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企業は、法人税の申告書などの作成を税理士事務所に依頼することが多いですが、税理士に依頼するかは任意となっています。

自身で申告書を作成すれば、報酬費用を削減できるなどのメリットがある一方、税理士に依頼しないことによるデメリットも存在します。

本記事では、法人税の申告書を税理士に依頼するメリット・デメリットについて解説します。

企業の10社に9社は税理士に申告書作成を依頼している

企業が税理士に依頼するかどうかは任意ですので、納税者本人が法人税の申告書を作っても問題ありません。

しかしながら、税理士が企業に代わって法人税の申告書を作成している割合は非常に高く、令和5年度においては全体の89.8%に達しています。

所得税の税理士関与割合は20%程度であり、相続税でも税理士関与割合は86.3%(令和5年度)に留まるため、法人税は最も税理士が関与している税目の一つです。

出所:令和5事務年度 国税庁実績評価書(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/policy_evaluation/proceedings/material/81seihyoukon03.pdf

法人税の申告書を作成する方法

法人税の申告書を作成する方法は3パターンあり、申告内容が正しければ、どの方法で申告しても問題ありません。

納税者が申告書を作成する

税金の申告書は、納税者が作成するのが原則です。

個人事業主から法人に切り替えた「ひとり法人」や、専門知識を有する人が会社を運営しているときは、税理士に依頼せずに申告書を作成するのも選択肢です。

一方で、申告書を作るためには専門知識は不可欠ですし、作成する時間の確保も必要となる点には注意しなければなりません。

<メリット>

  • コスト削減:税理士や会計事務所に依頼する費用を節約
  • 直接管理:自分で申告を行うことで、企業の財務状況を直接把握できる
  • 学習の機会:法人税に関する知識を深めることができる

<デメリット>

  • 時間と労力の増加:申告書作成するには多くの時間と労力が必要
  • 専門知識の不足:税に関する知識不足による計算ミスのリスク
  • 税務リスク: 申告誤りは税務調査を受ける要因になる

決算申告のみを税理士に依頼する

税理士を顧問として迎え入れている企業も多いですが、決算申告のみを税理士事務所や会計事務所に依頼することも可能です。

税理士と顧問契約を結ぶ場合には顧問料が発生しますが、決算申告のみを依頼するスポット契約であれば、税務手続きに関する支出を抑えることができます。

<メリット>

  • コストの削減:依頼内容を決算申告だけに絞ることで費用を削減できる
  • 専門的なアドバイス:申告誤りのリスクを軽減できる
  • 時間の節約:決算申告のための作業時間を節約できる

<デメリット>

  • サポート体制が不完全:日常的な会計や帳簿の管理についてのアドバイスを受けられない
  • 税金対策が難しい:長期的なサポート関係が築けないため、計画的な税金対策が実施しにくい
  • 追加費用の発生:帳簿のミスや整備不足の修正を依頼する場合には、追加費用が発生する

顧問税理士に税務手続きを一任する

税務に関する業務を一任する場合、税理士と顧問契約を結ぶことになります。

専門家による全面的なサポートを受けることで、申告の正確性と効率性が高まりますし、長いスパンで税金対策を実施することによる節税効果も享受できます。

<メリット>

  • 全面的な支援:税金面のアドバイスを受けながら経営戦略を練ることができる
  • 正確性: 専門知識を持つ税理士が申告を行うため、税務関係のリスクを軽減できる
  • 効率性: 法人税に関する手続きを一任することで事業に専念できる

<デメリット>

  • コスト:顧問料が発生する
  • 税理士への依存:外部の専門家に一任することで、企業内部の財務状況の把握が疎かになる可能性がある

複雑な帳簿を自ら作成するのは手間がかかるだけでなく、計算ミス等で余計な税金を支払う事態に陥ることもあります。

そのようなトラブルを回避したい方は、記帳代行や確定申告手続きを税理士に丸投げすることをオススメします。

永安栄棟税理士事務所は、兵庫県にある税理士事務所です。

兵庫県内の企業・個人事業主の皆さまはもちろんのこと、日本全国からのご依頼も承っていますので、税務手続きに不安がある方は『丸投げパック』をご利用ください。

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税理士に税務手続きを依頼する際のポイント

企業の事業内容や規模によって税理士に求める条件は違いますので、費用面だけで判断しないよう気を付けてください。

事業規模と業務の複雑さ

事業規模が小さく、取引内容が比較的シンプルな場合には、決算申告のみを税理士に依頼することも一つの選択肢です。

小規模の法人や個人事業主の場合、日常的に行う会計処理が少なく、専門的なアドバイスをそれほど必要としないこともあるため、決算時のみの支援で十分な事業者もいます。

一方、事業規模を拡大する予定がある場合や、取引が多岐にわたる企業においては、税理士と顧問契約を結び、日常的なサポートを受けることが望ましいです。 税理士は、経営の効率化や税務リスクの軽減に役立つだけでなく、複雑な取引や資金調達に関するアドバイスも提供できるため、依頼した分の費用に対する効果を期待できます。

税務・経営に対するアドバイスの必要性

節税対策や経営戦略、資金繰りの改善など、専門的なアドバイスを必要とする場合、顧問税理士を付けることを検討してください。

顧問税理士は会社の状況を定期的に把握し、適切なアドバイスを提供するため、経営の健全化や長期的な成長に寄与します。

税理士からのアドバイスがそれほど必要でない場合は、決算申告のみを依頼することで費用を抑えることができます。

しかし、自社で税務や経営に関する基本的な知識・スキルを持っていないと、相応の税務リスクが伴う点には注意が必要です。

税務調査のリスク

税務調査が入る可能性が高い業界や状況にある場合は、顧問税理士がいることで迅速かつ適切に対応できます。

税務調査は企業にとって大きな負担となりますし、税務調査官と対峙する際は専門的な知識と経験が必要です。

スポット契約の場合、税務調査時の対応には費用が別途かかりますし、顧問税理士でないと的確なアドバイスは難しいです。

一方、顧問税理士は税務調査に対する準備や対応をサポートできるため、調査リスクを最小限に抑えることが可能です。

帳簿の記載ミスは税務申告の誤りに直結しますので、税務調査を回避するためには正しい内容の申告書を作成することが不可欠です。

税務調査の対策が不完全だと、対応が後手に回ってしまいますので、税理士を選ぶ際は税務調査に関するサポート内容もチェックしてください。

永安栄棟税理士事務所では、税務調査セットプランも提供しています。

税務調査歴40年超の元特別国税調査官をはじめとしたスタッフが、豊富な経験をもとにサポートいたします。

<税務調査セットプランの内訳>

  • 事前打ち合わせ・資料確認
  • 調査の立ち会い
  • 税務署との調整
  • 修正申告書の提出

これまでサポートを行ったほぼすべてのお客様で、税務調査サポート費用を上回る追徴課税の減少を実現しています。

税務調査セットプランの具体的な内容につきましては、下記のページをご確認ください。

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顧問税理士を選ぶ際に気を付けるべきポイント

税理士の登録者数は8万人以上いるため、その中から条件に合った税理士を選定するのは大変です。

相性の良い税理士と出会うことができれば、長期的なパートナーシップを築きやすくなるので、自社の業種や規模に適した税理士を見つけてください。

税理士は会社の財務状況を深く理解し、適切なアドバイスを提供する役割を担っていることから、専門知識や経験だけでなく、経営者と円滑なコミュニケーションを取る能力も重要な選定条件の一つです。 費用面のみで税理士を選んでしまうと、期待するサービスが得られない可能性がありますので、顧問契約を結ぶ際は費用だけでなく、提供されるサービス内容も確認してください。

まとめ

税理士に依頼するかどうかは任意ですが、企業においては税理士に法人税の申告書作成を依頼するのが望ましいです。

納税者が申告書を作成すれば、短期的にはコストを削減できます。

しかし、帳簿の記載誤りや申告漏れがあった場合、税務調査で指摘され、余分に税金を納めることになってしまいます。

税理士が関与していない企業は、それだけで税務署から狙われやすくなるため、現在税理士に依頼していない方や、顧問税理士の変更を検討されている方は、弊社の利用を検討してください。

複雑な帳簿作成を自分で行うのは手間がかかるだけでなく、申告ミスが発生する原因になりますので、記帳代行・確定申告を税理士に丸投げすることをオススメいたします。

永安栄棟税理士事務所は、オンライン化やAIの活用などによる業務効率化により、下記の価格でサービスを提供させていただいております。

売上規模月額料金
~1,000万円法人:2万円
~2,000万円法人:2.5万円

丸投げパックには、次のサービスがすべて含まれています。

  • 日々の会計帳簿記帳
  • 決算書の作成
  • インボイスへの対応
  • 消費税申告書の作成
  • 確定申告書の作成
  • 税務署への電子申告

弊社は、日本全国どこからでもご依頼いただけますので、この機会にプラン内容をご覧いただき、プランの利用をご検討ください。

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個人事業主は税理士が関与している割合が低いため、法人に比べて税理士の存在が税務調査に影響しやすいです。

税務調査を受けないようにするためには事前対策が不可欠ですので、本記事で個人事業主に対する税務調査の状況と、税理士に依頼した場合の税務調査への影響について解説します。

所得税の税務調査の実施件数は年間60万件

令和5事務年度に実施された、所得税の税務調査は605,077件です。

令和5年分の所得税の申告件数は2,324万件ですので、提出された申告書に対してのみ税務調査が実施されたと仮定した場合、調査を受ける確率は2.6%程度になります。

法人が税務署から接触を受ける割合は、年間で3%から4%とされていますので、数字上では法人よりも個人の方が調査を受ける確率は低いです。

一方、個人に対する税務調査は事業者を中心に実施されていますが、事業所得者の納税申告件数は166.4万件しかないため、個人事業主が税務調査を受ける確率は10%程度あると考えられています。

調査対策を講じていないと、ある日突然税務署から調査の連絡が入る可能性があるので、事業規模の大小に関係なく、個人事業主でも最低限の対策は必要です。

個人の実地調査で非違事項が指摘される確率は80%超

税務調査を受けることになったとしても、申告内容に誤りが無ければ追徴課税を受けることはありません。

しかし、税務署の調査担当者が自宅や事務所を訪れて実施する「実地調査」において、非違事項が指摘される確率は84.4%と高水準です。

個人事業主が税務調査を受ける確率は10分の1程度ですが、税務署は増差税額が見込める事業者を中心に調査を実施するため、調査前の段階で計算ミスや申告漏れを把握している可能性が高いです。

出所:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

税務調査を受けやすい業種は対策が必須

税務署は無作為に調査対象者を抽出しているのではないため、調査対象者として選ばれやすい事業者には特徴や傾向があります。

たとえば、同業者に比べて利益率が極端に高い(低い)事業者は、調査対象になりやすいです。

税務署の調査担当者は、調査を実施したことによる実績が求められているため、売上が大きい個人事業主についても、調査対象者として選ばれやすい傾向があります。

申告漏れ所得⾦額が高額な業種については、適正に申告をしていたとしても税務署から狙われやすいため、調査対策が必須です。

近年の個人事業主に対する税務調査の状況としては、令和3事務年度から3年連続で、経営コンサルタント業が最も申告漏れ所得金額が高額な業種となっています。

経営コンサルタント業を営んでいない人でも、脱税を行った経営コンサルタントと取引している場合には、取引内容が一通りチェックされ、必要に応じて調査が実施されるので注意してください。

出所:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

税理士関与による個人事業主に対する税務調査への影響

本人に代わって申告書を作成できるのは、税理士資格を有している人に限られます。

申告手続きの労力を削減する目的で税理士に依頼するのも選択肢ですが、税務調査を想定して税理士に依頼することも検討してください。

弊所は兵庫県にある税理士事務所ですが、日本全国どこからでもご依頼いただけます。ぜひ以下より、丸投げパックについてチェックしてみてください。

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税理士が関与していない申告書は税務調査を受けやすい

個人事業主が自ら作成した申告書と税理士が作成した申告書を比べた場合、税理士が作成した申告書の方が適正である可能性が高いため、税理士に依頼するだけで計算ミスを起点とした税務調査を回避できます。

一方、税理士が関与していない申告書は、計算ミス等の有無を細かくチェックされますので、相対的に税理士が関与している申告書よりも調査を受けやすいです。

個人事業主は法人よりも税理士の有無が影響しやすい

法人税の申告に関与している税理士の割合は90%程度と、大半の企業は税理士が申告書を作成しています。

それに対し、所得税の税理士関与の割合は20%程度と、5人に1人しか税理士に申告書の作成依頼をしていません。

出所:令和5事務年度 国税庁実績評価書(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/policy_evaluation/proceedings/material/81seihyoukon03.pdf

所得税の税理士関与割合には、給与所得者や年金受給者の申告も含まれるため、個人事業主に税理士が関与している割合は上記の数値よりも上がりますが、法人に比べると個人事業主の税理士関与割合は低いです。

大部分の納税者が税理士に申告書作成を依頼しているのであれば、税理士の存在が税務調査の受けやすさに与える影響は少ないです。

しかし、税理士が関与している割合が半数程度であれば、税理士が関与している申告書に対する税務調査の優先順位は一段階下がりますので、個人事業主に関しては税理士を付けるだけでも一定の調査対策の効果が見込めます。

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税理士が関与していても税務調査を受けるケース

個人事業主に税理士が関与していても、税務調査を100%回避できるわけではありませんし、依頼する税理士によっては、逆に調査を受けやすくなることもあります。

事業者が不正をしていた場合

税理士は提供された資料等を基に申告書を作成しますので、提供された資料自体に誤りがあった場合、税理士が申告書を作成していたとしても税務調査を回避することは難しいです。

事業者が売上除外や経費の架空計上を行っていれば、税理士の有無に関係なく税務調査で指摘されますし、意図的な税金逃れは重加算税が課されることになるので止めてください。

また、税務署は提出された申告書以外にも、法定調書などから事業者の売上や経費に関する情報を収集しています。

売上の一部を巧妙に隠したとしても、取引相手が正しく申告していれば、売上を除いていたことは把握されますので、適正な申告を行わないと調査を受ける確率は格段に上がります。

税務調査の連絡が入ってから税理士に依頼できるのか

税務調査に同席できるのは、原則税務代理人に限られ、税務代理人以外の第三者の立会いは断れます。

税務代理の委任を受けた税理士は、納税者の代わりに主張・陳述を行うことが認められているため、申告書の作成を税理士に依頼していない場合、税務調査を実施する旨の連絡が入った段階で税理士に税務調査への同席を依頼することも選択肢です。

弊所の税務調査サポートプラン詳細については、以下をチェックしてみてください。

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顧問税理士選びは人柄や年齢もチェックすべき

税理士に確定申告書の作成依頼をすれば、税務調査を受ける確率を下げることはできますが、税理士選びに失敗してしまうと、逆に調査を受けやすくなることもあるので気を付けてください。

顧問税理士を探す場合、気軽に相談できる人となりや、e-Taxなどのデジタル化に対応している点も判断材料となります。

税理士は事業者の税に関する相談を受けるアドバイザーとしての役割もあるため、対応がおざなりな税理士に依頼してしまうと、対価に見合わない報酬を支払うことになるので注意が必要です。

個人事業主であれば、年齢が近い現役世代の税理士に依頼することで、途中で税理士を変更するリスクを避けられますので、顧問税理士選びは長期的な目線で検討してください。

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何かお困りのことがございましたら、ぜひ一度永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へご相談ください。

税理士は確定申告書の作成だけでなく、税務調査に立ち会うことができるため、調査対策の視点から税理士を選ぶことも大切です。

税理士選びに失敗してしまうと上手く節税ができないだけでなく、調査対象者として税務署から狙われやすくなるので気を付けてください。

本記事では、税務調査対策として税理士を活用するメリットと、税理士に依頼する際に知っておくべきポイントをご紹介します。

事業者は必ず税理士に依頼しなければいけないのか

確定申告書は基本的に納税者が作成し、提出するものなので、納税者自身で申告手続きを行える場合には税理士に依頼する必要はありません。

しかし、事業者は確定申告書を年に1度しか作成しませんし、税制改正が行われれば変更点を確認した上で申告することが求められます。

納税者と税理士を比較した場合、税に関する知識は税理士の方が豊富であり、税理士は依頼を受けている件数だけ申告書を作成していますので、申告手続きにも慣れています。

税務調査に関しても、調査経験が複数回ある人は限られますので、ほとんどの事業者は調査対応に慣れることはありません。

税務調査の連絡は突然入るため、連絡を受けてから調査対策をするのでは遅いです。

調査対応のしかたを間違えてしまうと、追徴税額が増えるなどのリスクが上がりますが、関与税理士がいれば事前に調査対策ができますので、調査自体を回避できるようになります。

税務署から調査の連絡が入るパターン

税務調査は脱税を試みた人(法人)に対して実施されるイメージがあるかもしれませんが、一般の方でも調査対象者として選ばれますので注意してください。

税務署から連絡が入るパターンは3種類あり、申告誤りがあれば本税だけでなく、加算税・延滞税といった附帯税も支払うことになります。

  • 実地調査
  • 実地調査以外の調査
  • 行政指導

出所:税務手続について(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/02.pdf

「実地調査」は調査担当者が自宅・事務所に訪れる調査

「実地調査」は、調査担当者が自宅や事務所を訪問し、提出した申告書の内容や申告書を作成する基となった資料等を調べるために実施します。

一般的な税務調査は実地調査を指すことが多く、実地調査は1日かけて調査することがほとんどで、法人に対する税務調査については日をまたぐことも珍しくありません。

申告内容に誤りが無かったとしても、調査対応で最低1日は拘束されますし、調査担当者からの質問に回答できないと、計上した経費や特例適用が否認されるなどリスクが伴います。

また、仮装隠蔽行為があったとみなされた場合、重加算税が適用される点にも注意しなければなりません。

出所:加算税の概要(財務省)

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_3.pdf

「実地調査以外の調査」は電話や税務署内で実施する調査

「実地調査以外の調査」は、電話や税務署で申告誤りの指摘を行う調査手法です。

実地調査は申告書の内容をすべて確認するのに対し、実地調査以外の調査では申告誤りや申告内容の疑義がある部分だけを調査します。

調査で拘束される時間は実地調査よりも短く、調査担当者の疑義を解消できれば追徴税額を支払わずに済むケースもあります。

一方で、実地調査以外の調査でも申告誤りが指摘されれば、実地調査と同様、本税に加えて加算税・延滞税を納めなければなりません。

また、実地調査以外の調査で新たな不明点が判明した際には、実地調査に移行して調査することもあるため、適切な対応が求められます。

「行政指導」納税者に確認を促す調査

行政指導は税務署が納税者に対して申告内容の確認を促し、誤りがあった際は自主的な修正をさせることを目的とした指導です。

実地調査や実地調査以外の調査と違い、法律上の税務調査ではないため、行政指導により提出した申告書は自主申告扱いとなります。

自主的な修正申告や期限後申告は、適用される加算税のペナルティが軽減されるため、行政指導の段階で申告書の内容を正せば、余分に納める税金を抑えることができます。

また、行政指導は自主的に申告内容の確認を促すものなので、申告内容に誤りが無ければ修正申告等を提出する必要はありません。

ただし、税務署が申告内容の修正等を要すると判断した場合には、実地調査や実地調査以外の調査に切り替えて、調査が行われる可能性があるため、行政指導の連絡が入ったときも適切な対応が必要です。

税務調査対策として税理士に依頼するメリット

税理士を付けるメリットは、確定申告書の代理作成や節税だけでなく、税務調査に関するメリットも存在します。

税務調査を受ける確率が下がる

税務署は無作為に調査対象者を抽出しているのではなく、調査する条件が揃っている納税者を中心に調査を実施しますので、狙われやすい事業者は対策が不可欠です。

年間で税務調査を受ける確率は税金の種類によって異なり、個人事業主(所得税)は概ね1%、法人(法人税・消費税)は3%~4%程度です。

税務署の調査担当者は、調査を実施したことによる実績が求められているため、増差税額が発生する可能性が高い事案ほど調査対象者として選定しやすい傾向にあります。

納税者が作成した申告書は、税理士が作成したものより申告内容に誤りがある可能性が高いため、税理士関与が無い申告書の方が税務調査を受けやすいです。

一方、税理士が関与している申告書は、税務署から一定の信用はされていますので、税理士を付けているだけで、調査を受ける確率は下がります。

出所:令和4事務年度国税庁実績評価書(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2022/evaluation/index.html

税務調査に対する不安を払拭できる

納税者が関与税理士を付けている場合、税務署は関与税理士を通じて納税者に連絡をしなければなりません。

したがって、関与税理士を付ければ税務署から直接連絡が入ることは無くなりますし、税理士が間に入って税務署の担当者と税務調査に関する話し合いをしますので、税務署のペースで調査が展開されることを防げます。

税務調査は納税者以外の人が立ち会うことはできませんが、納税者から委任を受けた税理士については立ち会いが認められています。

初めて税務調査を受ける納税者は、脱税行為をしていなくても調査について不安になりますが、税理士がいれば不安を軽減できますし、調査に関する疑問点を事前に税理士へ聞けるのも関与税理士を付けるメリットです。

税務署からの指摘に対して適切な対処を行える

個別判断を要する事項は適否が分かれやすく、納税者によって経費計上の可否や特例制度の適否が変わることは珍しくありません。

税務署は税務調査で白を黒にすることはしませんが、白黒はっきりしていない点を黒と認定し、申告誤りとして指摘することはあります。

納税者が税知識を十分に有していない場合、調査担当者からの指摘に対して反論することが難しく、根拠のある意見を主張できないと黒として認定されてしまう可能性が高いです。

その点、税理士は税務署の調査担当者と同等、またはそれ以上の知識・経験を有していますので、調査担当者が黒の疑いを向けたとしても、白である根拠を法令や判例等を交えて説明することができます。

税務署は黒と断言できないものを無理やり黒認定することはしませんので、見解が分かれる事項が多いケースほど、税理士の存在が活きてきます。

税務調査に強い税理士の見つけ方

税務署は牽制目的で税務調査を実施することがあるため、確定申告書を適正に作成したとしても、税務調査を100%回避することは困難です。

税務調査を受けないことが望ましいですが、税務調査が入ったとしても申告誤りを指摘されなければ、追徴課税を受けることはありません。

税務調査に強い税理士は、調査対象になったことも想定して対策を講じますので、調査を受けないことだけをアピールしている税理士には注意してください。

税理士の中には税務署側に傾いた対応をする方もいますので、税務署の調査担当者の要求を鵜呑みにせず、納税者の味方として行動する税理士に依頼してください。

税務調査リスクを下げたい方は税理士を活用すること

税務調査を可能な限り回避するためには、申告書を正しく作成することが最も重要です。

納税者が正しい申告書を作成するのは大変ですので、調査リスクを軽減する観点から税理士に依頼することも検討してください。

税務調査は一つの計算ミスが原因で実施されることもありますし、税理士が付いていない申告書は、他に誤りがないか念入りに調べられます。

全国には数多くの税理士事務所が存在しますが、事務所によって得意・不得意の分野は違いますし、税理士自身の能力にも差があります。 毎年申告する事業者は、顧問税理士の選び方が経営にも影響してきますので、信頼できる税理士を見つけていただき、事業に専念できる環境を整えてください。

税務でお困りごとがございましたら、永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へお問い合わせください。

税務調査は1年中行われていますが、制度の創設・変更した部分は調査対象になりやすい傾向にあります。

インボイス制度は令和5年(2023年)10月1日からスタートしましたので、消費税の税務調査は今後増加することが予想されますので、調査対策は不可欠です。

本記事では、インボイス制度に対する税務調査の動向と、インボイス制度導入後に気を付けるべき税務調査のポイントについて解説します。

消費税の税務調査の実施状況

消費税の税務調査は毎年数多く実施されており、令和4事務年度における法人税・消費税の実地調査件数は6.2万件、簡易な接触件数は6.6万件です。

「実地調査」は、調査担当者が自宅や事務所に訪れて実施する調査をいい、一般的な税務調査は実地調査を指します。

「簡易な接触」は、税務署が書面や電話、来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するものです。

1年間の納税者に対する法人税・消費税の接触率は3.9%、5年間では17.8%となっていますので、確率的には6社のうち1社は5年間で国税当局から何かしらの接触を受けています。

一方、令和4事務年度の個人事業主に対する消費税の税務調査件数は93,985件と、対前年比110.3%となっています。

消費税の無申告者に対する調査も積極的に実施されており、 同事務年度の実地調査件数は7,615件(令和3事務年度3,828件)、1件当たりの追徴税額は全体156万円の1.7倍にあたる260万円です。

260万円は過去最高額だった令和3事務年度の245万円を超える額なので、税務調査で無申告を指摘された際の追徴税額は今までで最も大きいです。

インボイス制度への対応が必要になるケース

インボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入された令和5年10月1日以降に、消費税の仕入税額控除を適用する場合、原則として適格請求書発行事業者から交付を受けた適格請求書の保存が必要です。

適格請求書を交付する事業者は、納税地を所轄する税務署長に適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、適格請求書発行事業者として登録を受けなければなりません。

適格請求書発行事業者の登録件数は、令和6年3月末時点で4,445,025件です。

出所:適格請求書発行事業者の登録通知時期の目安について(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/kensu_kikan.pdf

登録申請ができるのは消費税の課税事業者に限られるため、消費税の免税事業者が登録をするためには、課税事業者への変更を要します。

インボイス制度への対応は任意であるため、インボイス制度に対応していないだけで税務調査を受けることはありません。

しかし、免税事業者からの仕入れに係る消費税は仕入税額控除の対象外となることから、適格請求書発行事業者の登録をしない場合、事業の取引範囲が狭まることが懸念されています。

インボイス制度に対する税務調査は大口・悪質なケースに限定

住沢整国税庁長官は、会見等でインボイス制度に対する税務調査を大口・悪質なケースに限定して実行することを示しています。

国税当局は、これまでも保存書類の軽微な記載不備を目的とした調査は実施しておらず、記載事項の不備をあげつらうような調査はしないとし、税務調査の過程でインボイスの記載不備を把握したとしても、柔軟な対応をとる方針を考えているとのことです。

たとえば、インボイスに必要な記載事項については他の書類等で確認したり、 修正インボイスを交付することで、事業者間でその不足等を改めるなどの対応を行うこととしています。

調査必要度の高い納税者(大口・悪質な不正計算が想定される納税者など)に対しては、重点的に税務調査を実施するとしていますが、一般納税者に対してはインボイス制度に関するケアレスミスを指摘することだけを目的に、税務調査が行われることはありません。

出所:インボイス制度の周知広報の取組方針等について(国税庁)

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/tekikaku_seikyusyo/dai3/siryou.pdf

インボイス制度の導入で消費税調査はより厳しくなる

インボイス制度に対する税務調査は、国税庁長官が大口・悪質なケースに限定すると明言していますが、インボイス制度の導入自体が税務調査に影響を及ぼす出来事なので、事業者は必要に応じて対策を講じなければなりません。

消費税の無申告者の抽出が容易になる

適格請求書発行事業者の登録申請ができるのは、消費税の課税事業者に限られるため、インボイス登録を行った事業者は必ず消費税の申告をしなければなりません。

適格請求書発行事業者には登録番号が付されていますので、税務署は登録事業者の誰が申告しているか容易に把握できます。

インボイス(適格請求書)には、適格請求書発行事業者の氏名(名称)および登録番号登録番号を記載しなければならなず、税務調査では仕入税額控除を適用するために必要事項がインボイスに記載されているかチェックします。

登録事業者でない事業者からの仕入れを仕入税額控除に含めていれば否認されますし、取引相手が消費税の申告が必要な事業者であるかも同時に確認されます。

適格請求書発行事業者の登録は任意ですが、登録申請をしていない事業者についても、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば消費税の課税事業者となりますので、消費税の申告が必要になる事業者は期限内に手続きを行ってください。

仕入税額控除の適否判定を確認するための調査が増える

インボイス制度の導入で仕入税額控除の適用要件が変更になったため、仕入税額控除の適否判定のために税務調査が実施されることも想定されます。

インボイス制度に対する税務調査は一定の納税者に限定される見込みですが、経費の架空計上などに対する税務調査は全事業者が対象です。 経費を増やすために領収書等を偽造すれば、税務調査で指摘されるだけでなく、重加算税が課されることになるので気を付けてください。

消費税の税務調査で気を付けるべきポイント

所得税や法人税の税務調査対策は講じられることが多いですが、消費税の課税事業者については、消費税の税務調査への対策も必要です。

□消費税調査は所得税・法人税と同時に実施される

消費税は事業を営んでいる人(法人)が納める税金ですので、所得税・法人税と一緒に税務調査が実施されるケースが多いです。

消費税は課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除して算出するため、売上の計上漏れや指摘されたり経費が否認されれば、消費税の納税額が増加します。

消費税の計算は「一般課税」と「簡易課税」の2種類ですが、インボイス制度が開始したタイミングで「2割特例」が期限付きで導入されています。

簡易課税は事前申請が必要であり、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合、その課税期間は簡易課税制度を適用することはできません。

2割特例は事前申請することなく適用できる反面、インボイス事業者となるために免税事業者から課税事業者になった事業者を対象とする制度なので、適用する際は事前に要件を確認してください。

□消費税の複数税率に対応した申告内容の確認

消費税の軽減税率は、令和元年(2019年)から10月1日より導入されましたが、すべての課税売上に対する消費税を軽減税率、課税仕入れに対する消費税を一般税率で計算すれば、納税額を不当に抑えることができてしまいます。

税務署は複数税率に応じた会計処理を適切に行われているかだけでなく、不当に軽減税率・一般税率が適用されていないかを確認するために調査するケースもあるので、複数税率への対応も万全に講じなければなりません。

税務調査は5年前まで遡って実施する

事業者に対する税務調査は一般的に3年分の申告書を対象とすることが多いですが、法律上は5年前まで遡って調査することが認められています。

消費税が無申告であれば、5年前まで遡って調査することもありますし、税務調査で消費税の課税事業者に該当するとなった場合、過年分の消費税の申告も必要になるケースもあります。

また、税金を誤魔化す行為(仮装隠蔽行為)をした納税者に対しては、調査期間が7年まで延長されるだけでなく、重加算税が課される可能性が非常に高いです。

消費税の税務調査対策は今後必須となりますので、インボイス制度が導入されたタイミングで対策方法を見直すことを推奨します。

税務でお困りのことがございましたら、お気軽に永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へご相談ください。

税務調査は大企業だけでなく、中小企業や個人事業主に対しても行われますし、調査が実施されるタイミングを把握することはできませんので、税務調査の連絡が入る前から対策を講じることが大切です。

本記事では、税務調査の種類と実地調査の流れ、税務署から調査の連絡を受けた際の対応方法について解説します。

個人の税務調査は個人課税部門が担当

税務署は全国524か所に設定されていますが、税務調査の実施内容は全国共通です。

所得税の税務調査は、基本的に管轄税務署の個人課税部門が担当となりますが、所得金額が多い人や事業規模が大きい個人事業主は税務署ではなく、国税局の職員が調査を担当する可能性があります。

税務調査官の調査能力には個人差があり、ベテラン職員は調査経験が豊富である一方、若手職員は少しでも疑問点が残っていれば解決するまで調査を継続します。

税務調査を完全に回避することは難しいですが、対策を講じることで税務調査を受ける確率を下げることはできますし、申告内容に問題が無ければ調査を受けたとしても追徴課税の対象にはなりません。

税務調査は任意調査と強制調査の2種類

税務調査は、目的等に応じて任意調査と強制調査が使い分けられています。

強制調査の対象となる人はごく一部

強制調査は、納税者の許可を得ずに捜査する調査をいい、調査を担当するのは税務署ではなく、マルサ(国税局査察部)です。

マルサは裁判所の令状を得て調査を実施するため、納税者の同意を必要とせず、必要であれば関係書類は押収されます。

強制調査で脱税を指摘された場合、追徴課税だけでなく刑事罰に処される可能性が高いので、強制調査を受けないことが何よりも重要です。

なお、強制調査の対象となるのは悪質な脱税犯に限られますが、個人に対しても行われる点には注意してください。

出所:査察調査我が国は納税者自身による適正な申告と納付(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/01.pdf

任意調査は一般的な税務調査

任意調査は、納税者の同意の下で実施する調査をいい、個人に対する調査のほとんどは任意調査です。

調査担当者は納税者に同意を得てから調査をする必要があるため、基本的に調査が実施される前に連絡が入ります。

ただ、任意調査であっても納税者は調査を断ることができませんし、調査に応じない場合や、事前に連絡することで調査に支障をきたすことが想定されるケースでは、無予告で実施することが認められています。

任意調査で申告内容の誤りを指摘された際は、追徴税額を支払うことになりますが、仮装隠蔽行為があったと判断されれば、重加算税の対象となるので注意してください。

個人に対する税務調査の流れ

税務調査官が自宅や事務所に訪れて書類等を調べる調査を「実地調査」といい、実地調査は次の流れに沿って行われます。

出所:国税庁の税務調査の概要

https://www8.cao.go.jp/chosei/dokkin/kaisaijokyo/mtng_4th/mtng_4-3.pdf

①:税務署からの事前通知

調査担当者は納税者に対し、次の事項を事前通知することが法律で定められているため、実地調査が行われる際は、原則として事前に調査を実施する旨の連絡が入ります。

<事前通知で伝えられる事項>

  • 調査が実施される日時
  • 調査場所
  • 調査の目的
  • 調査対象となる税目
  • 調査対象期間
  • 調査対象になる帳簿書類等

調査日時は税務署から希望日が伝えられますが、合理的な理由があれば、納税者が調査日時の変更を求めることもできます。

ただし、税務調査の協力に応じない場合や、税務署が保有する情報から事前通知を行うことで調査に支障が出る場合、調査担当者は事前通知せずに税務調査を行うことが認められています。

②:調査に向けての事前準備

納税者は調査を受けることが決まりましたら、当日までに調査対象となった税目の資料・書類を準備してください。

個人事業主の場合、3年分の申告書が調査対象となることが多いですが、調査担当者は対象年分より前の資料等の提示を求めてくることがあります。

事業者には帳簿や領収書を一定期間保存することが定められているため、書類等を提示できないと不利な状況に追い込まれますので、日頃から関係書類の整理整頓を行ってください。

③:実地調査当日

調査当日は、税務署の調査担当者から身分証明書と質問検査章が提示されます。

実地調査では関係書類を調べるだけでなく、納税者に売上や在庫の管理方法など、確定申告に関連する内容を細かく尋ねられます。

調査担当者は必要に応じて帳簿書類などを提示・提出を求めてきますが、正当な理由がなく提示・提出を断ることはできません。

質問検査権に基づく質問は正確に回答しなければならず、質問事項に対して偽りの回答をすれば仮装隠蔽行為があったとして、重加算税の対象になってしまいます。

また、税務署は調査事項が解明されるまで調査を続けますので、早期に調査を終わらすためにも調査に協力することは必要です。

④:反面調査

調査担当者は、納税者からの聴き取りした内容の真偽等を確かめるために、取引先や雇用主などに対して反面調査を行います。

調査当日に担当者からの質問を上手く避けられたとしても、反面調査で事実関係は確認されますし、反面調査で新たな疑問点が浮上したときは、調査担当者が再び自宅等に訪れることもあります。

⑤:調査結果の説明・修正申告等の勧奨

税務調査が終了する際は、調査担当者から申告内容の誤り等についての説明が行われ、説明した内容に基づき、修正申告または期限後申告の勧奨が行われます。

修正申告(期限後申告)の勧奨は、納税者に修正申告書等の提出を促すもので、納税者が調査結果の説明に納得した場合、勧奨に応じて修正申告書等を提出することになります。

一方、税務調査の結果、申告内容に誤りが認められない場合や、申告義務がないと認められる場合には、税務署から「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」(通称:是認通知書)が送付されます。

⑥:修正申告・納税

修正申告等の勧奨に応じる形で修正申告書等を提出・納税した場合、1か月から2か月後に加算税および延滞税の通知が届きますので、適宜納めてください。

修正申告書等の勧奨に応じないときは、税務署長が更正または決定の処分を行い、更正または決定の通知書が送付されます。

また、調査結果に不服があるときは、再調査の請求や審査請求を行うことができますので、必要に応じて手続きをすることになります。

税務署から実地調査の連絡が入った際の対処法

納税者の大半は税務調査を受けた経験がなく、調査担当者の対応に苦慮することが多いため、不利益を被らないためにも税理士を付けることを検討してください。

税務署から税務調査を実施する旨の連絡が入った場合、その時点で調査を避ける手段はありませんので応じることになります。

調査の日程調整等に応じなければ無予告で調査が入ることもありますし、調査担当者の心証を悪くします。

一方、税理士法に定められている書面添付制度に基づく書面が申告書に添付されている場合、税務署は関与税理士を通じて税務調査を実施する旨の連絡を行います。

関与税理士がいるだけで税務署から直接連絡が入らなくなりますし、 関与税理士は調査当日に立会うことが認められています。

また、税理士は専門家として税務署に対し、納税者側の意見を正確に伝えることができますので、税理士に依頼するのは節税だけでなく、調査対策としても効果的です。

まとめ

個人と法人は調査を担当する部署が異なりますが、調査の基本的な流れは同じです。

しかし、個人事業主は法人と比べて税務調査を受けた経験が無い方が多く、税理士が関与していない申告も多いです。

関与税理士が不在の申告書は調査対象者として選定されやすく、納税者だけで調査担当者と対等に渡り合うのは難しいです。

確定申告書を作成する時点で税理士に依頼するのが望ましいですが、申告書を提出した後に税理士を付けることもできますので、税務調査関係で不安がある場合はぜひ一度、永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へご相談ください。