税務調査の対象となると、税務署から電話がかかってきます。これを事前通知と言います。
しかし税務署からの電話が、必ずしも税務調査の事前通知とは限りません。
申告内容の確認や、他社への税務調査のための情報収集として電話がかかってくるケースもあります。
税務署から電話があり「なぜ電話をかけてきたのか不安」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
今回は税務署から電話がかかってくる4つの理由や、税務調査の電話があった際に取るべき行動などについてまとめました。
税理士の立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、なぜ電話がかかってきたのか、その後どのような行動を取れば良いのかが明確になります。
目次
税務署からの電話の理由は税務調査だけではない
税務署から電話がかかってくる主な理由は、以下の4つです。
- 確定申告の確認
- 納付する税金に関する確認
- 反面調査
- 税務調査の事前連絡
それぞれ詳しく解説します。
確定申告の確認
確定申告書の内容に関する単純な確認や問い合わせのために、税務署から電話がかかってくるケースがあります。
電話で確認される内容の例は、以下のとおりです。
- 添付されるべき書類が不足している
- 申告書に記載された数字の合計が合わない
- この経費の具体的な内容を教えてほしい
- 昨年と比べて売上が大きく変動している理由を簡単に教えてほしい
これは「お尋ね」と呼ばれます。この段階の電話は、あくまで「確認」であり税務調査ではありません。
電話口で担当者の質問に沿って正直かつ簡潔に説明し、求められた書類を追加で提出すれば、それで完了することがほとんどです。
慌てず、冷静に対応しましょう。
納付する税金に関する確認
確定申告書を提出して納税額が確定した後も、税務署から電話がかかってくることがあります。これは、納税そのものに関する確認や督促の連絡です。
最も多いのが、申告書は提出したものの、納付期限までに所得税や消費税の納付が確認できない場合の「納税の督促」です。
この場合は、電話口で納付を忘れていた旨を伝え、速やかに納付をしましょう。
また、口座振替で納税している場合に、残高不足で引き落としができなかった際の連絡なども考えられます。
これらの電話は、いずれも納税者のうっかりミスを防いだり、納税義務を履行してもらったりすることが目的です。申告内容の誤りを追及するものではありません。
反面調査
税務署からの電話の中には、あなた自身の申告内容ではなく、あなたの「取引先」の税務調査に関連してかかってくる「反面調査」もあります。
反面調査とは、税務署がある会社の申告内容の裏付けを取るために、その取引相手に対して事実確認を行う調査手法です。
例えば、あなたの会社がA社に商品を販売していたと仮定しましょう。税務署がA社の調査を行う中で、「A社が計上している仕入経費が正しいか確認したい」と考えます。
その場合、売り手であるあなたの会社に電話をかけ、「〇月〇日付でA社に発行した請求書の控えを見せてほしい」「A社との取引は本当にあったか」といった確認を行うといった形です。
反面調査は、あくまで調査対象(この場合はA社)の申告内容を検証するためのものです。あなたの会社に疑いがかかっているわけではありません。
反面調査には法律上の協力義務があります。誠実に対応しましょう。
税務調査の事前連絡
最も警戒すべき電話が、税務調査の事前連絡です。
税務調査の対象になると、国税通則法に基づき、原則として調査開始日の10日〜2週間ほど前に調査官から直接電話が入ります。
この電話では「〇月〇日に調査に伺いたい」という日時の提示とともに、以下のような調査の基本的な内容が伝えられます。
- 調査の目的
- 調査対象となる税目(所得税、法人税など)
- 調査対象期間(通常は直近3年分)
税務調査の事前連絡としての電話を「事前通知」と言います。事前通知を受けたら、当日に向けて、できるだけ早く準備を始めなければなりません。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
関連記事:税務調査の事前通知が来た人必見!その後の流れや税理士に依頼すべき理由を解説
税務署から税務調査の電話があった際に取るべき行動
税務署から税務調査の電話があった際に取るべき行動は、以下の3つです。
- 無視しない
- その場で適当に答えない
- 必要に応じて税理士に相談する
1つずつ詳しく見てみましょう。
無視しない
知らない番号からの電話に出ず、あとでその番号を検索して、相手が分かってからかけ直すか否かの判断をする方も多いでしょう。
電話をかけてきたのが税務署だと判明した場合、不安や恐怖から連絡を返さない方もいます。
しかし電話を無視し続けたからといって、税務調査がなくなるわけではありません。
むしろ、連絡が取れないことで調査官の心証を悪化させ、より厳しい対応を招くかもしれません。
電話に出られない場合は、必ず留守番電話のメッセージを確認し、当日中、遅くとも翌営業日には折り返しの連絡を入れましょう。
誠実な対応は、その後の調査を円滑に進める上でも重要です。
その場で適当に答えない
税務調査の事前通知の電話で、調査官から申告内容について簡単な質問をされる場合があります。
この時、記憶に頼った曖昧な回答や、事実と異なる憶測での回答をしてしまうのは避けましょう。
その場しのぎで答えた内容と、後日、実際の帳簿や証拠書類を確認した際の内容が食い違っていた場合「何かを隠そうとしているのではないか」と疑念を抱かれかねません。
質問をされた場合は、以下のように返答して、一度時間をもらうのが賢明な対応です。
- すぐには分かりかねますので、確認して後日改めてお答えします。
- 顧問税理士と相談してから回答します。
電話口で質問をされても、答える義務はありません。即答を避けるのは、あなたの権利です。不用意な発言で、自ら不利な状況を作らないための防御策です。
必要に応じて税理士に相談する
税務署からの電話を切った後、真っ先に行うべき行動は、税務調査に強い税理士への連絡です。
税務調査は、税法のプロである調査官と、法律の解釈や事実認定を巡って対等に渡り合う「交渉」の場です。
専門知識のないまま独力で臨めば、不利な結果に終わる可能性が高くなるでしょう。
税理士に相談すれば、調査官との日程調整から代理で行ってくれます。
そして、調査当日までの限られた時間の中で、過去の申告内容を確認し、調査官が指摘しそうな問題点を洗い出し、それに対する防御策を練ります。
この準備の有無が、最終的な追徴課税の額を大きく左右するでしょう。
税務調査における税理士への依頼については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:税理士に税務調査を依頼する際に知っておくべきことを1から10まで解説
国税局からの自動音声での電話は詐欺の可能性があるため要注意
近年、国税庁や税務署職員を名乗る者からの不審な電話やSMS、メールによる詐欺が多発しており、国税庁も公式に注意喚起を行っています。
特に、「国税局」を名乗る自動音声ガイダンスによる電話には、細心の注意が必要です。
その手口は「未払いの税金があります。詳細は1番を押してください」などとアナウンスし、オペレーターにつながせて個人情報を聞き出したり、金銭を要求したりするというものです。
国税庁や税務署が、自動音声ガイダンスを用いて納税の案内や税務調査の連絡をすることは絶対にありません。
このような電話がかかってきたら、100%詐欺だと判断し、何も操作せずにすぐに電話を切ってください。
不審に思った場合は、すぐに最寄りの税務署や警察に相談しましょう。
税務調査は電話のみで完了するケースもある
税務調査では、事前通知の後に実地調査が行われるのが一般的です。しかし稀に、電話のみで完了する軽微な税務調査も存在します。
これは、税務署側の業務効率化の一環です。実地調査を行うまでもない、比較的軽微な論点が想定される場合に行われます。
電話のみでの税務調査は、納税者にとって負担が少なく、大きなメリットです。
しかし電話だからといって安易な回答をせず、慎重に対応しなければなりません。
税務調査の対応は永安税理士事務所にお任せください
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- 事前打ち合わせ・資料確認
- 調査の立ち会い
- 税務署との調整
- 修正申告書の提出
料金は30万円〜となっており、要望に応じて最適なプランを提案させていただきます。
永安栄棟税理士事務所では、税務調査歴40年超の元特別国税調査官をはじめとしたスタッフが、豊富な経験をもとにサポートいたします。
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まとめ
税務署から電話がかかってくる4つの理由や、税務調査の電話があった際に取るべき行動などについて解説しました。
税務調査に向けた準備ができる期間は、長くても2週間です。この2週間で、追徴課税額は大きく変わります。そのため、できるだけ早い税理士への相談をおすすめします。
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また、そもそも税務調査の対象にならないように、正しく確定申告を行うことが大切です。
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