消費税はどのように計算する?仕組みと注意点について解説 | 神戸市の税理士
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消費税はどのように計算する?仕組みと注意点について解説

2023.03.06 13:10

消費税とは?

消費税とは、商品の販売やサービスの提供等に対して課される税で、最終消費者が負担しています。例えばコンビニで食品を買った場合、食品の本体価格に加えて消費税も一緒にレジで支払いますね。このように消費税は最終消費者が負担するものなのですが、支払っている先は税務署ではなく「お店」です。

ここに焦点を当てて、「消費税の納税の仕組み」を解説します。

消費税の納税の仕組み

最終消費者が消費税を納付しない点は、先ほど確認したとおりです。
では、消費者を納付するのは誰なのでしょうか?
実は、税金を預かった「お店」が納付しています。

もう少し詳細に説明をすると、商品やサービスを売り上げた際に預かった消費税から、仕入時に支払った消費税分を差し引いて、その差額を納付しています。お店も商品を仕入れる際に消費税を支払っていますので、支払った分の消費税は差し引いて納付をするわけです。難しい用語ですが、この仕組みを「仕入税額控除」といいます。

そのため、個人事業主も一定の売り上げを超えた場合、消費税を税務署に納付する必要があるのです。

消費税の課税事業者と免税事業者

個人事業主が消費税を税務署に納付するかどうかは、「売上高」を基準としています。

細かな規則はありますが、わかりやすく説明をすると、一昨年の売上高が1,000万円を超えると本年から消費税を納めることになります。このような消費税を納める義務がある人を「課税事業者」といいます。この売上高は「課税売上高」に限定されているので、商品の輸出に関係する売上など、もともと消費税が課税されない取引は、これに含まれません。

一方、一昨年の課税売上高が1,000万円以下の場合など、消費税を納める義務がない人を「免税事業者」といいます。そのため、課税売上高が1,000万円を超えた場合は、翌々年から消費税を納めなければならないということを押さえておきましょう。

消費税の計算方法は2種類

原則課税と簡易課税

消費税を納めなければいけない「課税事業者」は、基本的に預かった消費税から支払った消費税を差し引いた額を税務署に納税します。

具体的な例で説明をしましょう。
売上が税込1,100万円で、経費が税込550万円だとします。
消費税の税率は10%なので「預かった消費税が100万円」で、「支払った消費税が50万円」となります。そのため、最終的に納付する税金の額は、100万円-50万円=50万円となります。このような計算方法は、「原則課税」と呼ばれ、消費税を計算する上で原則的な方法となっています。

実は、消費税の計算にはもう一つの方法が用意されています。それは、「簡易課税」という計算方法です。簡易課税は、一昨年の課税売上高が5,000万円以下の場合に利用することができる、消費税の計算の「特例」です。

こちらも、具体的な例で説明をしましょう。
まず、売上に関する税金の計算は、原則課税と全く同じです。
そのため、売上が税込1,100万円であった場合、「預かった消費税は100万円」となります。

一方、経費として支払った税金(預かった消費税から差し引く分の税金)については、業種別にざっくりと「売上の60%」などと決められており、その算式を元に計算します。

(出典:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6509.htm

たとえば、飲食店業であれば「売上の60%」を経費としてみなします(これをみなし仕入率といいます)。

具体的な計算方法はというと、まず、売上が税込1,100万円である場合、預かった消費税は100万円となります。この100万円に60%を掛けると60万円なので、支払った消費税は60万円とみなされます。そのため、100万円-60万円=40万円を税務署に納めることになります。

簡易課税の注意点

前述の通り、簡易課税の計算は売上の情報のみで完結します。そのため、事務処理の負担が小さいというのが特徴です。ただし、簡易課税には主に2つの注意点があります。

まず1つ目は、「届出が必要」という点です。
簡易課税をおこなうには、簡易課税で計算をおこなう年の前年中に、届出書(消費税簡易課税制度選択届出書)を税務署に提出しなければなりません。

そして2つ目は、簡易課税は少なくとも「2年間は継続」しなければならないという点です。そのため、簡易課税で計算をする2年間に設備投資などが見込まれる場合は、簡易課税を適用することで損をする可能性があります。その点も踏まえて、どちらを選択するかを考える必要があるのです。

消費税の計算上のシミュレーションは複雑な部分も多いため、お困りの場合はお気軽に当事務所へお問い合わせください。

消費税の納税方法

消費税の納付期限は3月31日です。これは、個人事業主の消費税の確定申告期限と同じ日となっています。なお、土日の場合は翌月曜日が納付期限となります。

消費税は税務署等から納付書が送付されません。そのため、以下のいずれかの方法で、ご自身で納付する必要があります。

・金融機関の預貯金口座から口座引落しする
・e-Taxで口座振替する
・インターネットバンキングやATMで納付する
・クレジットカードで納付する
・スマートフォンアプリを利用して納付する
・QRコードによりコンビニエンスストアで納付する
・現金で納付する

なお、期限内に納付しなかった場合は「延滞税」がかかりますので、注意が必要です。

個人事業主の注意点

免税事業者でも消費税を請求できる

前述したとおり、課税売上高が1,000万円を超えた場合は、翌々年から消費税を納めなければなりません。一方で、課税売上高が1,000万円以下である場合は、消費税の申告・納税をする必要はありません。このような事業者を「免税事業者」といい、特に個人事業主の中には免税事業者が多く存在します。

免税事業者は消費税を納付する必要がないため、「消費税を請求できない」と誤解されているケースがあります。しかし、実際には免税事業者であっても消費税を請求することができるのです。理由としては、免税事業者であっても、仕入れの際に商品の本体価格と一緒に消費税を支払っているため、商品を売り上げる際に一緒に消費税を請求しなければ、支払った消費税を取り戻すことができないと考えらるためです。したがって、免税事業者であっても消費税を請求しても問題ありません。

インボイス制度の注意点

インボイス制度は「適格請求書等保存方式」といい、令和5年10月1日より開始される制度です。「適格請求書(通称インボイス)」がなければ、消費税の仕入税額控除ができないため、取引先の消費税の負担が増える可能性があります。そのため、インボイスを発行できない免税事業者は、インボイスを発行できる「適格請求書発行事業者」を検討する必要があるでしょう。

具体的には、インボイス制度の導入により、個人事業主の選択肢は以下の3つになると考えられます。

1.免税事業者(インボイス発行✕)
2.適格請求書発行事業者を選択し、「原則的な計算方法」で申告納税する(インボイス発行◯)
3.適格請求書発行事業者を選択し、「簡単な計算方法」で申告納税する(インボイス発行◯)

1を選択した場合、取引先は消費税の仕入税額控除ができないため、取引上不利になる可能性があります。一方、2・3を選択した場合は取引先に影響はないものの、基本的には自らが消費税を納税することになるため、その分の負担が大きくなります。なお、上記のいずれかを選択するかについては、当初、令和5年3月31日(令和5年10月1日から適格請求書発行事業者になるための期限)までに対応方法を決める必要がありました。しかし、令和5年度税制改正大綱により、事実上令和5年9月30日までに登録申請をすれば令和5年10月1日から「適格請求書発行事業者」に登録される予定となりましたので、それまでにどのような選択をおこなうかについて検討しておきましょう。

インボイス制度についてはこちらに詳しく記載していますので、あわせてご覧ください。

「インボイス制度とは?対応しないとどうなるか | 免税事業者を中心にわかりやすく解説」
https://osakacpa.com/invoice/

まとめ

この記事では、消費税の仕組みと注意点について解説しました。

個人事業主は、消費税の申告・納税について様々な選択をおこなう必要があります。特に注意したいのは「原則課税か簡易課税か」という点と、インボイスにおいて「適格請求書発行事業者となるか」という点です。

これらの選択には、ケース別に消費税を計算するなどのシミュレーションが欠かせません。そのため、消費税全般についてご不安な点がある場合は、神戸市東灘区の永安栄棟公認会計士・税理士事務所にまでお気軽にお問い合わせください。

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