個人事業主 | 神戸の税理士|永安栄棟 公認会計士・税理士事務所

フリーランスとして働いていると、税金の負担が気になることはありませんか。

収入金額が同じでも、ご自身の状況に応じた節税対策を講じることで、手元に残る資金を効率よく増やすことができます。

本記事では、今日から実践できるフリーランス向けの節税対策を、5つの方法に厳選してご紹介します。

フリーランスが節税対策をすべき理由とは?

フリーランスは会社員と異なり、自ら税金を計算し、納付する必要があります。

所得税と住民税は、収入から経費を差し引いた「所得」を基に算出されますが、フリーランスを含む個人事業主には、会社員(給与所得者)に適用される給与所得控除がありません。

そのため、節税対策を講じなければ、同じ収入でも課税対象額が大きくなりやすい傾向があります。

一方で、フリーランスは経費を活用した節税が可能です。

税金の仕組みを理解していればいるほど、適切な対策を講じることができるため、結果として納税額の削減を実現できます。

節税対策①:経費を正しく計上して所得を圧縮

経費を活用した節税は、事業者にとって基本的かつ効果的な税金対策です。

経費にできるもの・できないものの判断基準

経費として認められる支出は、「事業のために直接必要な費用」に限られます。

たとえば、仕事で使用するパソコンやソフトウェア、打ち合わせ時の交通費や通信費などは経費に該当します。

一方で、私的な支出や家族との食事代など、事業との関連性が乏しいものは対象外です。

判断に迷う場合は、領収書に用途を記載するほか、帳簿に具体的な使途を記録しておくとよいでしょう。

また、税務調査への備えとしても、日頃から根拠を残す習慣を身につけておくことが大切です。

家事按分の考え方と注意点

フリーランスの場合、仕事と私生活の両方で使用する設備や備品が多くみられます。

自宅を仕事場として活用しているケースでは、家賃や光熱費などの一部を「家事按分」として経費計上することが可能です。

家事按分とは、部屋の面積や使用時間などを基準に、事業用と私用の支出を合理的に区分することをいいます。

ただし、按分割合が不自然に高すぎると、税務署から否認される恐れがあります。

税務調査では、按分割合の根拠の提示が求められるため、Excelなどを活用して按分基準を明確に記録しておきましょう。

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節税対策②:青色申告を活用して控除を最大化

青色申告は、支出を伴わず所得を減らせる控除制度や赤字繰り越しの仕組みなど、フリーランスに有利な節税効果がある制度です。

青色申告特別控除とは?最大65万円控除のメリット

青色申告の最大の利点は、「青色申告特別控除」の適用を受けられる点です。

複式簿記による帳簿作成や、期限内申告などの要件を満たせば、最大65万円を所得から控除できます。

経費による節税は実際の支出を伴いますが、青色申告特別控除は支出なしで税負担を軽減できるため、非常に効率的です。

出所:はじめてみませんか? 青色申告(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kichou01.pdf

最大3年間の赤字繰り越しが可能

事業所得で赤字が生じた場合、給与所得などと損益通算して相殺することができます。

白色申告では、控除しきれなかった赤字を翌年以降に繰り越すことは認められていません。

一方、青色申告者であれば、損益通算後に残った損失を最大3年間繰り越して、翌年以降の所得から控除することが可能です。

フリーランスでも、開業初期や一時的な収益減少により赤字となることがありますが、青色申告を行っていれば、税務上の救済措置としてこの制度を活用できます。

節税対策③:小規模企業共済で将来に備えながら節税

小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主のための「退職金制度」として活用できる制度です。

掛金の全額が所得控除に!メリットと注意点

小規模企業共済では、掛金の全額が所得控除の対象となるため、将来への備えと同時に節税効果が得られます。

掛金は月1,000円〜70,000円(500円単位)の範囲で自由に設定可能で、すべてが「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。

掛金額を増やせば課税所得が圧縮されるため、所得税や住民税の負担軽減につながります。

また、掛金の増減や一時停止も可能なため、経営状況に応じて柔軟に対応できる点も魅力です。

ただし、原則として20年以上の加入が想定されているため、短期間での解約では元本割れのリスクがある点には留意が必要です。

受取時の課税関係も要チェック

小規模企業共済の共済金を受け取る場合、所得税の課税対象となります。

所得区分は受け取り方法により異なり、一括で受け取る場合は退職所得として扱われます。

退職所得には退職所得控除が適用されるため、税負担を大きく軽減できるのが特徴です。

一方、分割で受け取る場合は雑所得(公的年金等)として課税されます。

雑所得は他の所得と合算して税額が算出されるため、収入状況によっては税率が高くなることがあります。

ただし、公的年金等控除の適用により、一定の税負担を軽減できる場合もあるため、所得構成やライフプランに応じて受け取り方を検討することが重要です。

節税対策④:iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金と節税を両立

フリーランスの税金対策は、事業面にのみ焦点が当てられることが少なくありません。

しかし、実際には事業とは直接関係のない分野でも、税金対策を行うことが大切です。

掛金の所得控除と運用益が非課税になるメリット

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出し、自ら運用して資産を形成する年金制度です。

毎月の掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になるため、課税所得を減らすことができます。

さらに、運用中に得られる利息・配当・売却益はすべて非課税となる点も、大きなメリットです。

老後に一括または分割で受け取る際には、退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため、受取時の税負担も軽減されます。

フリーランスがiDeCoを始める際の注意点

iDeCoは、原則として60歳まで資金を引き出すことができません。

そのため、急な資金需要が生じた場合には対応できず、流動性が制限される点に留意する必要があります。

iDeCoで積み立てる資産は、「加入者」または「運用指図者」が自身の責任で運用し、資産形成を行う仕組みです。

運用成果によって、60歳以降に受け取る老齢給付金の額が増えることもあれば、減少する可能性もあるため、そのリスクを理解した上で利用することが求められます。

また、運用には各種費用が発生するため、金融機関の選定や運用商品の選び方にも注意が必要です。

節税対策⑤:必要に応じて法人化も検討しよう

フリーランスとしての所得が一定以上ある場合、法人化(法人成り)によって節税できる可能性があります。

法人化による節税効果

法人化は、所得を役員報酬と会社の利益に分けることで、所得税の累進課税を抑える効果が期待できます。

家族が事業に関与している場合は、家族を役員に任命し、役員報酬を支払うことで所得を分散できるため、節税効果が高まります。

また、法人は個人に比べて経費として認められる範囲が広いのも特徴です。

法人は原則として家事按分が不要ですし、色々な手段を用いて節税対策を講じられます。

法人化のタイミングと判断基準

法人化を検討する目安として、年間所得が800万円〜1,000万円を超えるかどうかが一つの判断材料になります。

この水準を超えると、個人事業主に課される税率の方が高くなるため、法人化による節税効果が期待できるケースが増えてきます。

節税面以外でも、取引先からの信用向上や、事業拡大に伴う人材採用・資金調達がしやすくなるのもメリットです。

ただし、法人設立には初期費用や運営コストが伴うため、税理士などの専門家に相談したうえで慎重に判断することが望ましいです。

フリーランスの節税に関する疑問・注意点

節税に取り組む中で、「これって大丈夫?」「やりすぎでは?」と不安を感じることもあるでしょう。

ここでは、フリーランスが抱きやすい節税に関する疑問と注意点について解説します。

節税しすぎると税務調査の対象になる?

税金対策は、「正しく・根拠を持って」が基本です。

節税は合法的な行為であり、適切に行っていれば税務調査を受けたとしても否認される心配はありません。

ただし、経費の水増しや不自然な家事按分、根拠のない控除などがある場合は、調査対象となる可能性が高まります。

また、領収書などの証拠書類を保存していない場合は、経費として認められないことがあるため、日頃から調査対策を講じておくことが重要です。

「節税」と「脱税」はどう違う?

節税と脱税では、法的な位置づけが根本的に異なります。

節税は、法律の範囲内で税負担を軽減する正当な行為です。

一方、脱税は隠蔽や虚偽申告などによって税金の支払いを免れようとする違法な行為であり、摘発の対象となります。

脱税を行うと、税務調査や追徴課税のリスクに加えて、悪質と判断された場合には刑事罰が科される可能性もあるため、税金対策は節税手段を用いるのが鉄則です。

税理士への相談も視野に入れるべき?

節税対策を効果的かつ安心して進めるには、税理士への相談が有効です。

税制は複雑で、しかも頻繁に改正されるため、専門家の知識を活用することでリスクを抑えながら、最大限の節税効果を得ることが可能になります。

特に所得が増えたタイミングや法人化の検討段階では、早めに相談することで適切な判断につながります。

また、顧問税理士がいないフリーランスであれば、必要に応じて税理士を付けることも有力な選択肢です。

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まとめ

フリーランスにとって、節税対策は収入を守り、事業を安定させる重要な手段です。

青色申告や経費の適正な計上、小規模企業共済やiDeCoの活用など、今日から始められる方法は多く存在します。

一定以上の所得がある場合には、法人化の検討も有力な選択肢の一つです。

最適な節税手段は人それぞれ異なりますので、専門家へ相談しながら、無理のない範囲で取り組むことが大切です。

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税務のお困りごとがございましたら、永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へ一度ご相談ください。

減価償却資産を取得した場合、基本的には複数年にわたって資産を償却することになりますが、償却方法を工夫することで、法人税の負担軽減を図ることが可能です。

ただし、企業の経営状況や収益の見通しによって、最適な減価償却資産の購入時期や償却方法の選択肢が異なる点には注意が必要です。

本記事では、減価償却の基本的な考え方と、節税対策としての具体的な活用方法について解説します。

法人税対策における減価償却の重要性

減価償却は、事業者が取得した事業用資産の購入費用を一定期間に分割して計上する制度です。

原則として、一括での経費計上はできませんが、継続的に税負担を軽減できるというメリットがあります。

償却方法には複数あり、選択する方法によって各事業年度の損金算入額が変動するため、減価償却資産を取得した際には、償却方法の検討が不可欠です。

たとえば、減価償却方法の一つである定率法は、初期に多くの減価償却費を損金算入できるため、収益が高く見込まれる期間に節税効果を高めることが可能です。

また、特別償却や即時償却を活用することで、設備投資後の負担を軽減しつつ、事業成長を支える財務戦略の構築も期待できます。

減価償却費の適正な計上は、財務諸表の透明性にも影響を及ぼすため、長期的な視点で資金管理と税務対策を計画的に進めることが重要です。

減価償却を活かした節税の具体策

法人税の負担を軽減するためには、減価償却の方法を適切に選択し、計画的に活用することが求められます。

減価償却方法の特徴

減価償却の主要な計算方法には、「定額法」「定率法」「生産高比例法」「リース期間定額法」があります。

定額法は、毎年一定額を償却する方式であり、長期的に安定した財務計画の策定が可能です。

定率法は、初年度の償却額が大きく、その後徐々に減少する方式で、収益が高い初期段階において節税効果を高めやすい点が特徴です。

生産高比例法は、実際の使用量や生産量に応じて償却額を算出する方式であり、製造業など設備の稼働率に変動がある業種で利用されます。

リース期間定額法は、リース契約に基づく資産を対象とし、リース期間中に均等に償却する方式です。

なお、減価償却資産の種類によって法定の償却方法が定められていますが、所定の届出を行うことで、法定外の償却方法を選択することも可能です。

特別償却・即時償却による初期費用の圧縮

特別償却や即時償却は、一定の条件を満たす資産に適用される減価償却の優遇措置です。

特別償却は、通常の償却額に加えて一定の割合を上乗せして計上できる制度であり、大規模な設備投資を行う際に有効です。

即時償却は、対象資産の取得費用を一括で経費計上できるため、初年度の税負担を大幅に軽減できるメリットがあります。

中小企業が活用すべき税制優遇制度

中小企業向けには、法人税の負担軽減を目的とした特例措置が複数用意されています。

たとえば、中小企業経営強化税制では、一定の要件を満たす設備投資に対して、特別償却または税額控除が適用される仕組みがあります。

また、青色申告の届出を行っている法人であれば、取得価額30万円未満の減価償却資産について、全額を一括で損金算入することが可能です。

なお、税制優遇措置には期間限定のものも多く含まれているため、制度が創設されたタイミングで減価償却資産を取得し、特例制度を適用することで、より効果的に節税を図ることができます。

<少額減価償却資産の特例の特徴>

出所:少額減価償却資産の特例(中小企業庁)

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tokurei/syougaku_shisan.html

税務調査においては、適切な備えと専門的な対応が不可欠です。

次に、実務支援として活用いただける具体的なサービスをご紹介します。

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減価償却費の経費計上で指摘されやすいポイント

減価償却資産は高額になりやすいため、税務調査では計上内容の細部まで確認されることが多くあります。

耐用年数の誤り

税務調査では、減価償却資産に適用する耐用年数の誤りが指摘されるケースがあります。

たとえば、法定耐用年数を正しく適用していない場合、減価償却費の計算に誤差が生じ、結果として過剰な経費計上と見なされるおそれがあります。

こうした誤りを防ぐためには、各資産に定められた法定耐用年数を正確に把握し、適切に処理を行うことが求められます。

償却開始時期の誤り

減価償却の開始時期は、「購入した日」ではなく、「事業の用に供した日」と定められています。

「事業の用に供した日」とは、減価償却資産が本来の目的に沿って実際に使用を開始した日を指します。

たとえば、事業用機械を購入した場合、その機械によって製品の生産を開始した日が償却開始の基準となり、単に工場内に搬入しただけでは、使用を開始したとは認められません。

据付作業や試運転が完了するまでに時間を要する場合は、減価償却を開始する事業年度が遅れる可能性があるため、事前の計画と管理が重要です。

特別償却・即時償却の適否

企業が特別償却や即時償却を適用する際は、事前に適用要件を正確に確認しておく必要があります。

特例措置を活用した後に適用を否認されると、課税所得や税務申告に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、減価償却の計算方法や適用基準を正しく理解し、適切に処理を行うことが求められます。

また、取得価額が30万円未満の減価償却資産に対する即時償却の特例は、中小企業者等に限定されているため、自社が該当するかどうかを事前に確認してください。

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事業成長に貢献する減価償却の活用法

減価償却は、単なる会計処理にとどまらず、企業の成長戦略に直結する重要な要素です。

経営者には、設備投資の計画やキャッシュフローの改善を踏まえたうえで、減価償却を効果的に活用することが求められます。

設備投資と減価償却の長期戦略

企業が持続的に成長するためには、設備投資のタイミングと減価償却の計画を慎重に立てることが不可欠です。

たとえば、新規事業の展開や生産性向上を目的とした設備投資を行う場合、適用する減価償却方法によって財務に与える影響は大きく異なります。

定率法は、初期に多くの償却費を計上できるため、節税効果を早期に得るとともに、資金繰りの負担を軽減できます。

また、特別償却制度を活用すれば、設備投資額の一部を初年度に多く償却できるため、投資負担を抑えながら事業拡大を図ることが可能です。

キャッシュフロー改善に役立つ減価償却の使い方

減価償却の方法を適切に選択することで、キャッシュフローの改善にも寄与することができます。

安定した収益基盤を持つ企業では、定額法を用いて毎年一定額の減価償却を行うことで、長期的な財務計画の策定が容易になります。

一方、収益の変動が大きい企業では、初年度に償却費を多く計上できる定率法を活用することで、キャッシュフローへの圧迫を抑える効果が期待できます。

また、即時償却制度を活用すれば、特定の設備投資について取得費用を一括で経費計上できるため、資金流出を最小限に抑えることが可能です。

このように、減価償却の活用方法を見直し、キャッシュフローの最適化を図ることで、財務健全性を維持しながら安定的な成長を目指すことができます。

最新の税制改正を考慮した減価償却の見直し

経営者は、税制改正の内容についても定期的に確認することが求められます。

減価償却制度は、税制改正により適用条件や計算方法が変更されることがあります。

たとえば、法人向けの特別減価償却措置が新たに導入された場合には、対象となる設備投資を計画的に実施することで、税額控除などを受けられる可能性があります。

また、国は環境対応設備やデジタル化推進のための設備投資に対する優遇措置を拡充する傾向にあるため、現行制度はもちろん、税制改正で新たに創設された制度も積極的に活用して、長期的な節税戦略と事業の発展を両立させることが重要です。

まとめ

減価償却資産を取得する際は、適切な方法を選択することで、税負担を抑えつつ財務の健全性を確保することが可能です。

特別償却や即時償却といった制度を上手に活用すれば、節税効果に加え、資金繰りの安定化や成長戦略の推進にもつながります。

なお、最新の税制改正を経営者が漏れなく把握することは容易ではないため、税理士と緊密に連携し、実効性の高い節税対策を講じることが重要です。

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減価償却費は、適切に活用すれば納税額を抑える効果があります。

しかし、計上方法を誤ると税務署から指摘を受ける可能性があるため、正しい知識を身に付けることが大切です。

本記事では、個人事業主が減価償却費を最大限活用し、節税効果を得るための具体的なテクニックおよび、税務調査で問題視されやすいポイントについて説明します。

個人事業主が知っておくべき減価償却費の基礎知識

個人事業主にとって、減価償却費は節税対策の柱の一つです。

有効活用できれば、支出額が同じでも、一般的な支出より節税効果を高めることができます。

減価償却費の仕組み

減価償却費とは、事業用資産の取得費用を一定期間に分割して計上することで、課税所得を減少させる制度です。

通常、事業に必要な費用は、支出が生じた年分の経費として計上しますが、減価償却資産については、資産の種類などに応じて複数年にわたり分割して計上することになります。

減価償却資産に該当するものには、事業などの業務で使用される建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などがあります。

一方、土地や骨とう品など、時間の経過によって価値が減少しない資産は、減価償却資産には含まれません。

減価償却費の主な計算方法には「定額法」と「定率法」があり、いずれも年間に計上できる金額には上限が設けられています。

ただし、一定の条件を満たす減価償却資産については、支出した年分において一括で償却できる場合があるため、資産の種類や金額に応じて経費計上の方法を工夫することが重要です。

会計上と税務上の減価償却費の違い

会計上の減価償却費は、資産の実際の使用状況に基づいて計上します。

事業者は、資産の経済的使用可能期間を見積もったうえで、適切な償却方法を選択し、減価償却費を算出します。

一方、税務上の減価償却費は、法定耐用年数に基づいて計算する必要があります。

この法定耐用年数は資産の種類ごとに定められており、減価償却費として経費に算入できる金額にも上限があります。

減価償却費を活用して節税ができる理由

所得税は、課税所得金額が高くなるほど税率が上がる累進課税方式を採用しているため、節税対策では適用税率を下げる工夫も必要です。

仕入れなどを行った場合、基本的には支出が生じた年分の経費として計上することになるので、節税効果はその年分に限定されます。

それに対し、減価償却費は複数年にわたり計上できることから、継続的に課税所得を抑えることが可能です。

利益を平準化できれば、トータルの納税額を減らすことができるため、事業の成長過程で必要となる設備投資等を行うことで、事業体制を整えながら効率的に節税することができます。

減価償却方法の種類

個人事業主は、「定額法」と「定率法」のいずれかを用いて減価償却費を求めることになります。

定額法

定額法は、資産の取得価額を耐用年数で均等に分割して償却する方式です。

毎年同じ額を必要経費として計上するため、計算が容易であり、経費となる金額が予測しやすいメリットがあります。

一方、初年度の償却額は定率法と比べて少ないため、初期投資の負担軽減という面ではやや不利です。

<定額法の計算方法>

取得価額×定額法の償却率=減価償却費

定率法

定率法は、資産の帳簿価額に一定の割合を乗じて償却費を算出する方式です。

初年度に計上できる減価償却費が大きく、減価償却資産を取得した初期の税負担を軽減できることから、積極的に設備投資を行う事業者にとって有利とされています。

一方で、償却額は年を追うごとに減少していくため、後半期の償却額が小さくなる点には注意が必要です。

<定率法の計算方法>

未償却残高×定率法の償却率=減価償却費

※上記の金額が償却保証額に満たなくなった年分以後は、「改定取得価額×改定償却率」で算出する。

定額法と定率法で減価償却費を計算した場合の具体例

取得価額100万円、耐用年数10年の減価償却資産を定額法と定率法で計算した場合の計算例です。

最終的な償却費の額は同じですが、年によって経費計上できる金額が異なるため、状況によって節税面での有利・不利は変わります。

出所:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm

償却方法の選定と届出

減価償却資産の償却方法を選定する場合、税務署への届出が必要です。

償却方法は資産の種類ごとに選定することになりますが、届出をしなかった場合は、法定の償却方法に基づいて計算することになります。

個人事業主の場合、法定の償却方法は定額法(旧定額法)が原則であるため、定率法を選択する際は、忘れずに届出を行ってください。

新たに業務を開始した場合は、その翌年の3月15日までに税務署へ届け出る必要があります。

また、償却方法を変更する場合は、変更を希望する年の3月15日までに税務署に申請書を提出し、承認を受けなければなりません。

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減価償却費の特例を活用した節税テクニック

減価償却資産に該当するものであっても、特例制度を活用すれば、一括で経費として計上することが可能です。

少額減価償却資産の特例

業務で使用する減価償却資産(貸付目的のものを除く)のうち、使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満のものは、その年度の必要経費として計上できます。

取得価額が10万円未満であれば、減価償却資産であっても一括で経費計上できるため、支出が生じた年の経費として計上したい場合は、購入する資産の取得価額に注意してください。

一括償却資産の必要経費算入の特例

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下、取得価額の3分の1に相当する金額を、業務の用に供した年以後3年間にわたり、各年の必要経費に算入することができます。

取得した年に全額を経費計上することはできませんが、通常の減価償却よりも短い期間で全額を経費にすることが可能です。

青色申告の減価償却費の特例

一定の要件を満たす青色申告者は、減価償却費を一括で必要経費に算入できる特例を活用できます。

青色申告の減価償却費の特例の対象となるのは、取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産であり、合計額が300万円に達するまでの範囲内で、業務の用に供した年分の必要経費として計上することが可能です。

税務調査で指摘されやすい減価償却費の誤り

税務調査では、以下の3点が減価償却費に関する誤りとして指摘されやすいため、注意が必要です。

耐用年数

減価償却費を計算する際は、税法に定められた耐用年数を使用しなければなりません。

耐用年数は資産の種類ごとに定められていますが、同じ資産でも構造や用途によって年数が異なる場合があります。

また、中古資産を業務用に転用した場合、新品とは異なる耐用年数を別途算定する必要があります。

誤った耐用年数を用いると、減価償却費が適切に算出されないため、必ず資産ごとに耐用年数を確認してください。

償却開始時期

減価償却は、購入した日ではなく、その資産を実際に事業の用に供した日から計算を開始します。

開始時期を誤ると、償却期間や金額に影響が生じるため、税務調査で問題視される可能性があります。

そのため、業務供用の開始日を正確に把握し、証明できる資料を適切に保存しておくことが重要です。

特例の適否

減価償却費に関する特例を利用する際は、適用要件を満たしているかを確認してください。

要件を満たさないまま特例を適用した場合、税務調査で経費計上が否認される可能性があります。

減価償却資産の取得価額が高額なほど、否認されたときの影響は大きいため、適用要件の確認と関係書類の適切な保存を徹底してください。

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個人事業主が事業運営に活かせる減価償却の活用法

減価償却は、単なる税務処理にとどまらず、事業成長を支える戦略的な手段としても活用できます。

たとえば、設備投資計画に減価償却を組み込むことで、資金繰りの最適化や経費管理の効率化を図ることが可能です。

耐用年数を考慮しながら資産の更新計画を立てることにより、老朽化した設備の交換時期を的確に見極め、事業の効率向上につなげることができます。

また、減価償却を最大限に活かすには、税理士との連携が不可欠です。

税理士は法令改正や最新の税務情報に精通しているため、個人事業主の財務状況に応じた最適な償却方法を提案できます。 特例措置の活用や事業の成長を見据えた設備投資のタイミングだけでなく、税務調査のリスクについても助言を受けられるため、調査対策の面でも税理士に相談するメリットがあります。

まとめ

減価償却の活用は、個人事業主にとって、節税と資産管理の両面で重要な手段です。

適切な方法を選び、計画的に活用することで、税負担の軽減と財務戦略の強化につながります。

一方で、減価償却資産が高額な場合には、税務調査で耐用年数や償却開始時期などが確認されるため、適正な処理が求められます。

効果的な税金対策には専門家の視点での助言も重要となるため、減価償却費に関して不明点がある場合は、一度税理士に相談することをおすすめします。

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税務のお困りごとがございましたら、永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へ一度ご相談ください。

事業者にとって税務調査への対応は、経営上欠かせない要素です。

しかし、中小企業の中には、十分な対策を講じていない企業や、誤った対応をしてしまっている企業も少なくありません。

そこで本記事では、税務調査の実態を踏まえ、誤った税務調査の対応例と適切な対策方法について解説します。

中小企業が税務調査を受けるリスク

税務調査を受けても、申告誤りを指摘されなければ税負担が増えることはありません。

しかし、調査対象者として選定された時点で、相応のリスクが生じます。

高確率で非違事項を指摘される

企業が税務調査の対象者として選定された場合、高確率で非違事項の指摘を受けます。

国税庁が令和6年11月に公表した資料によると、法人税の実地調査において、「非違があった件数」は「実地調査件数」の75%を超えています。

出所:令和5事務年度法人税等の調査事績の概要(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/hojin_chosa/pdf/01.pdf

税務調査を受けても、必ずしも申告誤りを指摘されるわけではありません。

調査で非違事項が見つからなければ、税務署は適切な申告であったことを認める証明として、「是認通知書(正式名称:更正決定等をすべきと認められない旨の通知書)」を交付します。

しかし、申告是認となる割合は低く、多くの実地調査では何らかの誤りが指摘されるため、税務調査は可能な限り回避することが望ましいです。

追徴課税による税負担の増加

税務調査で申告誤りを指摘された場合、追加の本税だけでなく、加算税・延滞税も納めることになります。

加算税は、期限までに適切な申告を行わなかったことに対するペナルティで、原則として本税の10%が過少申告加算税として課されます。

延滞税は、期限までに納付が完了していなかったことに対するペナルティです。 加算税・延滞税の額が大きくなるほど負担も増すため、追徴課税を受けないためにも、税務調査の対象とならないよう努めることが大切です。

次回の税務調査までの期間短縮

事業を営んでいる以上、税務調査を受ける確率はゼロにはなりません。

活動期間が長い企業であれば、税務調査を複数回受けたことがある企業も存在します。

法人税・消費税に対する国税当局の接触率は年間4%程度であり、理論上は25年に1度しか調査を受けない計算です。

しかし、ほとんど活動していない企業など、税務調査が不要な法人も多数存在するため、実際には3年〜10年に1度のペースで調査を受けることになります。

脱税を行っていなければ、短期間のうちに再び税務調査が実施される可能性は低いですが、税務調査で申告漏れや計算誤りを指摘された場合、次回の税務調査が早い時期に実施されることもあるため注意が必要です。

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税務調査を受けやすい中小企業の特徴

税務調査に対する準備が不十分だと、追徴課税を受けるだけでなく、企業の信用を損なうリスクも高まります。

中小企業は大企業に比べ、税務に関する管理が後回しになりがちで、思わぬ落とし穴に陥ることがあります。

日常業務の管理が徹底されていない

中小企業では、日常業務の管理が手薄になりやすく、内部統制システムが十分に整備されていないケースが多く見られます。

税務調査では、売上や経費の裏付けとなる資料の提示が求められます。

しかし、領収書や請求書、各種支払い記録などの証拠資料が適切に整理・保管されていない場合、税務調査時に必要な裏付けを示せず、実際に支出があったとしても経費として認められない可能性があります。

また、日々の会計処理に抜けやミスがあると、取引の記録漏れや数値の誤記が発生しやすく、調査官の疑念を招く原因となります。

そのため、会計ソフトの導入や業務マニュアルの整備など、情報管理の適正化を図ることが重要です。

税務リスクの過小評価

税務リスクを軽視する企業では、問題の兆候が現れても早期発見や迅速な対処を怠る傾向があります。

会計処理の不備や法改正への対応を後回しにすると、問題が拡大した際の負担が大きくなります。

申告誤りを自主的に把握し、修正申告などの対応を行えば、追徴課税を最小限に抑えられます。 しかし、問題点を先送りにすると、追徴課税が重くなるだけでなく、税務署から警戒される可能性が高まるため注意が必要です。

専門家不在による自力解決の失策

税務のルールは複雑であり、専門知識がなければ適切な判断を下すのは困難です。

経営者が自身の税務知識を頼りに独自の判断で対応すると、適用要件の誤りや認識の相違によるミスが生じやすくなります。

税務署の意見に反論する場合、証拠や判例などを提示して主張を補強することが求められます。

しかし、提示できる証拠が乏しい場合、税務署の意見を覆すことは難しくなり、結果として税務署からの指摘を受ける可能性が高まるので気を付けてください。

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適切な税務調査対策の構築方法

中小企業の税務調査対策は、調査を受けるリスクを軽減するだけでなく、調査対象者として選定された場合を想定した準備を行うことも重要です。

日常業務から税務調査に向けた体制を整える

基本的な事項ですが、税務調査対策で最も重要なのは、日々の取引を正確に記録し、必要書類を適切に管理することです。

正確な帳簿作成と定期的な内部チェックを実施することで、税務調査時にも整理された記録を速やかに提出できます。

以前は関係書類を紙で保管する必要がありましたが、現在は電子データでの保管も認められています。 関係書類の管理が容易になるだけでなく、時系列で整理された電子データは必要な際にすぐ取り出せるため、調査対策の一環としてデジタル化を推進することも有効な選択肢です。

税務リスクの分析とシミュレーション

定期的に内部でリスク分析を行い、問題となり得る取引や会計処理を洗い出すことで、税務調査で指摘を受けた際に適切な反論を行いやすくなります。

自社のリスクポイントを把握していれば、本番の調査に備えた対策や改善点を事前に確認できるため、調査時の迅速な対応が可能になります。

事業を続ける以上、税務調査リスクを完全に排除することはできません。

そのため、税務調査を受けることを想定し、事前にシミュレーションを行うことが重要です。

税理士との連携体制を構築・強化する

税務関係の問題は、経営者だけで解決するのが難しいため、必要に応じて専門家へ相談し、適切な対策を講じることが推奨されます。

顧問税理士を付けている場合は、定期ミーティングを設けることで、日頃から問題点を洗い出し、早期の対応につなげることができます。 また、定期的な業務レビューを実施することで、不明点が生じた際にも迅速に対処する体制を整えることが可能です。

中小企業が税務調査対策で失敗しないためのポイント

申告内容に誤りがあると、税務調査を受ける確率が飛躍的に高まります。

そのため、税務調査を回避するには、正確に作成した帳簿書類を基に適正な申告書を作成することが欠かせません。

管理体制は定期的にチェックするだけでなく、外部専門家を活用する体制を構築することで、税務調査に対する不測の事態を未然に防ぐことが求められます。

また、税務調査を受ける際に冷静に対応できるよう、日頃から準備を徹底し、専門家と相談しながら適切な対策を進めてください。

まとめ

中小企業が安定した経営基盤を維持し、成長を続けるためには、税務調査対策も戦略的に取り組む必要があります。

税務調査では、内部統制の不備や情報管理の甘さが問題となるケースが多いため、リスク分析とシミュレーションを実施して、潜在的な課題を事前に把握することが重要です。

税法改正や調査手法の変化に対応するためには、税理士の知識・経験が必要になりますので、税務調査に関する不明点がありましたら、早めに税理士にご相談ください。

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税務のことで何かお困りごとがございましたら、永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へぜひ一度ご相談ください。

企業は、法人税の申告書などの作成を税理士事務所に依頼することが多いですが、税理士に依頼するかは任意となっています。

自身で申告書を作成すれば、報酬費用を削減できるなどのメリットがある一方、税理士に依頼しないことによるデメリットも存在します。

本記事では、法人税の申告書を税理士に依頼するメリット・デメリットについて解説します。

企業の10社に9社は税理士に申告書作成を依頼している

企業が税理士に依頼するかどうかは任意ですので、納税者本人が法人税の申告書を作っても問題ありません。

しかしながら、税理士が企業に代わって法人税の申告書を作成している割合は非常に高く、令和5年度においては全体の89.8%に達しています。

所得税の税理士関与割合は20%程度であり、相続税でも税理士関与割合は86.3%(令和5年度)に留まるため、法人税は最も税理士が関与している税目の一つです。

出所:令和5事務年度 国税庁実績評価書(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/policy_evaluation/proceedings/material/81seihyoukon03.pdf

法人税の申告書を作成する方法

法人税の申告書を作成する方法は3パターンあり、申告内容が正しければ、どの方法で申告しても問題ありません。

納税者が申告書を作成する

税金の申告書は、納税者が作成するのが原則です。

個人事業主から法人に切り替えた「ひとり法人」や、専門知識を有する人が会社を運営しているときは、税理士に依頼せずに申告書を作成するのも選択肢です。

一方で、申告書を作るためには専門知識は不可欠ですし、作成する時間の確保も必要となる点には注意しなければなりません。

<メリット>

  • コスト削減:税理士や会計事務所に依頼する費用を節約
  • 直接管理:自分で申告を行うことで、企業の財務状況を直接把握できる
  • 学習の機会:法人税に関する知識を深めることができる

<デメリット>

  • 時間と労力の増加:申告書作成するには多くの時間と労力が必要
  • 専門知識の不足:税に関する知識不足による計算ミスのリスク
  • 税務リスク: 申告誤りは税務調査を受ける要因になる

決算申告のみを税理士に依頼する

税理士を顧問として迎え入れている企業も多いですが、決算申告のみを税理士事務所や会計事務所に依頼することも可能です。

税理士と顧問契約を結ぶ場合には顧問料が発生しますが、決算申告のみを依頼するスポット契約であれば、税務手続きに関する支出を抑えることができます。

<メリット>

  • コストの削減:依頼内容を決算申告だけに絞ることで費用を削減できる
  • 専門的なアドバイス:申告誤りのリスクを軽減できる
  • 時間の節約:決算申告のための作業時間を節約できる

<デメリット>

  • サポート体制が不完全:日常的な会計や帳簿の管理についてのアドバイスを受けられない
  • 税金対策が難しい:長期的なサポート関係が築けないため、計画的な税金対策が実施しにくい
  • 追加費用の発生:帳簿のミスや整備不足の修正を依頼する場合には、追加費用が発生する

顧問税理士に税務手続きを一任する

税務に関する業務を一任する場合、税理士と顧問契約を結ぶことになります。

専門家による全面的なサポートを受けることで、申告の正確性と効率性が高まりますし、長いスパンで税金対策を実施することによる節税効果も享受できます。

<メリット>

  • 全面的な支援:税金面のアドバイスを受けながら経営戦略を練ることができる
  • 正確性: 専門知識を持つ税理士が申告を行うため、税務関係のリスクを軽減できる
  • 効率性: 法人税に関する手続きを一任することで事業に専念できる

<デメリット>

  • コスト:顧問料が発生する
  • 税理士への依存:外部の専門家に一任することで、企業内部の財務状況の把握が疎かになる可能性がある

複雑な帳簿を自ら作成するのは手間がかかるだけでなく、計算ミス等で余計な税金を支払う事態に陥ることもあります。

そのようなトラブルを回避したい方は、記帳代行や確定申告手続きを税理士に丸投げすることをオススメします。

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兵庫県内の企業・個人事業主の皆さまはもちろんのこと、日本全国からのご依頼も承っていますので、税務手続きに不安がある方は『丸投げパック』をご利用ください。

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税理士に税務手続きを依頼する際のポイント

企業の事業内容や規模によって税理士に求める条件は違いますので、費用面だけで判断しないよう気を付けてください。

事業規模と業務の複雑さ

事業規模が小さく、取引内容が比較的シンプルな場合には、決算申告のみを税理士に依頼することも一つの選択肢です。

小規模の法人や個人事業主の場合、日常的に行う会計処理が少なく、専門的なアドバイスをそれほど必要としないこともあるため、決算時のみの支援で十分な事業者もいます。

一方、事業規模を拡大する予定がある場合や、取引が多岐にわたる企業においては、税理士と顧問契約を結び、日常的なサポートを受けることが望ましいです。 税理士は、経営の効率化や税務リスクの軽減に役立つだけでなく、複雑な取引や資金調達に関するアドバイスも提供できるため、依頼した分の費用に対する効果を期待できます。

税務・経営に対するアドバイスの必要性

節税対策や経営戦略、資金繰りの改善など、専門的なアドバイスを必要とする場合、顧問税理士を付けることを検討してください。

顧問税理士は会社の状況を定期的に把握し、適切なアドバイスを提供するため、経営の健全化や長期的な成長に寄与します。

税理士からのアドバイスがそれほど必要でない場合は、決算申告のみを依頼することで費用を抑えることができます。

しかし、自社で税務や経営に関する基本的な知識・スキルを持っていないと、相応の税務リスクが伴う点には注意が必要です。

税務調査のリスク

税務調査が入る可能性が高い業界や状況にある場合は、顧問税理士がいることで迅速かつ適切に対応できます。

税務調査は企業にとって大きな負担となりますし、税務調査官と対峙する際は専門的な知識と経験が必要です。

スポット契約の場合、税務調査時の対応には費用が別途かかりますし、顧問税理士でないと的確なアドバイスは難しいです。

一方、顧問税理士は税務調査に対する準備や対応をサポートできるため、調査リスクを最小限に抑えることが可能です。

帳簿の記載ミスは税務申告の誤りに直結しますので、税務調査を回避するためには正しい内容の申告書を作成することが不可欠です。

税務調査の対策が不完全だと、対応が後手に回ってしまいますので、税理士を選ぶ際は税務調査に関するサポート内容もチェックしてください。

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顧問税理士を選ぶ際に気を付けるべきポイント

税理士の登録者数は8万人以上いるため、その中から条件に合った税理士を選定するのは大変です。

相性の良い税理士と出会うことができれば、長期的なパートナーシップを築きやすくなるので、自社の業種や規模に適した税理士を見つけてください。

税理士は会社の財務状況を深く理解し、適切なアドバイスを提供する役割を担っていることから、専門知識や経験だけでなく、経営者と円滑なコミュニケーションを取る能力も重要な選定条件の一つです。 費用面のみで税理士を選んでしまうと、期待するサービスが得られない可能性がありますので、顧問契約を結ぶ際は費用だけでなく、提供されるサービス内容も確認してください。

まとめ

税理士に依頼するかどうかは任意ですが、企業においては税理士に法人税の申告書作成を依頼するのが望ましいです。

納税者が申告書を作成すれば、短期的にはコストを削減できます。

しかし、帳簿の記載誤りや申告漏れがあった場合、税務調査で指摘され、余分に税金を納めることになってしまいます。

税理士が関与していない企業は、それだけで税務署から狙われやすくなるため、現在税理士に依頼していない方や、顧問税理士の変更を検討されている方は、弊社の利用を検討してください。

複雑な帳簿作成を自分で行うのは手間がかかるだけでなく、申告ミスが発生する原因になりますので、記帳代行・確定申告を税理士に丸投げすることをオススメいたします。

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個人事業主は税理士が関与している割合が低いため、法人に比べて税理士の存在が税務調査に影響しやすいです。

税務調査を受けないようにするためには事前対策が不可欠ですので、本記事で個人事業主に対する税務調査の状況と、税理士に依頼した場合の税務調査への影響について解説します。

所得税の税務調査の実施件数は年間60万件

令和5事務年度に実施された、所得税の税務調査は605,077件です。

令和5年分の所得税の申告件数は2,324万件ですので、提出された申告書に対してのみ税務調査が実施されたと仮定した場合、調査を受ける確率は2.6%程度になります。

法人が税務署から接触を受ける割合は、年間で3%から4%とされていますので、数字上では法人よりも個人の方が調査を受ける確率は低いです。

一方、個人に対する税務調査は事業者を中心に実施されていますが、事業所得者の納税申告件数は166.4万件しかないため、個人事業主が税務調査を受ける確率は10%程度あると考えられています。

調査対策を講じていないと、ある日突然税務署から調査の連絡が入る可能性があるので、事業規模の大小に関係なく、個人事業主でも最低限の対策は必要です。

個人の実地調査で非違事項が指摘される確率は80%超

税務調査を受けることになったとしても、申告内容に誤りが無ければ追徴課税を受けることはありません。

しかし、税務署の調査担当者が自宅や事務所を訪れて実施する「実地調査」において、非違事項が指摘される確率は84.4%と高水準です。

個人事業主が税務調査を受ける確率は10分の1程度ですが、税務署は増差税額が見込める事業者を中心に調査を実施するため、調査前の段階で計算ミスや申告漏れを把握している可能性が高いです。

出所:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

税務調査を受けやすい業種は対策が必須

税務署は無作為に調査対象者を抽出しているのではないため、調査対象者として選ばれやすい事業者には特徴や傾向があります。

たとえば、同業者に比べて利益率が極端に高い(低い)事業者は、調査対象になりやすいです。

税務署の調査担当者は、調査を実施したことによる実績が求められているため、売上が大きい個人事業主についても、調査対象者として選ばれやすい傾向があります。

申告漏れ所得⾦額が高額な業種については、適正に申告をしていたとしても税務署から狙われやすいため、調査対策が必須です。

近年の個人事業主に対する税務調査の状況としては、令和3事務年度から3年連続で、経営コンサルタント業が最も申告漏れ所得金額が高額な業種となっています。

経営コンサルタント業を営んでいない人でも、脱税を行った経営コンサルタントと取引している場合には、取引内容が一通りチェックされ、必要に応じて調査が実施されるので注意してください。

出所:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

税理士関与による個人事業主に対する税務調査への影響

本人に代わって申告書を作成できるのは、税理士資格を有している人に限られます。

申告手続きの労力を削減する目的で税理士に依頼するのも選択肢ですが、税務調査を想定して税理士に依頼することも検討してください。

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税理士が関与していない申告書は税務調査を受けやすい

個人事業主が自ら作成した申告書と税理士が作成した申告書を比べた場合、税理士が作成した申告書の方が適正である可能性が高いため、税理士に依頼するだけで計算ミスを起点とした税務調査を回避できます。

一方、税理士が関与していない申告書は、計算ミス等の有無を細かくチェックされますので、相対的に税理士が関与している申告書よりも調査を受けやすいです。

個人事業主は法人よりも税理士の有無が影響しやすい

法人税の申告に関与している税理士の割合は90%程度と、大半の企業は税理士が申告書を作成しています。

それに対し、所得税の税理士関与の割合は20%程度と、5人に1人しか税理士に申告書の作成依頼をしていません。

出所:令和5事務年度 国税庁実績評価書(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/policy_evaluation/proceedings/material/81seihyoukon03.pdf

所得税の税理士関与割合には、給与所得者や年金受給者の申告も含まれるため、個人事業主に税理士が関与している割合は上記の数値よりも上がりますが、法人に比べると個人事業主の税理士関与割合は低いです。

大部分の納税者が税理士に申告書作成を依頼しているのであれば、税理士の存在が税務調査の受けやすさに与える影響は少ないです。

しかし、税理士が関与している割合が半数程度であれば、税理士が関与している申告書に対する税務調査の優先順位は一段階下がりますので、個人事業主に関しては税理士を付けるだけでも一定の調査対策の効果が見込めます。

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税理士が関与していても税務調査を受けるケース

個人事業主に税理士が関与していても、税務調査を100%回避できるわけではありませんし、依頼する税理士によっては、逆に調査を受けやすくなることもあります。

事業者が不正をしていた場合

税理士は提供された資料等を基に申告書を作成しますので、提供された資料自体に誤りがあった場合、税理士が申告書を作成していたとしても税務調査を回避することは難しいです。

事業者が売上除外や経費の架空計上を行っていれば、税理士の有無に関係なく税務調査で指摘されますし、意図的な税金逃れは重加算税が課されることになるので止めてください。

また、税務署は提出された申告書以外にも、法定調書などから事業者の売上や経費に関する情報を収集しています。

売上の一部を巧妙に隠したとしても、取引相手が正しく申告していれば、売上を除いていたことは把握されますので、適正な申告を行わないと調査を受ける確率は格段に上がります。

税務調査の連絡が入ってから税理士に依頼できるのか

税務調査に同席できるのは、原則税務代理人に限られ、税務代理人以外の第三者の立会いは断れます。

税務代理の委任を受けた税理士は、納税者の代わりに主張・陳述を行うことが認められているため、申告書の作成を税理士に依頼していない場合、税務調査を実施する旨の連絡が入った段階で税理士に税務調査への同席を依頼することも選択肢です。

弊所の税務調査サポートプラン詳細については、以下をチェックしてみてください。

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顧問税理士選びは人柄や年齢もチェックすべき

税理士に確定申告書の作成依頼をすれば、税務調査を受ける確率を下げることはできますが、税理士選びに失敗してしまうと、逆に調査を受けやすくなることもあるので気を付けてください。

顧問税理士を探す場合、気軽に相談できる人となりや、e-Taxなどのデジタル化に対応している点も判断材料となります。

税理士は事業者の税に関する相談を受けるアドバイザーとしての役割もあるため、対応がおざなりな税理士に依頼してしまうと、対価に見合わない報酬を支払うことになるので注意が必要です。

個人事業主であれば、年齢が近い現役世代の税理士に依頼することで、途中で税理士を変更するリスクを避けられますので、顧問税理士選びは長期的な目線で検討してください。

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法人税を節税する方法は数多く存在しますが、同じ節税手段を用いたとしても、事業規模や経営状況などによって得られる効果は異なります。

効果的な節税手段も、存在を知らなければ活用することはできませんので、今回は中小企業が適用できる法人税の主要な節税テクニックをご紹介します。

法人税の節税対策で勘違いしやすいポイント

法人税を節税できたとしても、節税するためのコストが大きければ意味がありませんし、違法な手段による節税は税務署に指摘されるので気を付けてください。

節税のために余分な支出を増やすのは本末転倒

企業が節税を行うのは、手元に少しでもお金を残すためです。

法人税は利益(所得金額)に対して課される税金なので、基本的には利益を圧縮して課税対象金額を減らす対策を講じます。

利益を抑えるためには、売上を減らす方法と経費を増やす方法がありますが、売上を減らす行為は事業規模の縮小や経営難を引き起こすリスクが伴います。

一方、経費の活用は利益を抑えつつ売上を伸ばすことに繋げられるため、支出額以上の効果も期待できますが、支出自体は資産を減らす行為なので、節税のために浪費してはいけません。

「節税手段」は合法。「脱税手段」は違法。

節税と脱税の決定的な違いは、合法的な手段を用いているか否かです。

節税は法的に問題ない手段を用いて納税額を抑える方法をいい、節税したことで法人税の納税額がゼロになったとしても、税務署に指摘されることはありません。

それに対し、脱税は売上除外や経費の水増しなど、法律で認められない方法を用いて納税額を減らす方法をいいます。

脱税行為は違法ですので、税務調査で指摘されれば追徴課税を受けますし、脱税額が高額であれば逮捕されることもあります。

SNS等で拡散されている節税に関する情報の中には、脱税と疑われるものも少なくありませんので、節税と脱税を履き違えないよう注意してください。

中小企業が活用できる法人税の節税手段10選

法人税の節税手段は、どの企業も活用できるものもあれば、中小企業にしか適用できない税制優遇措置を用いた手段も存在します。

役員報酬の見直し

役員報酬(役員給与)は原則損金不算入ですが、次のいずれかに該当する役員報酬は損金として算入することが認められています。

報酬を受け取った役員にしては所得税が課されることになりますが、法人税と所得税は双方とも累進課税が適用されているため、課税対象金額を分散することで適用税率を下げる効果も期待できます。

<損金算入可能な役員報酬の種類>

名称概要
定期同額給与一定期間ごとに同額で支払われる役員報酬
事前確定届出給与所定の時期に支払うことを届け出た役員報酬
業績連動給与企業の業績指標などに応じて支払われる役員報酬

接待交際費の活用

交際費や接待費、機密費などの交際費等は、一定額まで損金算入が認められています。

法人が得意先や仕入先、事業関係者などに対して接待、供応、慰安、贈答などを行うために支出するものは交際費等に該当します。

下記のフローチャートで中小法人等に該当する企業については、接待交際費の50%または800万円のいずれか高い金額まで損金算入が可能です。

<中小法人等の判定>

出所:令和6年版 中小企業者の判定等フロー(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2024/pdf/03.pdf

福利厚生の充実

福利厚生は従業員の満足度が向上するだけでなく、従業員を採用する際の強み(ウリ)にもなるため、支出に節税以外の効果を持たせることができます。

一定の基準に従って支給する結婚祝や出産祝、香典などについては、従業員だけでなく、従業員の家族に対するものも福利厚生費として計上できます。

過剰在庫の処分

企業が抱えている不要な在庫は、処分するだけでも節税効果が得られます。

売却金額が原価よりも低ければ売却損が損金となりますし、廃棄するための費用は除却損として計上できます。

なお、固定資産を廃棄して損金に算入するときは、廃棄したことを証明する資料を保存する必要があります。

貸倒引当金の計上

企業は、将来的に貸し倒れが発生することを見込んで、貸倒引当金を設定する選択肢もあります。

貸倒引当金は損金に算入できるだけでなく、計上する際に支出が伴わないため、手元の資産を減らすことなく利益を抑えることができるメリットがあります。

損金算入できる貸倒引当金には限度額があるため、大きな節税効果は期待できませんが、回収不能の売掛金が生じるリスクに備えながら節税することが可能です。

減価償却資産の一括計上

減価償却資産は、原則取得費を一括で損金算入することはできませんが、青色申告を行っている中小企業者等については、30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)を一括で損金に算入できます。

事業年度で一括計上する少額減価償却資産の取得価額の合計が300万円を超える場合には、300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額が限度となります。

また、令和4年4月1日からは、少額減価償却資産から貸付用(主要な事業として行われるものを除く)として利用するものは対象外となるので注意が必要です。

設備投資における税制優遇措置の活用

設備投資による支出は、減価償却費などとして損金に算入できますが、中小企業が設備投資を行った場合、税制優遇措置を活用した節税が行えます。

青色申告者に該当する中小企業者が設備投資を行った際に適用できる「中小企業投資促進税制」は、対象設備を事業用に供した事業年度において、特別償却または税額控除の適用を認める制度です。

特別償却と税額控除は、いずれかを選択して適用することになりますが、どちらを用いたとしても、一定の節税効果は得られます。

出所:中小企業投資促進税制(中小企業庁)

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/download/tyuusyoukigyoutousisokusinzeisei_summary.pdf

法人名義で車を所有する

車を法人名義で取得した場合、原則損金に算入できます。

対象となるのは車の取得費だけでなく、ガソリン代や保険料などの維持管理費、高速料金も含まれます。

個人がプライベートで利用している車を法人名義にしただけでは損金に算入できませんが、社用車として活用する車については、法人名義で購入することを検討してください。

経営セーフティ共済の活用

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、中小企業の連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度で、掛金を損金に算入することが認められています。

掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで、無担保・無保証人で借入れできるため、取引先が倒産して資金繰りが困窮するリスクに備えることができます。

欠損金繰越控除制度の活用

企業が青色申告で法人税の申告書を提出している場合、事業年度に生じた赤字(欠損金)を最大10年繰り越すことが可能です。

中小法人等については全額を損金に算入できるため、赤字が生じたとしても、その赤字を翌年以降の利益と相殺することができます。

なお、欠損金の繰越控除を適用する法人は、欠損金額が生じた事業年度だけでなく、翌事業年度以降も青色申告による確定申告書の提出が必要になるので注意してください。

まとめ

最適な節税手段は企業ごとに違うため、法人税を最大限に節税するためにはオーダーメイドでの対策が必要です。

中小企業に対する税制上の優遇措置はいくつも存在しますが、適用期間が限られているものや、適用要件が厳しい制度も多いので注意してください。

税務署に特例制度の適用誤りが指摘されれば、税金を余分に支払うことになりますので、現状よりも支払う税金を抑えたい方は専門家に相談し、計画的に対策を講じることを推奨します。

何かお困りのことがございましたら、ぜひ一度永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へご相談ください。

また、弊所のサービスについては、以下よりチェックしてみてください。

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個人事業主として活動する方は、青色申告または白色申告で確定申告を行うことになります。

どちらで手続きするかは事業者の選択になりますが、基本的には青色申告で手続きすることが望ましいです。

本記事では、青色申告と白色申告のメリット・デメリットおよび、青色申告が推奨される理由について解説します。

青色申告の特徴とメリット・デメリット

青色申告には税制上の優遇措置が与えられていますが、青色申告で手続きするためには一定の労力が伴います。

青色申告とは

青色申告は、一定水準の記帳に基づいて申告書を作成することを条件に、税制上の優遇措置が受けられる申告をいいます。

青色申告を選択すると、節税効果の高い制度を適用できるようになりますが、青色申告をするためには事前申請が必要です。

また、作成すべき帳簿は白色申告よりも多く、原則として正規の簿記に従って記帳することが求められるため、青色申告で手続きするためにはある程度の簿記知識を身に付けなければなりません。

青色申告の特典は節税効果が高い

青色申告者が適用できる主な特典は、次の3つです。

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者給与
  • 純損失の繰越し

「青色申告特別控除」は、所得金額から最高65万円を差し引くことができる控除です。

事業所得や不動産所得は、収入金額から必要経費を差し引いた額が所得金額(利益)として所得税の課税対象となります。

しかし、要件を満たした青色申告者は、算出された利益から最高65万円を控除することができるため、青色申告をするだけで一定の節税効果が得られます。

「青色事業専従者給与」は、 配偶者等に支払う給与を事業所得などの必要経費として算入することができる制度です。

青色事業専従者に対して支払った金額が適正であれば、「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載された金額の範囲内で、支払った給与を必要経費に算入することができます。

純損失の繰越しは、赤字を翌年の所得金額から差し引くことができる制度です。

通常、事業所得や不動産所得で発生した損失額(赤字)は、他の所得と損益通算することは可能ですが、控除しきれず残った損失額を翌年に繰り越すことはできません。

しかし、青色申告者は控除しきれない部分の金額(純損失の金額)を、最長3年間繰り越すことが認められています。

繰り越した損失額を翌年以降の所得金額から差し引けますので、赤字を無駄なく活用することができます。

作成すべき帳簿が多く保存期間は原則7年

青色申告を行う場合、原則として正規の簿記で記帳しなければなりません。

正規の簿記とは、貸借対照表と損益計算書を作成できるように記帳する方法をいい、作成した帳簿書類は、基本的に7年間保存しなければなりません。

請求書や見積書などの書類については保存期間が5年となっていますが、それ以外の帳簿書類の保存期間は白色申告よりも2年長いです。

出所:記帳や帳簿等保存・青色申告(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm

青色申告は事前申請が必須

青色申告は事前に申請書を提出し、税務署に承認された場合に限り適用できる制度です。

個人事業主が青色申告として申告手続きを行う場合、青色申告をしようとする年の3月15日までに、「青色申告承認申請書」を納税地の税務署に提出しなければなりません。

3月15日を過ぎてから承認申請書を提出した場合、青色申告で手続きできるのは翌年からとなるので注意が必要です。

ただし、新規開業した個人事業主(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)については、業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を提出すれば、その年から青色申告で手続きすることができます。

なお、青色申告の対象となるのは不動産所得・事業所得・山林所得を有する方に限られ、雑所得として申告する際に青色申告は適用できません。

白色申告の特徴とメリット・デメリット

白色申告は基本となる申告手続きですが、青色申告と比較すると優劣が出るので、白色申告の特徴も確認してください。

白色申告とは

白色申告は、青色申告以外の申告をいいます。

個人事業主として活動を開始する際は、税務署に「個人事業の開業・開業等届出書」を提出することになりますが、白色申告をするために提出する届出書はありません。

取引等に関する記帳は白色申告者も必要ですが、青色申告者に比べると作成すべき記帳の種類は少なく、簡易な方法による記帳が認められています。

そのため、最低限の簿記知識を有していれば、新たに個人事業主として活動を始めた方でも申告書を作成することができます。

青色申告の特典が適用できない

白色申告に税制上の制約はないため、白色申告で確定申告書を作成したとしても不利益を被ることはありません。

しかし、白色申告者は青色申告の特典を受けられないことから、他の事業者が活用している節税方法を適用できない可能性があります。

たとえば、青色申告特別控除は最大65万円まで所得金額を控除できますが、白色申告者は、青色申告特別控除を受けられませんので、青色申告者よりも所得税の課税対象となる金額が最大65万円多くなります。

また、損益通算しきれない損失額が生じたとしても、損失額を翌年に繰り越すことができないので、青色申告に比べると節税面では不利です。

帳簿書類の保存期間は原則5年

白色申告は、簡易な方法による記帳が認められているため、青色申告者よりも帳簿書類を作成するための労力を抑えることができます。

収入金額や必要経費、取引を行う際に作成した帳簿や、請求書、領収書などの書類は保存する必要がありますが、保存期間は青色申告よりも短いです。

ただし、法定帳簿に該当する帳簿の保存期間は7年と、青色申告と同じ長さになっている点には注意してください。

出所:記帳や帳簿等保存・青色申告(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_2.htm

個人事業主は青色申告と白色申告のどちらで申告すべきか

事業内容は同じでも、申告方式が違うだけで申告手続きにかかる労力や節税のしかたは変わりますので、ご自身にとってメリットがある申告方式を用いて手続きを行ってください。

節税するなら青色申告一択

青色申告と白色申告にはそれぞれに特徴がありますが、継続して事業を営む方は青色申告で確定申告書を作成して提出してください。

白色申告でないと適用できない制度は存在しませんが、青色申告をしないと適用できない制度は多数あります。

特に青色申告特別控除は、利益が出ている事業者であれば全員に恩恵がある制度なので、支払う税金を少しでも抑えたい事業者は青色申告で手続きした方がいいでしょう。

青色申告は税務調査を受けるリスクを下げられる

税務調査は個人事業主に対しても実施されますが、青色申告と白色申告を比較した場合、白色申告の方が調査対象になりやすいです。

国税当局は適正に申告書を作成してもらうための施策として青色申告制度を導入していますので、同一内容の青色申告と白色申告による申告書が提出された場合、白色申告で手続きした申告書を調査対象者として選ぶ可能性が高いです。

税務署は数年分の申告書をまとめて調査するため、申告書を提出してから数年後に税務調査が実施されることも珍しくありません。

青色申告も調査対象になることはありますが、白色申告に比べると対象になりにくいため、調査対策の観点で考えても青色申告で手続きすることが望ましいです。

個人事業主の税金対策は税理士に相談すべき

SNS上では、白色申告の方が税務調査を回避できると主張する人もいますが、税務署は青色申告を推奨していますので、白色申告が税務調査において優遇されることはないです。

継続的に事業を営んでいる個人事業主が白色申告で手続きしている場合、帳簿書類を適切に作成しているかを確認するために、税務調査が実施される可能性もあります。

少しでも節税したい個人事業主は青色申告で申告すべきですが、正規の簿記による記帳を行うなどの要件をクリアしなければなりません。

適切な税金対策を講じつつ、税務調査を回避したい個人事業主は、早めに税の専門家である税理士にご相談ください。

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個人事業主は会社員とは違い、確定申告で納税する金額を計算します。

申告内容の誤りはもちろんのこと、申告義務がある人が無申告の場合も税務調査の対象となるので気を付けてください。

本記事では、申告義務のある個人事業主の範囲と、確定申告手続きの流れについて解説します。

個人事業主が確定申告をしなければならない理由

個人事業主が申告手続きをしなければならないのは、確定申告でその年に納める所得税や消費税の額を計算するからです。

所得税は個人事業主やフリーランスだけでなく、会社員も支払っている税金ですが、会社員は勤務先の年末調整で所得税の過不足を精算できるため、基本的に確定申告手続きは不要です。

それに対し、個人事業主やフリーランスには年末調整がないため、自身でその年に生じた所得金額を計算し、所得税の納税額を求めなければなりません。

所得税の申告義務は、納税額が生じる方に課されるものなので、赤字となった個人事業主は、申告しなくてもペナルティを受けることはないです。

しかし、特例制度の適用や赤字を翌年に繰り越すためには申告書の提出が必須となるため、個人事業主は赤字・黒字に関係なく、毎年確定申告をする前提で行動する必要があります。

個人事業主が確定申告で納める税金の種類

個人事業主が確定申告で納める税金の種類

所得税の確定申告は必須

所得税は、その年に発生した所得に対して課される税金です。

確定申告期間は翌年2月16日から3月15日の1か月で、個人事業主は毎年所得税の確定申告書を提出することになります。

期限までに申告書を提出しなかった場合、加算税が課されることになるので注意してください。

また、所得税の納期限は申告期限と同日ですが、期限までに所得税の支払いが完了していないときは、延滞税の対象となります。

インボイス登録をした事業者は消費税の申告も必要

消費税の確定申告は、課税事業者に該当する人(法人)が行うことになります。

基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者は課税事業者となるため、該当する個人事業主は所得税だけでなく、消費税の申告手続きも要します。

個人事業主の消費税の申告期限・納期限は翌年3月31日で、所得税よりも半月ほど遅いです。

課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の免税事業者に該当するため、原則消費税の申告は不要です。

ただし、インボイス登録(適格請求書発行事業者の登録)をした事業者は、消費税の課税事業者になりますので、課税売上高が1,000万円以下であったとしても消費税の申告をしなければなりません。

住民税の申告は所得税の申告手続きをしていれば不要

住民税は地方税の一つで、所得税と同様、所得金額に対して課される税金です。

申告期限は所得税と同じ翌年3月15日ですが、所得税の申告書を提出している場合、申告書の内容が税務署から役所に伝えられるため、住民税の申告手続きを別途行う必要はありません。

住民税の支払いは、翌年6か月から4回に分けて納めることになります。

個人事業主が確定申告をしないリスク

個人事業主が確定申告をしないリスク

本税と一緒に加算税・延滞税を支払うことになる

税務署は、期限内に適正に申告・納税をした人と区別するために、申告誤りや無申告、納税の遅延に対するペナルティを設けています。

加算税は期限までに正しい内容の申告を行わなかったことに対するペナルティで、申告誤り等に応じて、「過少申告加算税」・「無申告加算税」・「重加算税」のいずれかが適用されます。

延滞税は、納期限までに税金を納めなかった場合に課されるペナルティです。

延滞税の額は、納付が遅れた日数に応じて日割り計算するため、税金の支払いが遅れるほどペナルティが重くなります。

また、税務署が滞納した税金が支払われないと判断した場合、財産の差押えを実施しますので、期限までに支払いが間に合わなかったときは、1日でも早く納めるようにしてください。

出所:加算税の概要(財務省)

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_3.pdf

青色申告の特典を受けられない

青色申告は、一定の帳簿等を作成することを条件に、税制上の優遇措置が受けられる制度をいいます。

青色申告の特典は節税効果が高いものが多いため、税負担を軽減したい個人事業主は青色申告で手続きすることが望ましいです。

税務署に「青色申告承認申請書」を提出すると、青色申告で申告手続きを行えるようになりますが、青色申告の特典の中には期限内申告が要件となっているものもあるため、確定申告書は必ず期限内に提出してください。

また、青色申告者が脱税行為などを行った場合、青色申告の承認が取り消しになることもありますので、正しい内容の申告書を作成することも大切です。

税務調査の対象になりやすくなる

申告誤りに対しては加算税・延滞税のペナルティが課されますが、個人事業主が税務調査で誤りを指摘された場合、その後にも影響が及びます。

税務署には毎年膨大な数の申告書が提出されるため、税務調査は調査対象者を選定して実施しています。

過去に申告誤りや無申告が指摘された事業者は、再び申告誤りをする可能性があることから、調査対象者として選定されやすいので気を付けてください。

高額・悪質な脱税は逮捕される

多額の申告漏れが発生した場合、加算税・延滞税といったペナルティだけでなく、逮捕される可能性があります。 昔は脱税額1億円が逮捕される目安の一つとされていましたが、最近では脱税額が1億円以下でも逮捕される事例が続出しています。

個人事業主が確定申告手続きをする際に押さえておくべきポイント

確定申告書は、次のポイントに気を付けて作成してください。

申告期限・納期限は厳守

個人事業主は、申告期限と納期限は厳守してください。

申告期限を過ぎてしまうと無申告加算税の対象になりますし、納付が遅れるほど延滞税の額も増えていきます。

所得税の確定申告期間は1か月ありますが、毎年手続きすることになりますので、年明けから申告書を作成する準備を整えておくのが望ましいです。

「税務署にバレないだろう」はハイリスク

SNSなどでは、「税務署にバレなければ無申告でも問題ない」や、「税金逃れは白色申告の方がやりやすい」といった意見も見受けられますが、真に受けないよう気を付けてください。

無申告に対する調査は青色申告・白色申告に関係なく実施されますし、税務署は取引先の情報から無申告の実態を把握することもあるので、白色申告の方が税務調査を受けにくい根拠はありません。

また、税金逃れは重加算税の対象になりますし、逮捕されるリスクも生じますので、面倒であっても申告書は必ず提出してください。

税理士に申告書作成を依頼するのも選択肢

本業が忙しい方や、確定申告書を作成するのが難しい方は、税理士に申告書作成を依頼することも検討してください。

税理士に依頼する際には報酬費用が発生しますが、事業者自身が確定申告書を作成するコストを削減できますし、計算ミスや経費の計上漏れなども防げます。

税理士が作成した申告書は誤りが少ないため、税務調査を受けにくくなる効果も期待できるので、税務調査対策としても有効です。

所得税の確定申告書に税理士が関与している割合は20%程度と、相続税や法人税に比べると低いため、他の税金よりも税理士に依頼することで税務調査を抑制する効果が期待できます。

出所:令和5事務年度 国税庁実績評価書(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/policy_evaluation/proceedings/material/81seihyoukon03.pdf

個人事業主に関係する税金は税理士に相談すること

個人事業主は毎年所得税の確定申告が必要になりますし、消費税の課税事業者に該当する方は、消費税の申告手続きも必要です。

税務署は税金の過少申告は指摘しますが、過大申告を指摘することはほとんどないため、税金を払い過ぎている個人事業主は一定数存在します。

最適な方法で節税をするためには税知識が不可欠ですので、税金の支払いを少しでも抑えたい個人事業主は、1度税理士にご相談ください。

お困りのことがございましたら、ぜひ一度永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へご相談ください。

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起業する際は、個人事業主と法人のいずれかを選択することになります。

1人で事業を始める方は個人事業主を選ぶことが多いですが、当初から法人として活動することも可能です。

個人事業主と法人にはそれぞれに特徴がありますので、本記事で事業形態ごとのメリット・デメリットを解説します。

個人事業主の特徴

個人事業主は、起業するための手続きが少なく、初期費用を抑えながら事業を始められます。

個人事業主として起業する際の手続き

個人事業主は、個人で事業を営んでいる人をいいます。

起業するタイミングで税務署に開業届の提出は必要ですが、法人と違い設立登記手続きは不要です。

起業することに対して税金はかかりませんし、廃業届を提出すれば事業をやめることができるため、起業するハードルやリスクが低いのが特徴です。

個人事業主に課される税金

個人事業主として稼いだ利益に対しては、所得税および復興特別所得税、住民税が課されます。

収入から必要経費を差し引いた額が利益(事業所得または不動産所得)となり、課税所得金額が大きいほど所得税の税率は高くなります。

また、営んでいる業種が製造業や不動産貸付業などの場合、一定の所得金額を得ている方に対しては個人事業税も課されます。

<所得税および復興特別所得税の計算の流れ>

出所:No.1000 所得税のしくみ

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1000.htm

社会保険料の負担

個人事業主でも、5人以上の従業員を常時雇用しているときは、社会保険に加入しなければなりません。

従業員数が5人未満であれば社会保険への加入義務はありませんが、社会保険に加入した際には、従業員の社会保険料の一部を負担することになります。

法人の特徴

当初から一定以上の規模で事業を展開することを計画している方は、個人事業主ではなく、法人として活動するのも選択肢です。

法人として起業する際の手続き

法人は、法律上において自然人と同じように権利や義務がある組織・団体をいい、法務局で登記手続きをしないと法人格は取得できません。

税務署に法人設立届出書を提出するなど、個人事業主よりも起業時の手続きは煩雑で、会社のルールを定めた定款も作成する必要があります。

また、登記手続きの際には登録免許税などとして、6万円から30万円程度の費用がかかります。

法人に課される税金

法人には、法人税・法人住民税・法人事業税などの税金が課されます。

法人税は利益に対して課される税金で、大まかな計算過程は個人事業主と同じですが、経費として計上できる種類や範囲は異なります。

会社が赤字になれば法人税はかかりませんが、法人住民税については赤字でも納付が必要となるので注意が必要です。

<法人税の計算の流れ>

出所:法人税の基本的な仕組み(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2022/pdf/01-03.pdf

社会保険料の負担

法人は、代表者が1人で立ち上げた場合でも、役員報酬を支払う場合には社会保険には必ず加入しなければなりません。

社長や従業員の社会保険料の一部を会社が負担することになるため、事前に支払う社会保険料の額を把握しておくことも大切です。

個人事業主と法人の違い

個人事業主と法人では、起業時の費用や税金面だけでなく、経営面にも違いがありますので、良い面だけでなく、悪い面も踏まえた上で事業形態を選択することが肝要です。

起業のしやすさ

個人事業主は登記手続きが不要なので、すぐに事業を立ち上げられますし、起業するためにかかる初期費用もほとんどありません。

法人は設立時に登録免許税などの費用がかかりますし、確定申告手続きも個人事業主に比べて複雑なので、税理士に依頼しないと申告書を作成するのは難しいです。

また、法人は維持管理費も毎年発生するため、小さい規模で事業を開始する場合には、個人事業主として活動した方が費用やリスクを抑えられます。

利益に対する税金の重さ

個人事業主と法人では、利益に対する税金の種類が異なるため、同額の利益が発生したとしても、納める税額は変わってきます。

所得税の税率は7段階あり、最低税率は5%と低いですが、最高税率は45%と非常に高いです。

一方、法人税の税率は、中小企業の普通法人であれば800万円までは15%、800万円を超える部分に対しては23.2%の税率が適用されます。

利益が小さければ所得税の方が適用税率は低いですが、利益が800万円を超えたあたりから、法人税として計算した方が納める税額は小さくなります。

<所得税の税率>

出所:No.2260 所得税の税率(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

<法人税の税率>

出所:No.5759 法人税の税率(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

経費の扱い

個人事業主が車などの資産を仕事とプライベートの双方で使用している場合、資産の取得費を全額経費として計上することはできません。

経費計上できるのは仕事として利用している割合に限られ、全額を経費にしていると税務調査で指摘されるので注意してください。

一方、法人に関しては、事業に関係がある支出であれば原則経費として計上できます。

役員に支払う報酬についても、条件をクリアすれば経費計上(損金算入)できますので、法人の方が経費を活用した節税が行いやすいです。

社会的信用度・資金調達のしやすさ

個人事業主と法人が同程度の規模であったとしても、法人の方が社会的信用度は高く、資金調達もしやすいです。

個人事業主は簡単に起業できるメリットがある一方、登記手続きが不要なので身元が確認しにくく、法人に比べると社会的信用度は一段劣ります。

また、個人事業主として活動している事業者と取引をしない企業もあるので、法人よりも広域に活動するのが難しいです。

資金調達に関しても、個人事業主は法人に比べて財務状況が不透明なことが多いため、お金を借りにくい傾向にあります。

個人事業主として起業するメリット・デメリット

個人事業主として活動するメリット・デメリットは、次の通りです。

<個人事業主のメリット・デメリット>

メリット起業する際の手続きが簡便初期費用を抑えられる所得金額が小さい場合は適用税率が低い維持管理費が小さい廃業する際のコストがかからない
デメリット経費計上できる範囲が法人よりも狭い所得金額が大きくなると適用税率が高くなる社会的信用度が低い資金調達が難しく、利率が高く設定されやすい

個人事業主は設立するコストがほとんどかからないなど、起業しやすいのが最大の魅力です。

個人事業主としてスタートすれば、事業が軌道に乗った段階で副業から本業に移行することもできますし、失敗したとしてもすぐに廃業できるので、法人よりも起業するリスクは低いです。

所得税の税率は、利益が一定以下であれば法人税よりも低いですが、一定額を超えると法人よりも税負担が重くなります。

法人として起業するメリット・デメリット

法人として活動するメリット・デメリットは、次の通りです。

<法人のメリット・デメリット>

メリット経費計上できる範囲が広い節税手段が豊富利益が一定以上になると個人事業主よりも適用税率が低くなる社会的信用度が高い
デメリット設立手続きが煩雑設立費用がかかる維持管理費がかかる事務作業が増える

法人は個人事業主よりも経費として計上できる範囲は広く、節税手段も数多く存在するため、税知識を有している会社ほど効率よく節税が行えます。

法人税の最高税率は23.2%と、所得税の最高税率45%の約半分となっているため、利益を出せる事業者ほど、法人として活動した方が節税できます。

法人は1人でも設立できますので、いわゆる「一人法人」として起業する人も少なくありません。

設立手続きや初期費用、維持管理費が生じるデメリットはありますが、専門家に相談・依頼することで解決できますので、事業内容によっては当初から法人として活動することも検討してください。

個人事業主と法人で迷ったら税理士に要相談

個人事業主と法人は一長一短なので、起業時点の状況や経営方針などによって選択すべき事業形態は変わります。

事業が軌道に乗った段階で、個人事業主から法人に移行(通称:法人成り)することも可能ですが、移行するためには法人登記などの手続きをしなければなりません。

コストを抑えるためには、当初から計画的に進めることが大切ですので、活動する事業形態に迷っている方は、早い段階で税理士に相談することをオススメいたします。

何かお困りのことがございましたら、ぜひ一度永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へご相談ください。

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個人事業主は所得税だけでなく、消費税の確定申告も必要になることがあります。

申告義務がある人が申告手続きを行わなかった場合、ペナルティが課されるだけでなく、税務署から要注意人物としてマークされることになるので注意してください。

本記事では、個人事業主が消費税の申告が必要になるケースと、不要なケースをそれぞれ解説します。

消費税の納税義務者とは

消費税の確定申告が必要となるのは、原則事業者に限られます。

事業者には法人だけでなく、個人事業主(個人事業者)も含まれ、日本国内に住所等を有しているか否かは問いません。

そのため、国内で消費税の課税対象となる取引を行っている事業者は、非居住者や外国法人であったとしても、納税義務者となるので気を付けてください。

消費税の確定申告が必要ない人

次のいずれかに該当する人は、消費税の確定申告手続きをする必要はありません。

消費税の納税義務者に該当しない

消費税の確定申告手続きが必要になるのは、消費税の納税義務者に該当する人(法人)に限られます。

消費税は消費者も納めている税金ですが、事業を営んでいない人は基本的に申告手続きをする必要はありません

ただし、輸入取引は、輸入品を引き取る者が消費税の納税義務を負うため、給与所得者等であっても、輸入品を引き取る際には納税義務者となります。

免税事業者に該当

消費税では、課税期間の消費税の納税義務が免除される「事業者免税点制度」が設けられています。

事業者免税点制度の対象となるのは、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者で、免税事業者に該当するときは、事業を営んでいる人でも消費税の確定申告は不要です。

なお、消費税の課税事業者を選択している事業者については、課税売上高が1,000万円以下でも消費税の申告義務が生じるので注意してください。

消費税の確定申告が必要になる事業者

個人事業主が次のいずれかに該当する場合、消費税の確定申告が必要になります。

基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた

個人事業主は、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合、課税事業者として消費税の申告をしなければなりません。

課税期間は、事業者が納付(還付)すべき消費税額を計算する期間をいい、個人事業主の課税期間は1月1日から12月31日までです。

基準期間は、納税義務の有無を判定する期間であり、個人事業主の基準期間は対象年分の前々年です。

課税期間の課税売上高が1,000万円を超えたとしても、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者となります。

ただし、基準期間における課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税事業者となるので注意してください。

特定期間は、対象年分の前年1月1日から6月30日までの期間(個人事業主の場合)をいい、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することも認められています。

出所:消費税のしくみ(国税庁)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

免税事業者が課税事業者を選択した場合

課税売上高が1,000万円以下であったとしても、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した事業者は、消費税の申告をしなければなりません。

免税事業者は、消費税の納税額が算出される場合でも申告手続きは不要となる反面、還付金が生じたとしても申告手続きを行えないデメリットがあります。

たとえば、輸出業者は経常的に消費税額が還付になることから、課税売上高が1,000万円以下でも、消費税の課税事業者を選択するメリットがあります。

免税事業者が課税事業者を選択する際は、課税期間の初日の前日までに、納税地の税務署に対して「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要です。

課税事業者を選択後に免税事業者に戻りたいときは、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までに、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出してください。 ただし、課税事業者となった日から2年間(事業を廃止した場合を除く)は、免税事業者に戻ることはできません。

インボイス登録をした事業者

令和5年10月1日から、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が開始されました。

インボイス制度に対応した事業者(適格請求書発行事業者)になるためには、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しなければなりませんが、登録申請ができるのは消費税の課税事業者に限られます。

したがって、課税売上高が1,000万円以下の事業者がインボイス登録をした場合、強制的に課税事業者となりますので、基準期間の課税売上高にかかわらず消費税の確定申告が必要です。

また、パートの方の確定申告の有無については、お金の悩みが解決できるサービス「オンライン家計相談」を運営するマネーコーチの記事がおすすめです。

おすすめ記事:パートでも確定申告が必要?申告が必要な条件と手続き方法

個人事業主が初めて消費税申告をする際のポイント

個人事業主が初めて消費税の申告手続きを行う際は、次のポイントに注意してください。

消費税の申告期限は翌年3月31日

個人事業主は、課税期間の翌年3月31日までに消費税の確定申告書の提出が必要です。

所得税の申告期限は翌年3月15日と、消費税よりも半月早いため、所得税と消費税の申告をする際は提出時期に気を付けてください。

また、申告期限と納期限は同日なので、納税額が発生する場合は期限までに納付も済ませてください。

消費税の計算方法は3パターン

消費税は、次のいずれかの方法で計算することになります。

  • 一般課税制度
  • 簡易課税制度
  • 2割特例制度

△一般課税制度

一般課税制度は、消費税の原則的な計算方法で、課税売上に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて消費税額を算出します。

<一般課税制度の計算方法>

課税売上に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額控除)=消費税額

仕入税額控除は、帳簿および請求書等の保存の要件を満たしていないと適用できないため、関係書類は漏れなく保存してください。

課税売上に係る消費税額よりも課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額控除)の大きい場合、確定申告をすることで納め過ぎていた消費税は戻ってきます。

△簡易課税制度

簡易課税制度は、消費税の納税額を簡便に算出するための計算方法で、適用する際は課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。

<簡易課税制度の計算方法>

課税売上に係る消費税額-(課税売上に係る消費税額×みなし仕入率)=消費税額

簡易課税制度を適用する場合、仕入税額控除の要件を満たす必要はありません。

一般課税制度と比べて計算は簡単になりますし、みなし仕入率が高い業種については、一般課税制度で計算するよりも節税効果が期待できます。

一方、簡易課税制度で消費税を計算すると必ず納税額が算出されますので、仕入率が高い事業や還付金が発生する事業を営んでいる方は、簡易課税制度を選択するメリットは薄いです。

△2割特例制度

消費税の2割特例は、インボイス制度が導入されたことを理由に、免税事業者から適格請求書発行事業者になった事業者を対象とした制度です。

課税売上に係る消費税額に80%を乗じた額を課税仕入れ等に係る消費税額とみなすことができるため、大幅な節税効果が見込めます。

<2割特例による計算方法>

課税売上に係る消費税額-(課税売上に係る消費税額×80%)= 消費税額

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの各課税期間で、適用する際の事前申請は不要です。

年分ごとに適用の有無を選択できますが、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超えてしまうと、2割特例は適用できませんので注意してください。

<2割特例の適用可能期間>

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm

消費税の税務調査リスクは高まっている

インボイス登録をした事業者は必ず消費税の申告が必要となりますし、インボイス登録をしていなくても、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば課税事業者となるので、消費税の申告手続きをしなければなりません。

帳簿書類や領収書等を適切に保存していないと、税務調査で仕入税額控除の適用が否認されてしまいます。

税務署に一度目を付けられると、短いスパンで税務調査を受けやすくなりますので、消費税の申告が必要になる方は専門家に相談して対策を講じてください。

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個人事業主は会社員と違い、毎年確定申告で税金の精算をしなければなりません。

税理士に面倒な確定申告手続きを任せる選択肢もありますが、条件が揃えば個人事業主が自分で申告書を作ることも可能です。

本記事では、個人事業主が税理士に依頼する必要性と、納税者自身で申告する際に生じる注意点について解説します。

個人事業主に税理士が不要とされる理由

事業者は税理士に申告書の作成を依頼するイメージがありますが、確定申告書は元々納税者が作成して提出する書類ですので、税理士に依頼せずに手続きしても問題ありません。

インターネット・SNSで申告に必要な情報を収集できる

個人事業主は確定申告を毎年行いますが、税制改正が実施された際には、改正後の法律に基づいて確定申告書を作成しなければなりません。

一昔前まで、税金に関する情報を入手する方法は税務署や税理士への相談や、書籍を購入するなどの手段しかありませんでしたが、現在はインターネットやSNSを活用して必要な情報を手に入れられるようになっています。

国税庁もホームページ上で確定申告に関する情報を積極的に発信していますし、「確定申告書等作成コーナー」では確定申告書だけでなく、青色決算書や収支内訳書も作成することができます。

出所:国税庁 確定申告書等作成コーナー

https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl

会計ソフトの活用による申告手続きの効率化

個人事業主は確定申告書を作成する前段階が大変ですが、会計ソフトを活用すれば青色決算書や収支内訳書をスムーズに作成できるようになります。

仕訳作業は、個人事業主が抱える悩みの一つです。

取引が多い事業者は毎日仕訳をしなければいけませんし、仕訳のしかたを間違えてしまうと税額計算にも影響が出ます。

しかし、クラウド型の会計ソフトが普及したことで、基本的なポイントを押さえれば仕訳に要する作業量を減らせるようになっています。

また、会計ソフトと銀行やクレジットカード会社などを連携することにより、入力作業も簡略化できます。

税理士がいらない個人事業主の特徴

次に該当する個人事業主は、税理士に依頼しなくても申告手続きを行うことができます。

売上が少ない・事業規模が小さい

事業規模が小さい個人事業主は、仕訳など確定申告に必要となる作業量が少ないため、申告手続きに要する時間を抑えられます。

インボイス制度が導入されたことで、売上が少ない事業者も消費税の申告が必要になることもありますが、免税事業者として活動されている個人事業主であれば、消費税の申告手続きは引き続き不要です。

税金・簿記知識が身に付いている

確定申告書を作成する場合、税金および簿記に関する知識は不可欠です。

青色申告をするためには複式簿記が必須となりますし、所得税の知識がないと経費計上する支出の取捨選択や税額計算を間違える可能性もあります。

作成した申告書の内容に誤りがあれば税務署から指摘されてしまいますが、納税者が必要な知識を身に付けていれば、申告書を正しく作ることも可能です。

確定申告書を作成する時間を確保できる

事業者が税理士に申告書作成を依頼する理由の一つに、申告準備をする時間が足りないことが挙げられます。

取引回数が少ない事業者は、仕訳作業に費やす時間も一定程度に抑えられますので、空いた時間を使って申告準備を行えます。

一方、本業が忙しければ申告書に割く時間も限られますし、取引が多い事業を営んでいる方は、納税者自身に税金や簿記知識があったとしても仕訳作業に膨大な時間を費やさなければなりません。

確定申告書を作成する時間は事業者によって差がありますが、1日2日で帳簿書類と申告書を作成するのは困難ですので、個人事業主が自身で申告する際は、あらかじめ作業時間を確保してください。

個人事業主が税理士に申告書作成を依頼しないリスク

個人事業主が税理士に申告書作成を依頼するかは任意ですが、個人事業主が自身で申告書を作成するリスクは、申告する前に把握しておいてください。

事業に集中できない

個人事業主が確定申告手続きを行う場合、申告書を作成する時間を確保しなければなりません。

税務署は平日の日中にしか開いていませんし、夜に相談できる場所も少ないため、事業内容によっては、空いた時間だけで申告書を作り上げるのが難しいケースもあります。

税務調査を受けることになれば、調査対応に時間を割くことになりますので、本業が忙しい方は申告手続きを税理士に委任し、本業に専念するのが望ましいです。

適切な税金対策を講じることが難しい

業種や事業内容によって最適な節税手段は違いますし、特例制度の適用漏れなどで節税ができないと実質的に損失を被ることになります。

SNS上で広まっている節税手段には万人が利用できるものもありますが、節税効果の高い制度は、要件をすべてクリアしないと適用できません。

また、珍しい特例制度は詳しく調べないと見つけられませんし、特例の適否は専門家に確認しないと判定を誤ってしまう可能性があるので注意してください。

税務調査の対象になりやすい

所得税の税務調査を受ける確率は一般的に1%程度とされていますが、実際には税務調査を受けやすい個人事業主もいれば、調査を受けにくい個人事業主も存在します。

計算ミスがある申告書は調査対象になりやすいですし、青色申告を適用していない個人事業主や、税理士が関与していない申告書についても、調査対象者としての優先順位が高くなる傾向にあります。

特に、一般の納税者は税理士よりも税に関する知識は少なく、申告ミスも発生しやすいため、税務署は税理士が関与していない申告書を重点的にチェックします。

また、営んでいる事業が申告漏れ所得が高額な業種に該当する場合には、他の業種よりも調査を受けやすくなるので、調査対策は必須です。

出所:令和4事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について(国税庁)

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/shotoku_shohi/index.htm

税理士のスポット契約と顧問契約の違い

税理士に確定申告書の作成依頼をする方法には、スポット契約と顧問契約があります。

スポット契約は1回だけ申告書の作成依頼をするもので、個人事業主としてはじめて申告する場合や、申告書を作成する時間が確保できなかった際にスポット契約による依頼をするケースが多いです。

顧問契約は、税理士と顧問として迎え入れることで、確定申告書の作成だけでなく、帳簿書類の作成代行や税金相談を行うことができます。

事業規模が一定以上の個人事業主は、納税者自身で申告手続きを行うのは限界がありますので、状況に応じて依頼する方法を選んでください。

税理士に申告書作成を依頼するタイミング

所得税の確定申告期間は2月16日から3月15日と決まっていますが、確定申告期間に入ってから税理士に依頼するのは遅いです。

単発で申告書作成を依頼する場合でも、遅くても年末までに相談するのが望ましく、年が明けてからの申告書作成の依頼は断られる可能性があります。

特定の税理士と顧問契約を結んでおけば、毎年申告手続きを依頼できますし、通常期から仕訳や節税に関するアドバイスを受けられますので、スポット契約よりも費用対効果は高いです。

税理士への相談は確定申告前にすること

申告書作成には時間がかかるだけでなく、肉体的・精神的な負担も大きいです。

税務調査を受けることになれば、税金を余分に納めることになりますし、税務署から狙われやすくなるので気を付けなければなりません。

税理士によって得意な税金の種類や、対応のしかたなどは違いますので、確定申告の相談・申告書の作成依頼は、可能な限り早めに行うことをオススメします。

何かお困りのことがございましたら、ぜひ一度永安栄棟公認会計士・税理士事務所へご相談ください。

インボイス制度がスタートしたタイミングで、インボイス発行事業者になった個人事業主も多いですが、インボイス発行事業者は消費税の確定申告が必須です

消費税は他の税金とは違い、課税方式が複数用意されており、選択する課税方式が変わるだけで納税額が変わるので注意が必要です。

本記事では、消費税の課税方式の特徴と、インボイス発行事業者が消費税の確定申告をする際のポイントについて解説します。

消費税の確定申告が必要になる個人事業主とは

次のいずれかに該当する個人事業主は、消費税および地方消費税の確定申告が必要です。

  • インボイス発行事業者の登録をした事業者
  • 基準期間における課税売上高が1,000万円超の事業者
  • 特定期間における課税売上高が1,000万円超の事業者
  • 課税事業者選択届出書を提出した事業者

インボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入される以前は、課税売上高が1,000万円以下であれば、原則消費税の申告は不要でした。

しかし、インボイス(適格請求書)発行事業者の登録申請を行った事業者は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であったとしても、消費税の申告手続きをしなければなりません。

個人事業主の消費税の確定申告期間

個人事業主の消費税の確定申告期限は、課税期間の翌年3月31日までです。

所得税の申告期限は翌年3月15日なので、消費税の方が申告期限は半月ほど遅く、期限内であれば所得税の申告書を提出した後に消費税の申告をしても問題ありません。

消費税の免税事業者に該当する個人事業者の方が、令和5年10月のインボイス制度が開始する時点でインボイス発行事業者の登録を受けた場合、令和5年分から消費税の申告が必要となります。

税務調査は原則5年、最長7年まで遡って実施する可能性がありますので、令和5年分の消費税の申告をしていない課税事業者は、速やかに申告手続きを行ってください。

出所:確定申告が必要になる人はどんな人?(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_kakutei.htm

確定申告における消費税の計算方法

消費税の計算方法は原則と例外があり、インボイス制度が導入されたことで課税事業者になった個人事業主は、特例措置を用いて計算することができます。

一般課税制度

消費税は、原則一般課税制度に基づいて税額計算を行います。

一般課税制度は、課税売上に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算する方式で、算出された差額を納めることになります。

<一般課税制度の計算方法>

課税期間中の課税売上に係る消費税額-課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額=消費税額

消費税は令和元年10月1日から軽減税率が導入されていますので、税額計算は税率ごとに区分して行います。

課税売上に係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を差し引くことを「仕入税額控除」といいますが、仕入税額控除を適用するためには帳簿および請求書等の保存が必要です。

また、仕入税額控除の適用要件は、インボイス制度が導入されたことで変更していますので、一般課税制度で計算する際は事前に要件を確認してください。

簡易課税制度

簡易課税制度は、課税期間中の課税売上に係る消費税額に、事業区分に応じた「みなし仕入率」を乗じて算出した額を課税仕入れ等に係る消費税額とみなして、納付する消費税額を計算する方式です。

一般課税制度は、売上と仕入れの双方に関係する消費税額を計算しなければなりませんが、簡易課税制度は課税売上に係る消費税額を基に控除額を算出するため、一般課税制度よりも計算が簡便です。

また、仕入割合が低い事業者は、簡易課税制度で消費税額を計算した方が納税額は小さくなることから、消費税対策として簡易課税制度を活用するのも有効です。

<簡易課税制度の計算方法>

課税売上に係る消費税額-(課税期間中の課税売上に係る消費税額×みなし仕入率)=消費税額

出所:簡易課税制度の事業区分(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6509.htm

簡易課税制度を適用できるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られ、課税売上高が5,000万円を超えた場合には、一般課税制度で消費税を計算することになります。

簡易課税制度を適用する際は、適用する予定の課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出しなければなりません。

2割特例制度

2割特例制度は、インボイス制度を機に免税事業者から適格請求書発行事業者になった事業者が適用できる特例措置です。

2割特例を適用した場合、課税期間中の課税売上に係る消費税額に80%を乗じた額を課税仕入れ等に係る消費税額とみなして、納付する消費税額を計算することができます。

<2割特例による計算方法>

課税売上に係る消費税額-(課税売上に係る消費税額×80%)= 消費税額

2割特例の適用期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの各課税期間で、個人事業主については、令和5年分から令和8年分の消費税の申告において適用可能です。

消費税の納税額を課税売上に係る消費税額の20%に抑えられるため、利益が生じている事業者の多くは、2割特例を適用することで消費税を節税できます。

また、2割特例は事前申請等の手続きは不要なので、年分ごとに一般課税制度または簡易課税制度と比較し、より有利な課税方式を選択して申告することができます。

2割特例を適用して消費税を申告する際のポイント

消費税の2割特例の要件を満たす事業者は、基本的に適用するメリットがあります。

しかし、個人事業主の中には2割特例を適用しない方がいいケースもあるので注意してください。

免税事業者からインボイス発行事業者なった事業者が対象

2割特例は、インボイス制度の導入で消費税の申告が必要となった事業者を対象とした制度です。

基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者や、インボイス発行事業者の登録と関係なく課税事業者となった事業者は、2割特例を適用することができません。

出所:インボイス発行事業者の「2割特例」適用可否フローチャート(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0024003-131.pdf

毎年適否判定をしなければならない

2割特例は毎年適用の有無を選択できますが、適用要件も年分ごとに確認する必要があります。

たとえば、事業者の基準期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合、該当する課税期間に対して2割特例は適用できないので注意してください。

2割特例の適用で損をするケースもある

2割特例は、消費税の納税額を課税売上高に対する消費税の2割にする制度であるため、多くの事業者にとって節税効果があります。

しかし、利益率が20%未満であれば一般課税制度で計算した方が納税額は少なくなりますので、2割特例の適用が必ずしも最適な選択とは限りません。

また、簡易課税制度のみなし仕入率90%に該当する事業を営んでいる方については、簡易課税制度を選択した方が消費税を節税できます。

赤字でも消費税の還付は受けられない

課税売上高に対する消費税額よりも課税仕入れに対する消費税額の方が大きい場合、一般課税制度を選択していれば、差額の消費税額の還付を受けられます。

しかし、2割特例を適用してしまうと、課税売上高に対する消費税額の20%は納めることになり、消費税の還付は生じません。

そのため、赤字となった年分は2割特例ではなく、一般課税制度で消費税を計算した方が節税になります。

消費税の節税のしかたは税理士に確認すること

課税売上高に対する消費税の2割は必ず納税することになるため、インボイス制度導入前まで免税事業者として活動してきた事業者にとっては、新たに消費税の負担が生じることになります。

税務署は、個人事業主がインボイス適格事業者に該当するかを把握していますので、消費税の無申告はすぐに摘発されるので気を付けてください。

消費税は所得税に比べて対策が不十分であることが多く、適切な対策を講じることで消費税の納税額を減らすことは可能です。

間違った節税手法は脱税に該当しますので、効果的かつ合法的な節税のしかたは税理士に確認・相談していただき、必要に応じて消費税の申告書作成を依頼してください。

何かお困りのことがございましたら、永安栄棟公認会計士・税理士事務所へご連絡ください。

税務署は国税の相談窓口を設けていますので、窓口を通じて税金相談をすることができます。

しかし、相談内容によっては応対してくれない場合や、節税アドバイスを求めても期待する回答を得るのは難しいケースなど、相談する際の注意点もあります。

本記事では、税務署への相談方法とメリット・デメリット、節税アドバイスを受けられる相談先について解説します。

税務署に税金相談をする方法

国税組織は、国税庁の下に12の国税局(沖縄国税事務所を含む)があり、国税局の下に524の税務署が設置されています。

税金相談はお住まいの近くにある税務署でもできますし、自宅に居ながら疑問・不明点を解消する方法も用意されています。

面接相談

税務署の窓口では、確定申告書の受付や納税手続きだけでなく、面接相談も行っています。

一般相談については、窓口で相談したい旨を伝えれば、職員が対面で相談に応じてくれます。

一方、相談内容が個別的なものである場合には、事前予約が必要です。

電話または税務署窓口で個別相談の予約を取りたい旨を伝え、相談日の日程を調整した上で相談することになります。

一般的な相談は全国どこの税務署でも応対してくれるのに対し、個別相談は相談者の管轄税務署でしか相談に応じてくれません。

管轄税務署以外の税務署に個別相談したい旨を伝えても断られますので、個別相談をする際は予約前にご自身の管轄税務署を確認してください。

電話相談

国税局は「電話相談センター」を設置しており、電話相談センターに電話すると、国税局の職員等が税金相談に回答してくれます。

電話相談センターに相談できる内容は、制度や法令等の解釈・適用、税金手続きに関するもので、電話相談センターへは国税相談専用ダイヤル(ナビダイヤル)または、税務署の代表電話を経由して電話をかけます。

国税相談専用ダイヤルと税務署の代表電話のいずれも、電話をかけると自動音声が流れますので、音声案内に従って相談する内容に該当する番号を選択してください。

出所:国税に関するご相談について(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/#a-02-3

聴覚障害者等専用電子メール相談窓

電話相談が難しい方は「聴覚障害者等専用電子メール相談窓口」を通じて、メールで相談することができます。

ただし、こちらの相談窓口は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を踏まえて設定されていますので、利用できるのは聴覚や発話に障害があり、電話での相談が困難な方に限られます。

そのため、電話で相談することが可能な方は、先に紹介した面接相談または電話相談を利用してください。

国税庁ホームページで調べる

面接相談や電話相談ができるのは、税務署が開いている平日の日中に限られますので、土日や夜に税金関係の疑問を解決したい方は、国税庁ホームページを活用してください。

国税庁ホームページでは、よくある税の質問に対する回答をまとめた「タックスアンサー」が掲載されています。

国税の疑問点はタックスアンサーで解決できるものも多く、個人が関係する国税については、チャットボットで相談することも可能です。

チャットボット(ふたば)は、メニューから質問する内容を選択または直接質問内容を入力すると、AI(人工知能)が自動回答してくれるシステムです。

質問形式で聞くことができるため、タックスアンサーで回答が見つからないときは、チャットボイスを活用してください。

税務署に相談するメリット

税務署は公的機関なので、誰でも利用できますし、事前予約をすれば具体的な相談をすることもできます。

相談費用がかからない

コストを抑えて相談したい方は、税務署の窓口や電話相談センターに相談をしてください。

専門家に相談するには報酬が発生するのが一般的ですが、税務署の職員は公務員ですので、相談に対しての費用はかかりません。

(税務署へ行く交通費や、電話料金は発生します。)

平日の日中であればいつでも相談できますし、税務署は全国にあるので、近くの税務署に行って相談することも可能です。

予約すれば個別相談も可能

税務署では、事前に相談予約をすれば、個別的な相談もできます。

個別相談ができる税務署は相談者が申告手続き等を行う税務署に限られますが、申告前に特例制度の適否などを確認したい場合には、予約をして相談するのも選択肢です。

税務署以外にも無料で税金相談ができる場所は存在しますが、無償で個別相談に応じる相談場所はほとんどありませんので、費用をかけずに個別相談したい方は予約をした上で税務署に相談してください。

出所:国税に関するご相談について(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm#a-02-3

税務署に相談するデメリット

税務署は費用をかけずに相談できるメリットがある一方、事業者が相談するのには不向きな側面もあるので気を付けてください。

税務署職員は節税アドバイスをしてくれない

税務署は、確定申告書の書き方や特例制度の内容は説明してくれる一方、適用できる特例制度の紹介や、特例制度の節税効果を比較して提案するなどのアドバイスは行いません。

特例制度の適用は納税者の任意となっているため、適用できる特例があったとしても、相談者が質問しない限り、特例制度の説明をすることもありません。

相談する側にも税金知識が必要

納税者の状況によって適用できる特例制度の種類や節税方法は異なるため、一般相談で具体的な相談をすることは難しいです。

税務署は質問に対する回答はしてくれますが、相談者の事情を考慮して節税方法を提案することはないため、質問のしかたにも工夫を要します。

相談のしかたを間違えると、満足する回答は得られませんので、相談する側にもある程度の税金知識が求められます。

個別相談は1か月以上予約待ち

税務署の個別相談は事前予約が必要ですが、予約した当日やその週に個別相談ができるケースは限られます。

個別相談の予約が1か月以上先まで埋まっている税務署もあるため、すぐに回答を得たい方は、税務署以外の場所で相談することを検討してください。

税務署以外で税金相談ができる場所

税務署以外にも税金相談ができる場所はありますので、相談したい内容によって相談先は変えてください。

一般的な税金相談なら税務署で問題ない

税金相談の内容が一般的なものであれば、税務署で相談して問題ありません。

個別相談は予約が必要ですが、一般相談は予約が必要ありませんし、行政機関なので気軽に相談することができます。

ただし、税務署は節税アドバイスをしてくれませんので、節税に関する質問をしたい方は次に紹介する税理士事務所に相談してください。

節税アドバイスを受けたい方は税理士事務所に相談すること

税金の節税アドバイスを受けたい方は、税理士事務所に相談するのがオススメです。

税理士は税金の専門家ですし、節税に関しては税務署職員以上に豊富な知識を有しています。

事業者が節税をする際には、個々の事情に鑑みた節税手法を用いることが重要となるため、オーダーメイドでの対策が不可欠です。

一般的に効果があるとされている税金対策であったとしても、経営状態等によってはあまり効果が得られないこともありますし、継続的な節税効果が見込めない手法も数多く存在します。

税理士事務所に相談すれば、具体的なアドバイスが受けられるだけでなく、確定申告手続きを依頼することも可能です。

また、税理士と顧問契約を結べば、普段から税金相談ができますので、節税に関しては税務署ではなく税理士を頼ってください。

事業者の税金対策は日常的に講じることが重要

税務署での相談は一般相談や、申告手続きに関連するものがメインとなります。

会社員や年金受給者の方は、確定申告相談会場で相談して申告することもできますが、事業者の場合、確定申告会場で相談しながら申告書を作成するのは難しいです。

確定申告書を作成する時点で実施できる税金対策は限られますので、継続的に節税をしたい事業者は、日常的に対策を講じることが肝要です。

税理士は事業者の税金面を支えるパートナーとなりますので、顧問税理士がいない方は、一度、税理士事務所に相談することをご検討ください。ぜひ、永安栄棟公認会計士・税理士事務所へご連絡ください。

法人の方が個人事業主よりも経費として計上できる範囲は広いため、節税を意識するのであれば、法人化することも選択肢です。

ただ法人でも経費にできない支出がありますので、今回は個人事業主と法人における経費の扱いと、経費計上する際の注意点を解説します。

個人事業主の経費計上できる範囲

税務署は、経費として計上している費用の内訳を必ずチェックします。

経費計上できるもの・できないものを明確に区分しないと、税務調査で指摘されますので気を付けてください。

経費として認められる費用

個人事業主は、事業収入を得るために直接要した費用を必要経費として計上することができます。

必要経費に該当する主な費用は下記の通りで、収入を得るために直接必要だった支出であれば経費計上が可能です。

<経費にできる主な費用>

  • 売上原価
  • 給与、賃金
  • 地代、家賃
  • 減価償却費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 接待交際費
  • 修繕費
  • 消耗品費など

経費に計上できない費用

個人事業主は、家事上の費用を経費として計上することはできません。

「家事上の費用」とは、プライベートで支出したものをいい、食費やプライベートでの旅行費用などが家事上の経費に該当します。

しかし、家事上の経費に関連する経費(家事関連費)のうち、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区分できる場合には、その部分に相当する経費の金額を必要経費として計上することが可能です。

そのため、仕事とプライベートで使用している備品等については、仕事として使用する部分を明確にすることが求められます。

出所:税大講本 所得税法(令和6年度版)(国税庁)

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/syotoku/pdf/all.pdf

詳細はこちらも参照 【弊所コラム】交際費等の飲食費判定の基準額引き上げ

家事関連費は税務調査で指摘されやすい

家事関連費を経費計上している場合、仕事に対応する部分のみを経費として計上しているかチェックされます。

按分割合と実態が相違していれば経費計上が否認されますし、按分した根拠を示すことができない場合も、経費計上が否認されるので注意が必要です。

家事関連費の按分割合は合理的な方法で算出しなければならず、支出の種類等によって合理的な方法は異なります。

たとえば、自動車を平日は仕事、土日はプライベートの目的で利用している場合、自動車にかかる支出に7分の5(平日5:土日2)を乗じた額を経費にするなどの方法があります。

法人が個人事業主よりも経費に計上できるが広い理由

法人と個人事業主では、対象となる税金(法人税、所得税など)の種類が違うため、経費計上を判断する法令や法令解釈通達が異なります。

法人は利益を出すための組織であるため、法人の支出は基本的に事業収入を得るための費用に該当しますので、個人事業主よりも経費にできる範囲が必要です。

例外的に経費として認められない支出もありますが、法人は個人事業主のようなプライベートはないので、支出の按分計算も不要です。

個人事業主が法人化することで経費計上できる費用

個人事業主が法人化(法人成り)した場合、次のような支出を経費計上できるようになります。

福利厚生費

福利厚生は、会社が従業員や家族に提供する給与以外の報酬をいい、会社が従業員等の福利厚生のために生じる支出は経費にできます。

福利厚生には健康保険や雇用保険などの「法定福利厚生」と、レクリエーションや子育て・介護などの「法定外福利厚生」があり、どちらの福利厚生にかかる費用も原則福利厚生費として扱われます。

個人事業主がプライベートで旅行した際の費用は経費になりませんが、法人が従業員レクリエーション旅行に際して支出した費用は、原則経費にすることが可能です。

なお、役員だけで行う旅行や、取引先を接待する目的の旅行などは福利厚生費に該当しませんのでご注意ください。

車両関連費

車両関連費は車両を使用・維持管理するための費用をいい、ガソリン代や車検費用、自動車税等が含まれます。

個人事業主が個人名義の車両をプライベートでも使用している場合、仕事として利用している部分のみが経費となります。

プライベートで使用する比率が高いと経費にできる割合が小さくなりますし、税務調査では按分した割合の根拠を求められます。

一方、法人名義の車両については、役員がプライベートでのみ使用しているケースなどを除き、車両に関連する費用を原則すべて経費にすることが可能です。

出張旅費

個人事業主が出張した場合、プライベートによる支出とみなされた部分は経費から除外しなければなりません。

それに対し、法人が従業員等に支給する出張旅費は原則経費として計上できますし、出張旅費を受け取った従業員等に対して所得税が課されることもありません。

法人が出張旅費を経費計上する際には、出張旅費規定を作成することが求められます。

出張旅費規定は、出張に際して発生する交通費や宿泊費、日当などの取扱いを定めた規定です。

支給額が不当に高い場合については、経費計上が否認されるだけでなく、受け取った従業員等は給与所得として所得税が課される可能性があります。

家賃・社宅

個人事業主は、自宅の家賃を経費にすることはできません。

自宅を店舗兼住宅として利用している場合には、店舗に該当する部分のみを経費として計上し、水道光熱費等は面積等で按分することになります。

一方、法人化した場合には、社宅として利用することで一定割合を経費にできます。

ただし、役員の個人名で契約した物件は社宅としては認められないため、法人化する際は契約する名義に注意してください。

退職金

個人事業主は退職の概念がないため、廃業時に退職金を支払うことはありませんが、法人化すれば、役員や従業員が退職する際に退職金を支払うことができます。

法人が支払った退職金は不当に高額なケースを除き、原則損金計上が可能です。

退職金を受け取った役員や従業員は、退職所得として税金の計算をするため、法人と役員・従業員の双方で節税効果が期待できます。

また、退職金の支払いに備えて保険に加入している場合、その保険料も経費にできるため、退職金を準備する手段として保険を活用するのも選択肢です。

法人が経費計上する際に注意すべきポイント

法人は個人事業主よりも経費計上できる範囲は広いですが、経費(損金)算入が認められない支出もあるので気を付けてください。

役員報酬は原則損金不算入

従業員への給与は損金計上できるのに対し、役員への報酬は原則損金不算入となります。

ただし、次のいずれかに該当する報酬(給与)については、例外的に損金算入が認められています。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 業績連動給与

事前に定めた額を役員へ支払う場合、基本的には損金として算入できますが、役員報酬の額が増減してしまうと損金不算入となります。

また、報酬額が不相当に高額な場合や、法人が仮想・隠蔽による経理に基づいて支給した役員報酬も損金に算入することはできません。

接待交際費

接待交際費は、交際費や接待費、機密費などの費用のうち、得意先や仕入先などの関係者に接待や贈答等をするための支出をいいます。

中小企業の場合、接待交際費の50%または800万円のいずれかの金額を超えた部分が損金不算入となります。

ただし、社外の人との飲食等において、1人当たり1万円以下の飲食費については、接待交際費の範囲から除かれます。

飲食費の基準額は以前は5,000円でしたが、令和6年度税制改正で1万円に引き上げられました。

飲食費を接待交際費から除外する際は、必要事項を記載した書類を保存しなければならず、1人当たりの飲食費額が1万円を超えた場合には、1万円を超えた費用全額が接待交際費に該当するのでご注意ください。

出所:「令和6年度税制改正」(財務省)

https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei24.html

法人成りは総合的に判断しないと失敗する

税務調査では、個人事業主であれば家事関連費、法人では役員に関する支出が必ずチェックされるので、事前対策は不可欠です。

法人は個人事業主よりも節税する手段が豊富なので、事業規模が一定以上となった個人事業主は、法人として活動することも選択肢です。

ただし、法人化するためには様々な手続きを要しますし、法人化することが必ずしも最適とは限りません。

法人化した後に再び個人事業主として活動する場合には、多大な労力と費用がかかりますので、法人化を検討されている方は税理士事務所に相談してから判断することをオススメします。

お困りのことがございましたら、永安栄棟 公認会計士・税理士事務所へぜひ一度ご相談ください。