怠った場合に課される税金です。
税率は、納付すべき税額に応じて以下のように設定されています。
- 納税額50万円以下:15%
- 納税額50万円超300万円以下:20%
- 納税額300万円超:30%
例えば納税額が400万円の場合、無申告加算税額は以下のとおりです。
50万円×15%=7.5万円、250万円×20%=50万円、100万円×30%=30万円
→これら3つを合計すると、無申告加算税額は87.5万円
税務署は「申告はしたが内容が間違っていた」ケースよりも、「そもそも申告をしなかった」ケースをより悪質とみなします。
そのため、次に解説する過少申告加算税よりも、無申告加算税の方が税率が高く設定されています。
過少申告加算税
過少申告加算税は、期限内に確定申告書を提出したものの記載内容に誤りがあり、本来の税額より少なく申告してしまった場合に課される税金です。
税務調査で経費の一部が否認されたり、売上の計上漏れが発覚したりした場合に、過少申告加算税の対象となります。
過少申告加算税の計算式は、以下のとおりです。
増差額×10%
例えば本来100万円納付すべき税金を80万円しか納付していなかった場合、増差額は20万円です。つまり過少申告加算税は2万円となります。
しかし、「期限内申告税額と50万円のどちらか多い金額を超過する部分」については、税率が10%ではなく15%になります。
例えば当初300万円で申告し、正しい税額が700万円だった場合で考えてみましょう。この場合の増差額は、400万円です。
この400万円のうち、当初の申告額である300万円分には10%の税率、それを超える100万円分には15%の税率が適用されます。
このケースにおける過少申告加算税額は、以下のとおりです。
300万円×10%=30万円
100万円×15%=15万円
→合計45万円の過少申告加算税
不納付加算税
不納付加算税とは、期限までに源泉所得税を納付しなかった場合に課される税金です。
源泉所得税とは、給与を支払う側が従業員の給与から差し引き、従業員に代わって国に納める所得税のことです。
そのため従業員がいない場合は、不納付加算税について気にする必要はありません。
不納付加算税の税率は、10%です。
重加算税
重加算税は加算税の中で最も重い、悪質な不正行為に対する懲罰として位置付けられる税金です。
単なる計算ミスや解釈の違いではなく、納税者が意図的に事実を隠蔽・仮装して税金を免れようとしたと判断された場合に、他の加算税に代わって課されます。
ここで言う「隠蔽・仮装」とは、以下のように積極的な不正工作を指します。
- 二重帳簿を作成して売上を少なく見せかける
- 取引先に依頼して架空の請求書を作成させる
- 証拠となる書類を意図的に破棄する
重加算税の税率は以下のとおりです。当然他の加算税と比べて、税率は高くなっています。
- 申告書を提出していた場合:35%
- 申告書を提出していなかった場合:40%
過去にも同様の不正行為を繰り返していた場合には、これらの税率に10%が加算されます。
延滞税
延滞税は、本来納めるべき税金を期限までに納付できなかった場合に課される、延滞利息のようなものです。
無申告の場合も、申告内容に誤りがあった場合も、納付が1日でも遅れたのであれば発生します。
延滞税の税額は、日数が長期になるほど高くなります。また、延滞期間が2ヶ月を超えると、利率が2.4%から8.7%に跳ね上がるため要注意です。
延滞税の計算式は、以下のとおりです。
未納額×利率×日数÷365
例えば税金を4ヶ月遅れて納付すると、最初の2ヶ月には2.4%の利率、最後の2ヶ月には8.7%の利率がかかります。
延滞税は加算税と異なり、早めの納付によって額を抑えられます。修正申告による本税・加算税・延滞税の納付については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:税務調査後に修正申告をする流れ!しないとどうなるか、加算税・延滞税の種類などを解説
税務調査で追徴課税となった個人事業主の平均額は433万円
「税務調査で追徴課税を課せられても、数万円や十数万円程度なら構わない」と考える方も多いでしょう。
令和5年度の個人事業主における、追徴課税額の平均は433万円となっています。
出典:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
内訳は、所得税の追徴課税が275万円、消費税の追徴課税が158万円です。
個人事業主が税務調査の対象になる確率は、0.5%と高くありません。しかし税務調査の対象になると、高い確率で決して安くはない額の追徴課税を課されます。
そのため、まずは税務調査の対象にならないことが重要です。税務調査の対象になった場合には、少しでも追徴課税額を減らすような立ち回りが大切です。
関連記事:個人事業主が税務調査対象になる確率は0.5%なのに通知が来た!流れや今からできる準備を紹介
税務調査後に追徴課税を払えない場合はどうする?
税務調査の結果、数百万円単位の追徴課税を課されたとしても、納付は1ヶ月以内の一括払いが原則です。
何の連絡もせずに納税を無視し続けると、税務署は最終手段として財産の差し押さえという強制執行に踏み切ります。
しかし、事業の資金繰りが厳しい場合など、指定された期限までに一括で支払うのが困難なケースもあるでしょう。
どうしても支払えない事情がある場合は、絶対に放置してはいけません。まずは所轄の税務署に連絡し、正直に状況を説明して相談しましょう。
災害、病気、盗難、生活の維持が困難になるなどのやむを得ない事情がある場合には、納税の猶予制度を申請できる可能性があります。
この申請が通れば、1年間の分納が認められます。
関連記事:税務調査の拒否は罰則あり!任意調査でも正当な理由があってもダメな理由を解説
追徴課税の時効は5年
追徴課税の時効は5年です。つまり税務署は、所得税や法人税が納付された日から5年以内に、追徴課税を請求する必要があります。
しかし悪質な場合は、最大7年まで時効の延長が可能です。なお相続税の場合の時効は、10年となっています。
ここでいう時効とは「追徴課税を課されても5年間逃げ切れば支払いを免れる」という訳ではありません。
5年間税務調査の対象にならず誤りを指摘されなければ、5年前に遡って追徴課税を請求できないという意味です。
税務調査への対応次第では追徴課税なしになるケースも
税務調査の対象になったからといって、必ずしも追徴課税が発生する訳ではありません。
稀なケースではありますが、申告内容に一切問題がなかったと認められる「申告是認」で税務調査が終わることもあります。
税理士に税務調査への対応を依頼すれば、申告是認の可能性も高まります。また、申告是認には至らずとも、納税額の減額ができるケースは珍しくありません。
例えば弊所では、90%以上のケースで納税額減額を達成しています。
関連記事:税理士への税務調査立ち会い依頼時の費用相場は30〜70万円!メリットや流れを解説
税務調査で追徴課税額を減らすには税理士への依頼がおすすめ
以下2つの理由から、税務調査で追徴課税額を減らしたいのであれば、税理士への依頼がおすすめです。
- 税務調査では対応次第で結果が変わるから
- 税務調査による精神的な負担からも解放されるから
それぞれ詳しく解説します。
税務調査では対応次第で結果が変わるから
税務調査は、単に帳簿の正しさを確認するだけの場ではありません。解釈や事実認定を巡る交渉の場です。
専門知識のない納税者が一人で対応すると、言われるがままに不利な内容を受け入れてしまうリスクが高くなるでしょう。
税務調査の結果は、対応次第で大きく変わります。
税理士は調査官の指摘に対し、その法的根拠は何か、過去の事例ではどうなっているか、といった専門的な観点から徹底的に反論します。
交渉の結果、当初は1,000万円の申告漏れと指摘されていたものが、最終的には数百万円にまで圧縮される、といったことも起こり得るでしょう。
税務調査による精神的な負担からも解放されるから
税務調査は金銭的な問題だけでなく、精神的なストレスにもなります。税務調査に関する不安が、本来の業務に悪影響を及ぼすケースもあるでしょう。
税理士に依頼をすれば、税務調査に関する不安から解放されます。
必要書類を集めたり受け答えのシミュレーションをしたり、税理士からの指示に従うだけで税務調査当日に向けた準備ができます。
また、税務調査後の追徴課税に関する手続きも、税理士のサポートのもとで行うことが可能です。
関連記事:税理士に税務調査を依頼する際に知っておくべきことを1から10まで解説
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まとめ
税務調査後に支払わなければならない追徴課税の詳細や平均額、払えない場合の対処法などについて解説しました。
追徴課税には、以下5つの種類があります。
種類 | 概要 | 税額 |
---|---|---|
無申告加算税 | 申告を期間内に行わなかった場合に課される税金 | 15〜30% |
過少申告加算税 | 申告した税額が支払うべき税額より少なかった場合に課される税金 | 10〜15% |
不納付加算税 | 期限までに源泉所得税を納付しなかった場合に課される税金 | 10% |
重加算税 | 必要な情報を隠蔽するなどの不正を行った場合に課される税金 | 35〜40% 隠蔽を繰り返した場合は+10% |
延滞税 | 納付が遅延した日数に応じて課される税金 | 未納額×利率×日数÷365 ※利率は2.4%か8.7% |
税務調査の対象になると、多かれ少なかれ追徴課税を課される可能性が高いでしょう。しかし税理士の立ち会いによって、追徴課税額を最小限に抑えることは可能です。
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