税務署は国税の相談窓口を設けていますので、窓口を通じて税金相談をすることができます。
しかし、相談内容によっては応対してくれない場合や、節税アドバイスを求めても期待する回答を得るのは難しいケースなど、相談する際の注意点もあります。
本記事では、税務署への相談方法とメリット・デメリット、節税アドバイスを受けられる相談先について解説します。
税務署に税金相談をする方法
国税組織は、国税庁の下に12の国税局(沖縄国税事務所を含む)があり、国税局の下に524の税務署が設置されています。
税金相談はお住まいの近くにある税務署でもできますし、自宅に居ながら疑問・不明点を解消する方法も用意されています。
面接相談
税務署の窓口では、確定申告書の受付や納税手続きだけでなく、面接相談も行っています。
一般相談については、窓口で相談したい旨を伝えれば、職員が対面で相談に応じてくれます。
一方、相談内容が個別的なものである場合には、事前予約が必要です。
電話または税務署窓口で個別相談の予約を取りたい旨を伝え、相談日の日程を調整した上で相談することになります。
一般的な相談は全国どこの税務署でも応対してくれるのに対し、個別相談は相談者の管轄税務署でしか相談に応じてくれません。
管轄税務署以外の税務署に個別相談したい旨を伝えても断られますので、個別相談をする際は予約前にご自身の管轄税務署を確認してください。
電話相談
国税局は「電話相談センター」を設置しており、電話相談センターに電話すると、国税局の職員等が税金相談に回答してくれます。
電話相談センターに相談できる内容は、制度や法令等の解釈・適用、税金手続きに関するもので、電話相談センターへは国税相談専用ダイヤル(ナビダイヤル)または、税務署の代表電話を経由して電話をかけます。
国税相談専用ダイヤルと税務署の代表電話のいずれも、電話をかけると自動音声が流れますので、音声案内に従って相談する内容に該当する番号を選択してください。
出所:国税に関するご相談について(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/#a-02-3
聴覚障害者等専用電子メール相談窓
電話相談が難しい方は「聴覚障害者等専用電子メール相談窓口」を通じて、メールで相談することができます。
ただし、こちらの相談窓口は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を踏まえて設定されていますので、利用できるのは聴覚や発話に障害があり、電話での相談が困難な方に限られます。
そのため、電話で相談することが可能な方は、先に紹介した面接相談または電話相談を利用してください。
国税庁ホームページで調べる
面接相談や電話相談ができるのは、税務署が開いている平日の日中に限られますので、土日や夜に税金関係の疑問を解決したい方は、国税庁ホームページを活用してください。
国税庁ホームページでは、よくある税の質問に対する回答をまとめた「タックスアンサー」が掲載されています。
国税の疑問点はタックスアンサーで解決できるものも多く、個人が関係する国税については、チャットボットで相談することも可能です。
チャットボット(ふたば)は、メニューから質問する内容を選択または直接質問内容を入力すると、AI(人工知能)が自動回答してくれるシステムです。
質問形式で聞くことができるため、タックスアンサーで回答が見つからないときは、チャットボイスを活用してください。
税務署に相談するメリット
税務署は公的機関なので、誰でも利用できますし、事前予約をすれば具体的な相談をすることもできます。
相談費用がかからない
コストを抑えて相談したい方は、税務署の窓口や電話相談センターに相談をしてください。
専門家に相談するには報酬が発生するのが一般的ですが、税務署の職員は公務員ですので、相談に対しての費用はかかりません。
(税務署へ行く交通費や、電話料金は発生します。)
平日の日中であればいつでも相談できますし、税務署は全国にあるので、近くの税務署に行って相談することも可能です。
予約すれば個別相談も可能
税務署では、事前に相談予約をすれば、個別的な相談もできます。
個別相談ができる税務署は相談者が申告手続き等を行う税務署に限られますが、申告前に特例制度の適否などを確認したい場合には、予約をして相談するのも選択肢です。
税務署以外にも無料で税金相談ができる場所は存在しますが、無償で個別相談に応じる相談場所はほとんどありませんので、費用をかけずに個別相談したい方は予約をした上で税務署に相談してください。
出所:国税に関するご相談について(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm#a-02-3
税務署に相談するデメリット
税務署は費用をかけずに相談できるメリットがある一方、事業者が相談するのには不向きな側面もあるので気を付けてください。
税務署職員は節税アドバイスをしてくれない
税務署は、確定申告書の書き方や特例制度の内容は説明してくれる一方、適用できる特例制度の紹介や、特例制度の節税効果を比較して提案するなどのアドバイスは行いません。
特例制度の適用は納税者の任意となっているため、適用できる特例があったとしても、相談者が質問しない限り、特例制度の説明をすることもありません。
相談する側にも税金知識が必要
納税者の状況によって適用できる特例制度の種類や節税方法は異なるため、一般相談で具体的な相談をすることは難しいです。
税務署は質問に対する回答はしてくれますが、相談者の事情を考慮して節税方法を提案することはないため、質問のしかたにも工夫を要します。
相談のしかたを間違えると、満足する回答は得られませんので、相談する側にもある程度の税金知識が求められます。
個別相談は1か月以上予約待ち
税務署の個別相談は事前予約が必要ですが、予約した当日やその週に個別相談ができるケースは限られます。
個別相談の予約が1か月以上先まで埋まっている税務署もあるため、すぐに回答を得たい方は、税務署以外の場所で相談することを検討してください。
税務署以外で税金相談ができる場所
税務署以外にも税金相談ができる場所はありますので、相談したい内容によって相談先は変えてください。
一般的な税金相談なら税務署で問題ない
税金相談の内容が一般的なものであれば、税務署で相談して問題ありません。
個別相談は予約が必要ですが、一般相談は予約が必要ありませんし、行政機関なので気軽に相談することができます。
ただし、税務署は節税アドバイスをしてくれませんので、節税に関する質問をしたい方は次に紹介する税理士事務所に相談してください。
節税アドバイスを受けたい方は税理士事務所に相談すること
税金の節税アドバイスを受けたい方は、税理士事務所に相談するのがオススメです。
税理士は税金の専門家ですし、節税に関しては税務署職員以上に豊富な知識を有しています。
事業者が節税をする際には、個々の事情に鑑みた節税手法を用いることが重要となるため、オーダーメイドでの対策が不可欠です。
一般的に効果があるとされている税金対策であったとしても、経営状態等によってはあまり効果が得られないこともありますし、継続的な節税効果が見込めない手法も数多く存在します。
税理士事務所に相談すれば、具体的なアドバイスが受けられるだけでなく、確定申告手続きを依頼することも可能です。
また、税理士と顧問契約を結べば、普段から税金相談ができますので、節税に関しては税務署ではなく税理士を頼ってください。
事業者の税金対策は日常的に講じることが重要
税務署での相談は一般相談や、申告手続きに関連するものがメインとなります。
会社員や年金受給者の方は、確定申告相談会場で相談して申告することもできますが、事業者の場合、確定申告会場で相談しながら申告書を作成するのは難しいです。
確定申告書を作成する時点で実施できる税金対策は限られますので、継続的に節税をしたい事業者は、日常的に対策を講じることが肝要です。
税理士は事業者の税金面を支えるパートナーとなりますので、顧問税理士がいない方は、一度、税理士事務所に相談することをご検討ください。ぜひ、永安栄棟公認会計士・税理士事務所へご連絡ください。