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個人事業主に税理士は不要?税務手続きを依頼すべきケースとは

2024.08.14 15:55

個人事業主は、納税者本人が確定申告書を作成し、税務署へ提出しても問題ありません。

税務手続きを税理士に依頼すべきかどうかは事業内容等によって異なり、税理士に依頼する必要がない個人事業主もいるのも事実です。

一方で、税理士に依頼しないことで税務調査の対象になる確率が上がるなど、デメリットや注意点もありますので、今回は個人事業主が顧問税理士を付けるメリット・デメリットおよび、税務手続きを依頼すべきケースについて解説します。

個人事業主が税理士に依頼している割合

個人事業主は、事業で得た利益に対して所得税・住民税が課されますが、所得税の確定申告書に税理士が関与している割合は全体の20%程度です。

出所:令和4事務年度国税庁実績評価書(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2022/evaluation/index.html

同じ事業者である法人(法人税)の税理士関与割合は90%近くありますし、個人が申告する相続税の関与割合が85%程度あることを踏まえると、所得税の申告に関与している税理士の割合は低いです。

しかし、所得税の確定申告書を提出するのは個人事業主だけでなく、住宅ローン控除や医療費控除を適用する会社員や年金暮らしの方も含まれますので、個人事業主のみに限定すると、税理士が関与している割合は20%よりも高いと推測されます。

個人事業主が顧問税理士を付けるメリット

個人事業主が税理士に申告書の作成依頼をするメリットは、申告書を作成する手間を省けるだけではありません。

節税や税金対策に関する具体的な相談ができる

税金知識が豊富な個人事業主も沢山いますが、特例制度の適否や経費計上の可否など、専門家でないと判断が難しいものも少なくありません。

適切な手段で税金対策を講じたと思っていても、法令解釈に誤りがあれば税務調査で指摘され、加算税・延滞税のペナルティを受けるリスクがあります。

税務署でも税金相談は行っていますが、税務署が節税アドバイスをすることはないので、事業内容に合った節税方法や、税金対策のアドバイスを受けたい場合は税理士に相談することが望ましいです。

適正な確定申告書の作成と事務作業の削減

個人事業主が税理士に確定申告書の作成依頼をすれば、確定申告に関する事務作業量を削減しつつ、正しい申告を行えます。

事業所得や不動産所得を計算するためには売上や経費を算出しなければならず、個人事業主は仕事とプライベートの双方で使用している設備等を按分することが求められます。

算出された納税額が過少となっていれば税務署から指摘されますし、計上した経費が少なかった場合には納税額が過大となり、余分に税金を納めることになりかねません。

また、特例制度を適用するかどうかは納税者の判断ですので、特例制度を活用しなかったことで実質的に損をする可能性もあります。 顧問税理士がいる場合、計算ミスを防ぐことができるだけでなく、適用できる特例制度を活用した節税も行えますので、税負担の軽減も期待できます。

税務調査を受けるリスクが下がる

調査担当者が自宅や事務所を訪れて調査する「実地調査」の対象となった場合、80%以上の確率で非違事項を指摘されますので、調査対象者にならないことが最善です。

出所:令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

税務署には提出されたすべての申告書を調査する人員はいませんので、申告書に優先順位を付けて税務調査を実施しています。

税務調査の優先順位は申告内容の誤りや疑義、所得金額の大小だけでなく、税理士関与の有無によっても上下し、該当項目が多いほど調査対象になりやすいです。

税理士が作成した申告書は適正に作成されている確率が高いことから、税理士が関与しているだけで調査の優先順位は一段階下がります。

一方、納税者本人が作成した申告書は、税理士が作成した申告書に比べて計算ミスが発生しやすいため、相対的に顧問税理士が付いていない申告書の方が調査対象者として選定されやすいです。

個人事業主が顧問税理士を付けるデメリット

個人事業主が税理士に依頼する際は、次の事項もあらかじめ確認してください。

税理士への報酬費用が発生する

税理士に申告書の作成依頼をする場合には、対価として報酬を支払うことになります。

税理士への報酬額は税理士事務所や会計事務所によって異なりますが、依頼する内容によっても金額は上下します。

個人事業主の立場からすると、報酬額が少ない方が負担は軽くなりますが、仕訳作業の代行や経営相談がプランに含まれていない場合、満足するサポートを受けられない可能性があります。

そのため、税理士に依頼する際は報酬に含まれている業務内容等を確認し、目的に合致したプランを選んでください。

良い税理士を見つけるのが難しい

税理士にも得意・不得意の分野があるため、依頼する税金を得意とする税理士に依頼することが望ましいです。

個人事業主も個々に事業内容は異なりますし、その事業に精通していない税理士に依頼してしまうと、十分な税金対策が講じられないことも考えられます。

また、顧問税理士は気兼ねなく相談できる税理士を選ぶことも大切です。

税理士事務所が遠方にあると気軽に相談することが難しいですし、有名な税理士事務所が親身になって対応してくれるとは限りません。

中長期的に事業を続ける方であれば、現役世代の税理士を選んでいただくと途中で税理士を変える必要もなくなりますので、税理士の年齢や人柄も選ぶ際の判断材料です。

個人事業主の税理士に依頼すべきケースと不要なケース

個人事業主が顧問税理士を付けるかどうかはケースバイケースなので、依頼すべきケースと不要なケースをご紹介します。

税理士に依頼する必要がない個人事業主の特徴

税理士が不要な個人事業主は、自分で税金手続きをすべて行うことができる方です。

会計ソフトを活用することで、個人事業主でも申告書を作成するハードルは下がっているため、個人事業主でも税理士を付けることが必須とは限りません。

元々税金関連の仕事をしていた個人事業主は自身で申告書を作成できますし、勉強して税金関連の税知識を身に付けた方も、申告書を作成する面で苦労することは少ないです。

また、年間の取引回数が少ない事業者は仕訳等に費やす時間も比較的少ないため、申告手続きに関する苦労をいとわない方は、無理して税理士を付ける必要はありません。

税理士に依頼すべき個人事業主の特徴

事業に専念したい個人事業主は、顧問税理士を付けることを推奨します。

仕訳や記帳が適切に行われていないと、正しい確定申告書を作成することはできませんし、取引回数が多い事業を営んでいる個人事業主は、確定申告関連の事務処理に多大な労力と時間を費やします。

税理士事務所によっては確定申告書の作成だけでなく、記帳代行を承っていますので、顧問税理士に税金関係の手続きを一任し、事業に専念できる環境を整えてください。

税理士に依頼するか悩んでいる方は1度相談すること

個人事業主によっては税理士に依頼する必要がない方もいますが、費用を抑えるだけを目的として自分で税務手続きを行うのは危険です。

特例制度の適否は任意なので制度の存在をしないと活用することはできませんし、節税方法を知らないことが原因で、他の事業者より多く税金を支払っている方もいます。

申告内容に誤りがあれば税務調査で指摘されるだけでなく、調査終了後も動向をチェックされるようになるため、調査対象者として選ばれる確率は更に上がってしまいます。

知名度や料金の安さだけで税理士を選ぶのは危ないので、税理士を付けることを検討されている方は、1度税理士事務所に相談していただき、顧問税理士として依頼するか決めてください。

お困りのことがございましたら、永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へぜひ一度ご相談ください。

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